【試し読み】-看護実習のすべてがわかる!-なんでなんだの看護過程ガイドブック


看護計画の本で損したくない人必見!
看護計画に迷ったら”初月無料”のなんでなんだナーシング×note

なんでなんだナーシングの計画は以下の様な流れになっています。計画を調べる際にご活用ください。



-看護実習のすべてがわかる!-なんでなんだの看護過程ガイドブックテーマ曲


アセスメント(評価)テーマ曲

-看護実習のすべてがわかる!-なんでなんだの看護過程ガイドブック 目次(全編確認用)

●はじめに

●序章「看護過程」とはなにか?
・看護過程の概要

 ・看護過程の展開
 ・実習はSOAP+PDCAと考えると分かりやすい
 ・看護実習は兎にも角にも評価と判断の練習!
 ・事前学習の本当の意味!

●第1章 情報収集
・なんのために情報収集をするのか?

 ・情報収集の枠組み ゴードンとヘンダーソンは全くの別物!?
 ・情報収集の種類
 ・情報収集を行う際の注意点

●第2章 アセスメント(評価)
・アセスメント(評価)に必要な思考法

 ・アセスメント(評価)ってなにを書けばいいの?
 ・問題につながる解釈・判断の書き方
 ・それはアセスメント(評価)じゃない!よくある間違い

●第3章 看護診断(患者の健康上の問題の特定)
・患者の健康問題には種類がある

 ・看護診断をさらに分ける
 ・看護診断の書き方
 ・看護診断(問題)の整理

 ●第4章 看護計画の立案
・看護計画の意義
・目標と成果の違い

 ・目標や成果の設定
 ・目標や成果の書き方
 ・看護計画の中身
 ・正しい看護計画を作るための手順

●第5章 看護計画の評価  
 ・なにを評価するの?
 ・どうやって評価するの?

●おわりに(ワーク付き)

はじめに

 本書は看護過程の一連の流れとポイントをまとめたものです。「看護実習」=「看護過程」と言っても過言ではないくらいに、看護実習ではほとんどの領域で看護過程を展開しています。看護過程を理解せずに実習に臨む学生は、その時々で自分がなにをすべきか分からないため先生や実習指導者に言われるがままに受動的に実習を進め、後手後手の対応となってしまいます。その結果、先生や実習指導者に言われるがままに進めたにも関わらず、低い実習評価を受けて再実習になってしまう様な事態を招いてしまうのです。
 それではどうすればいいのかと言うと、実習がはじまる前に看護過程を理解しておけばいいのです。その時々で自分がなにをすべきか分かっていれば、自分の考えを持って主体的に実習を進める事ができます。そこに先生や実習指導者から貰ったアドバイスをプラスしていけば、主体的に実習を進める事ができるだけでなく、実習に対する理解をより一層深める事ができます。

 本書では看護過程を1~5章に分けました。実習前に読んでいただくのがベストですが、すでに実習が始まっている方でも自分がどのタイミングでなにをすれば良いのか確認できる様にしています。

序章 「看護過程」とはなにか?

看護過程の概要

 看護過程は看護実践における体系的で継続的なアプローチであり、個別的な看護ケアを提供するための基本的な過程(道筋)です。看護過程には、アセスメント(評価)、看護診断、看護計画(目標設定)、看護の実施(介入)、評価の5つのステップがあります。

■看護過程の3つの特徴
1.体系的なアプローチ:看護過程は連続のステップからなり、アセスメント(評価)、看護診断、看護計画、看護の実施(介入)、評価という順番で進めます。この体系的なアプローチにより、看護師は患者の健康状態を評価し、適切なケアを選択し提供する事ができます。

2.継続的なプロセス:看護過程は循環的で継続的なプロセスです。患者の健康状態やニーズは日々変化するため、看護ケアもその度に修正されます。ケアと評価のステップによって、看護師は提供したケアの効果を確認し必要に応じて修正します。

3.患者中心の看護:看護過程は患者の個別のニーズに基づいています。患者の思いや意思を尊重し、個別的な看護ケアを提供する事が重要です。患者中心の看護により、看護師は患者の主体性を尊重し、患者のゴールに向けてケアを選択し提供します。

※看護過程の5つのステップと本書の構成は違います。
本書ではアセスメントの項目を情報収集とアセスメント(評価)に分けています。
また、看護の実施(介入)はありません。

看護過程の展開

 ここでは看護過程の5つのステップを1つ1つ解説します。

■アセスメント(情報収集+評価):患者から健康状態に関する情報を収集し、収集した情報が正常なのか異常なのか健康状態を評価します。次に健康状態の評価から患者の健康上にいまある問題や今後問題となり得るリスクの評価を行います。
【第1・2章で詳しく解説】

