【アセスメントの視点】あっという間にすぐ書ける!下痢のらくらくアセスメント

症状別アセスメント

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下痢を評価する領域

ゴードンの機能的健康パターン:排泄パターン
ヘンダーソンの14の基本的欲求:身体の老廃物を排泄する

下痢とは

下痢とは、便中の水分量が異常に増加して泥状便~水様便となる状態を言う。多くの場合、排便回数の増加(1日に3回以上、あるいは普段の排便回数からの増加)を伴う。

排便と下痢のしくみ
※詳しくは以下を参照してください。
便の成分・排便のメカニズム 看護roo!
下痢に関するQ&A 看護roo!
下痢 看護roo!

下痢の分類
下痢は、「機序」、「感染の有無」、「期間」の3つに分類することができる。

機序による分類
下痢は、その機序から以下の4つに大別される。また、腸管運動の異常による下痢はさらに腸管の蠕動運動の「亢進」と「低下」に分かれる。

1.浸透圧性下痢:腸管内で吸収されにくい高浸透圧性の物質(マグネシウム、人工甘味料など)の存在により腸管内の浸透圧が上昇し、体内の水分が腸管内へ引き込まれることで生じる下痢のこと。
2.滲出性下痢:炎症や潰瘍により腸管粘膜が障害されて血管透過性が亢進し、血液成分、粘液、組織液などが腸管内へ滲出することで生じる下痢のこと。
3.分泌性下痢:細菌毒素やホルモンの作用により、腸管粘膜からの水分と電解質の分泌が過剰となることで生じる下痢のこと。
4-1.腸管運動の異常(蠕動運動の亢進)による下痢:腸管通過時間が短縮し、便中の水分が十分に吸収されないまま排出されることで生じる下痢のこと。
4-2.腸管運動の異常(蠕動運動の低下)による下痢:内容物が停滞して腸内細菌が異常増殖し、細菌の代謝産物(短鎖脂肪酸、ガス)が腸管を刺激することで生じる下痢のこと。

感染の有無による分類
1.感染性の下痢:ウイルス、細菌、寄生虫などの病原体により生じる下痢のこと。
2.非感染性の下痢:感染症以外の原因により生じる下痢のこと。食事内容、基礎疾患、薬剤の副作用、精神的ストレスなどが関与する。

時期による分類
1.急性下痢:発症から2週間以内に軽快する下痢のこと。
2.慢性下痢:4週間以上持続または反復する下痢のこと。

※2~4週間持続する場合は、遷延性下痢と呼ばれることがあります。

下痢に必須の情報収集項目

下痢の原因

排便状況、排便状況の変化

排便時の自覚症状(腹痛、しぶり腹(テネスムス)、便意切迫感、排便時の不快感・痛み、残便感、肛門痛など)

排便日誌(排便時間、排便回数、排便量、便性状)

下痢の随伴症状の有無と程度(脱水、体重減少、悪心・嘔吐、食欲不振、肛門や臀部の皮膚トラブル、不安、イライラ感など)

下痢に関する検査データ(血液検査(炎症反応、脱水、電解質の異常、貧血など)、便潜血検査、便培養検査、下部内視鏡検査など)

バイタルサイン

ADL

意識レベル

食事量、食事内容

飲水量、飲水内容

尿量、尿の性状

服薬状況

下痢に対する治療の有無(安静療法、食事療法、輸液療法、薬物療法)

下痢に対する治療の効果

下痢に対する患者や家族の反応

下痢のアセスメント定型文

アセスメントの基本的な流れと書き方

アセスメントの基本的な流れと書き方は次のようになります。
1.患者の状態の判断
【患者の情報】から患者の状態は適切ではない・異常である(正常ではない)。

2.根拠の記載
判断した患者の状態は【判断した根拠や理由】によって生じている。

3.実在型問題の記載
現在、患者の【適切ではない・異常である(正常ではない)状態】により【実在型】の看護問題が起きており、【実在型】の看護問題を挙げる。

現在、【適切ではない・異常である(正常ではない)状態】の随伴症状により【実在型】の看護問題が起きており、【実在型】の看護問題を挙げる。

4.今後の見通し、リスク型問題の記載
今後、患者の【適切ではない・異常である(正常ではない)状態】により
【リスク型】の看護問題が起きる可能性があり、【リスク型】の看護問題を挙げる。

今後、患者の【適切ではない・異常である(正常ではない)状態】の随伴症状により【リスク型】の看護問題が起きる可能性があり、【リスク型】の看護問題を挙げる。

作成の方法

・1~4をつなぎ合わせてアセスメントを作成してください。
・【 】の中には具体的な内容を記入するか、項目の中から選択してください。
・( )は表現の言い換えになります。両方または使いやすい方を選択してください。