■看護診断:アセスメントで評価した内容を分析し、患者の問題を特定して明確にします。
【第3章で詳しく解説】

■看護計画(目標設定):看護診断で明確にした患者の問題を解決または患者の目標を達成するために計画を立案します。看護計画は次の様に作成します。
1.患者の状態やニーズに基づいて個別化する。(ケアの個別化)
2.ケアの方向性、目標、優先順位を明確にする。(ケアの方向性、目標や成果の設定)
3.誰が見ても同一のケアを行える様に立案する。(継続性の確保)
【第4章で詳しく解説】

■看護の実施(介入):計画したケアを患者に実施します。患者の状態は日々変化するため、立案した内容と患者の状態が合っているか確認し、必要なケアを判断して実施します。また、ケアの実施中や実施後に患者の状態や反応を観察します。

■評価:実施したケアが効果的であったかを評価します。評価は次の様に行います。
1.目標や成果が達成されたか判断する(達成度の評価)
2.目標や成果が達成されていない場合、計画の継続・追加・修正を判断する(計画の見直しと修正)
【第5章で詳しく解説】

看護過程はSOAP+PDCAと考えると分かりやすい

 ここまでは他の本にも載っている様などこにでもある内容です。しかし、これだけ見ても実習でなにをするのか具体的なイメージは湧かないのではないでしょうか?
 実習を経験した事がある人なら、言われてみればそういう流れだったと思うかもしれませんが、まだ実習を経験した事のない人にとっては小難しい事を言われてもなんの事やらサッパリでしょう……。
 そこで、本書では看護過程を実習の流れに沿ってさらに嚙み砕きます!
とても分かりやすくするために、看護過程は「SOAP+PDCAサイクル」と覚えてください!
まずは「SOAP」と「PDCAサイクル」について見ていきましょう。

※暗記する必要はありません。覚えるのではなく理解しましょう!

■SOAPとは?
看護や医療分野で一般的に使用される文書記録形式で、問題指向型診療録の1つです。それぞれの頭文字を取ってソープ(SOAP)と読みます。

Subjective(主観的情報):患者の反応の事。
(話し、問いかけに対する反応、自覚症状(痛みやかゆみなど))

Objective(客観的情報):医療者が見た情報の事。
(フィジカルアセスメント、バイタルサイン、行動、検査値など)

Assessment(情報の評価):SとOで収集した情報が正常なのか異常なのか健康状態を評価する事。

Plan(看護診断):アセスメントで評価した内容を分析し、患者の問題を特定して明確にする事。

■PDCAサイクルとは?
継続的な改善を促進するために使用されるフレームワークです。それぞれの頭文字を取ってそのままピーディーシーエー(PDCA)サイクルと読みます。

Plan(計画立案):SOAPのPで特定した患者の問題に対する目標や成果を設定し、実施するケアを立案する事。

Do(ケアの実施):計画立案したケアを実施する事。

Check(ケアの評価):実施したケアの効果を判断し評価する事。計画立案した目標や成果が達成されない場合、達成できなかった要因の分析を行う。

Action(改善):今後、看護計画をどの様にすればより良くなるかを検討し、改善すべき点や改善案を決定する事。

サイクル:改善すべき点や改善案を踏まえてPに戻り計画の追加や修正を行う事。

<PDCAサイクルのイメージ>
PDCA→PDCA→PDCA……(繰り返して改善していく)

「SOAP」と「PDCAサイクル」については分かりましたか?
ここで「看護過程の展開」と「SOAP+PDCAサイクル」を見比べてみてください。

■「看護過程の展開」と「SOAP+PDCAサイクル」
※( )の中は「SOAP+PDCAサイクル」を表します。

アセスメント(評価)(S+O+A)
看護診断(SOAPのP)
看護計画(目標設定)(PDCAサイクルのP)
看護の実施(介入)(D)
評価(C+A)

同じ流れを辿っていますね!
それではつぎに、実習の流れと「SOAP+PDCAサイクル」を合わせてみましょう。実習中に自分がどのタイミングでなにをすれば良いのか具体的なイメージができると思います。

■実習の流れと「SOAP+PDCAサイクル」
※( )の中は「SOAP+PDCAサイクル」を表します。

実習1~2日目:情報収集(S+O)
実習3~4日目:アセスメント(A)、関連図、看護診断(SOAPのP)
実習5~6日目:看護計画(PDCAサイクルのP)、ケアの実施(D)、ケアの評価(C)、ケアの改善(A)
以降:看護計画(PDCAサイクルのP)、ケアの実施(D)、ケアの評価(C)、ケアの改善(A)の繰り返し

領域によってはこの限りではありませんが、ほとんどの実習はこの流れとなります。
 はじめにで述べた様にその時々で自分がなにをすべきか分からないと後手後手の対応になります。なにをすべきか分からないのにただ一生懸命に実習を行っても良い結果には繋がりません。実習の流れを知り、いま自分がなにを行うべきか考える事で実習を主体的に進める事ができる様になるのです。

看護実習は兎にも角にも評価と判断の練習!

 看護実習では患者とのコミュニケーションや看護技術に目を向けがちです。これらは実習の大切な要素ではありますが、実習の本質は評価と判断の練習です。
 実習期間の中で患者の状態の評価、看護診断、どんなケアを行うべきか、実施したケアが効果的だったかと繰り返し評価と判断を行います。この様な評価と判断は言語化されていない事も多いのですが、臨床の場面では1日に何十回、何百回と行われています。
 どうしてそんなにも多くの評価と判断が行われているのかと言うと、看護は適切な根拠に基づいた実践を求められるからです。看護師は根拠に基づいた看護ケアを提供するため常に新たな知見や情報を収集し、自己の知識と照らし合わせながら患者にとって最適なケアを選択し提供しなければなりません。

実習場面で行われる評価と判断を以下にまとめました。

■実習で行われる評価と判断
1.アセスメント:収集した情報が正常なのか異常なのか健康状態を評価します。次に患者の健康上にいまある問題や今後問題となり得るリスクの評価を行います。

2.看護診断:患者の健康上の問題を判断します。患者の健康上の問題から優先順位を評価し、どの問題から取り組むべきか判断します。

3.看護計画:ケアの方向性、目標や成果、具体的な看護ケアを立案します。

4.計画の実施:立案した看護ケアを実施します。ケアを実施している中でケアが効果的であるか、計画に不足や修正点はないか評価します。

5.計画の評価:ケアが効果的であったか、計画に不足や修正点はなかったかを評価します。ケアが効果的でなかったり、計画に不足や修正点があった場合は計画のどこをどの様に追加・修正するか判断します。

実習は事前学習からはじまっている!

 ほとんどの看護学校では実習の前にその領域のメジャーな疾患などを調べる事前学習があります。実はこの事前学習は実習をより良く進めるためにとても大切な学習なんです!
 前項の看護実習は兎にも角にも評価と判断の練習!の中で「看護は適切な根拠に基づいた実践を求められます。看護師は根拠に基づいた看護ケアを提供するため、常に新たな知見や情報を収集し、自己の知識と照らし合わせながら、患者にとって最適なケアを選択し提供しなければなりません。」と述べました。
 例えば家のトイレで嘔吐している家族がいた時、あなたに医療知識が全くなければ嘔吐している原因、成り行き(これからどうなるのか)、どう対処すれば良いのか適切な評価や判断はできません。しかし、専門的な知識を持っていればその原因、成り行き(これからどうなるのか)や対処方法を適切に評価し判断できます。

上記の嘔吐している家族であれば、状況によってそれぞれ次の様に評価し判断する事ができます。

・嘔吐している家族が夜遅くまで多量のお酒を飲んでいた場合
評価:二日酔い
判断:様子を見ようかな

・嘔吐している家族が発熱している場合
評価:風邪
判断:病院に受診

・嘔吐している家族の呂律が回っていない場合
評価:脳卒中かも!
判断:すぐに救急車を呼ぼう!

 実習も同じです。あなたが受け持ち患者の疾患に対する知識がなければ、その患者に必要な情報、患者の状態、症状、経過、治療、必要なケアなど見当もつきません。だから事前学習が大切なんです!

 事前学習の量の多さに圧倒され、ただ言われた事を調べて書き写すだけでは意味がありません。まずは実習は事前学習から始まっている事を知ってください。そして次にどんな事を知っておいたら良いかを抑えておくべき8項目としてかんたんにまとめました。

■事前学習または患者の疾患が分かった時点で抑えておくべき8項目
※( )はこの限りではありません。実習内容、実習状況、患者や患者の状態により変化します。

1.病態生理:疾患が人体の生理学的な機能にどのような影響を与えるかを知る。
(情報収集、アセスメントに役立つ)

2.病因:疾患の原因や要因を知る。
(情報収集、アセスメントに役立つ)

3.検査:疾患特有の検査内容や検査値を知る。
(情報収集、アセスメントに役立つ)

4.症状、随伴症状:疾患特有の症状を知る。
(情報収集、アセスメント、看護診断、看護計画立案、患者の状態の変化を予測するのに役立つ)

5.合併症:疾患や症状の進行によっておこる合併症を知る。
(アセスメント、看護診断、看護計画立案、患者の状態の変化を予測するのに役立つ)

6.増悪因子:疾患が引き起こされるまたは悪化する原因や要因を知る。
(情報収集、アセスメント、看護計画立案、看護ケアの実施、患者の状態の変化を予測するのに役立つ)

7.治療:疾患の治療方法を知る。
(情報収集、アセスメント、看護計画立案、看護ケアの実施、患者の状態の変化を予測するのに役立つ)

8.経過、予後:疾患により患者がどの様な経過を辿るかを知る。
(アセスメント、看護計画立案、看護ケアの実施、患者の状態の変化を予測するのに役立つ)

第1章 情報収集

なんのために情報収集をするのか?