1.患者の状態の判断

■患者の状態
Aさんは【いつから】、【下痢が始まった時の状況を記入】となり、【下痢が生じてから現在までの経過を記入】。現在は【下痢の詳しい状況を記入】である。

検査データは【異常な検査データ、画像などの結果を記入】である。

■介入の有無
下痢に対しては【治療、ケアなどの対策】が行われている。

下痢に対しては【治療、ケアなどの対策】が行われているが効果は十分ではない。

下痢に対しては【治療、ケアなどの対策】が行われており【効果を具体的に記入】。

■患者・家族の思い、認識
Aさん(Aさんの家族)は下痢について【患者の反応(家族の反応)】と【話している、認識している】。

■適切・不適切の判断
(ゴードンの場合)
以上の情報から、下痢とそれに伴う弊害が認められる現在の状況は適切な状態とは言えない。

(ヘンダーソンの場合)
以上の情報から下痢とそれに伴う弊害が認められる現在の状況は異常な状態である。(正常な状態とは言えない。)

2.根拠の記載

■全身性浮腫をきたす疾患による下痢

【心不全、肝硬変、腎不全、ネフローゼ症候群、低栄養など】により全身性浮腫が生じると血管内の水分が組織間液(間質液)へ漏出して腸管粘膜や腸管壁に浮腫が生じる。これにより腸絨毛の機能が低下し、水分と電解質の吸収が著しく低下する。また、細胞間の結合が緩むことにより組織間液が腸管内へ滲出することも下痢の一因となる。この下痢はこれらの機序により生じている。

※全身性浮腫の機序については以下のアセスメント記事を参照してください。
【完全公開はnoteだけ!!】あっという間にすぐ書ける!浮腫のらくらくアセスメント

■胃切除術後の消化・吸収不良による下痢

胃切除により迷走神経が切断されると消化管の分泌刺激が低下する。また、消化物と消化液(胆汁・膵液)が十分に混ざらなくなり、消化・吸収障害が生じる。大腸に到達した炭水化物とたんぱく質は腸内細菌に分解されて、炭水化物からは短鎖脂肪酸やガスが生成され、たんぱく質からはアンモニア、硫化水素、フェノールなどの刺激性代謝産物が生成される。未消化の脂肪やこれらの分解産物は大腸を刺激し、水分と電解質の分泌を促すとともに蠕動運動を亢進させる。また、腸管内の浸透圧を上昇させるため水分の引き込みを助長する。加えて手術による腸管の蠕動運動の変化も下痢の一因となる。この下痢はこれらの機序により生じている。

■胃切除術後の早期ダンピング症候群による下痢

胃切除により高浸透圧の消化物が短時間のうちに急速に小腸に流入する。これにより腸管内の浸透圧が急激に上昇し、血液中から大量の水分が引き込まれる。その結果、腸管が急激に伸展して刺激されることにより腸管の蠕動運動が亢進する。この下痢はこれらの機序により生じている。

※早期ダンピング症候群による下痢以外の症状は以下のような機序になります。
1.循環器症状:血液中から腸管内に大量の水分が引き込まれることにより循環血液量が急激に低下し、血圧が低下する。これに対して代償的に交感神経が興奮するため頻脈、冷や汗、顔面蒼白、動悸が生じる。
2.その他の消化器症状:腸管内に大量の水分が引き込まれて腸管が伸展することにより腹部膨満、腹痛、悪心・嘔吐が生じる。

その他の根拠一覧

■胆汁による下痢
■膵臓疾患による下痢
■ロタウイルスによる下痢
■ノロウイルスによる下痢
■組織侵入型の細菌性大腸炎による下痢
■腸管出血性の細菌性大腸炎による下痢
■水分分泌性の細菌性大腸炎による下痢
■偽膜性大腸炎による下痢
■炎症性腸疾患(IBD)による下痢
■虚血性大腸炎による下痢
■甲状腺機能亢進症(バセドウ病)による下痢
■糖尿病神経障害による下痢
■即時型アレルギーによる下痢
■放射線性腸炎による下痢
■抗がん剤による遅発性下痢
■抗がん剤(トポイソメラーゼⅠ阻害薬)による早期性下痢
■抗菌薬による下痢
■副交感神経刺激薬による下痢
■交感神経抑制薬による下痢
■消化管運動機能改善薬による下痢
■鉄剤(造血剤)による下痢
■糖尿病治療薬による下痢
■浸透圧性下剤(塩類下剤)による下痢
■浸透圧性下剤(糖類下剤)による下痢
■刺激性下剤による下痢
■偽性下痢
■経管栄養による下痢
■乳糖不耐症による下痢
■脂肪が多く含まれる食べ物による下痢
■冷たい飲み物による下痢
■香辛料による下痢
■過敏性腸症候群(IBS)による下痢

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