 情報収集を行う目的を一言で言うと「患者の健康状態をアセスメント(評価)するための材料さがし」です。この目的が分かっていないと、どこからどの様な情報を収集すれば良いか分からずにただ時間だけが過ぎていく、闇雲に受け持ち患者の情報を収集したものの後になって肝心な情報が抜けていた事に気付くなどの不都合が起こります。
 この目的を達成するためには「情報収集を行った後にどの様にアセスメント(評価)をするか」ではなく、「どの様にアセスメント(評価)できるかを踏まえて情報収集を行う」という考え方が大切になります。ちょっと分かりにくいと思った方は次の問いを考えてみてください。

Q.はじめて1人で買い物から料理までをする子どもがいます。A、Bどちらの方法で行うと効率が良いですか?

A.材料を買ってきてから、なんの料理を作るか決めて作る。

B.なんの料理を作るか決めて、材料を買ってきて作る。

Bの方が効率良く作れますよね!
これを情報収集に当てはめると次の様になります。

A.漠然と情報収集してから、どうやってアセスメント(評価)しようかと考えてアセスメント(評価)を始める

B.どうやってアセスメント(評価)できるかなと考えてから、必要な情報を収集する

 ここで大切なのが、評価をするためになんの情報が必要なのかを知っておく事です。それを知るためには序章の実習は事前学習からはじまっている!で述べた通り事前学習が役立つのです!

■ちょっとお知らせ
 なんでなんだナーシング2.0の中にある「疾患別看護計画(サクッとまるわかり!〇〇の看護診断)」のより良い使い方をお知らせします。
 先ほど、情報収集の考え方として「どの様にアセスメント(評価)できるかを踏まえて情報収集を行う」とありました。この「どの様にアセスメント(評価)できるかを踏まえる」には「〇〇の疾患にはどんな看護問題があるかを知る事」が近道となります。
「疾患別看護計画(サクッとまるわかり!〇〇の看護診断)」では、それぞれの疾患に起こり得る看護問題を一覧にしています。つまり、疾患別看護計画を見れば実習で受け持った患者にどんな問題が起きているか(または起こる可能性があるか)が分かります。

 ほとんどの場合、実習がはじまる前に実習で受け持つ患者の年齢、性別、疾患を知らされます。このタイミングで事前学習の抑えておくべき8項目に加えて、疾患別看護計画(サクッとまるわかり!〇〇の看護診断)を確認しておけば、実習をより良く進める事ができます。

なんでなんだナーシング2.0 疾患別看護計画(サクッとまるわかり!〇〇の看護診断)

情報収集の枠組み ゴードンとヘンダーソンは全くの別物!?

 実習で使用する看護理論は看護学校によって異なりますが、主に使用されるのはゴードンとヘンダーソンです。この2つの中身は全くの別物なので、それぞれの特徴を知らないと求められる事に対して適切な回答ができません。それぞれの特徴を見ていきましょう。

■ゴードンの機能的健康パターン
 ゴードンの機能的健康パターンは患者の全体像をアセスメント(評価)するための書式です。ゴードンは健康機能を11のパターンに分類し、それぞれのパターンでどんな内容を情報収集すればいいのかを誰でも分かる様に枠組み化しました。
 ゴードンと同じ様な患者の全体像をアセスメント(評価)するための書式にはNANDA-I(北米看護診断協会)があります。こちらは健康機能を13の領域に分類し、それぞれのパターンでどんな内容を情報収集すればいいのかを誰でも分かる様に枠組み化しています。これらは病院によっては、良いとこ取りでミックスされている事もあります。
 ゴードンの健康機能パターンでは、その患者がどんな状態であるか全体像を適切に把握するためのアセスメント(評価)に関する情報が求められます。
 それぞれのパータンにどんな項目を情報収集すれば良いのかは次の記事を参照してください。

【完全公開はnoteだけ!!】しっかり整理整頓!情報収集の素:ゴードンの機能的健康パターン

■ヘンダーソンの看護の基本となるもの
 ヘンダーソンの看護の基本となるものはヘンダーソンがまとめた看護理論です。すごく簡単に説明すると次の様になります。

ヘンダーソンの理論
 人間には14の基本的欲求があります。この14の基本的欲求のすべてが充足され、自身の体力・意志力・知識により自立して生活していれば健康と言えます。しかし、常在条件(年齢、気分、社会的状況や身体・知的能力など)や病理的状態(病気や手術など)の影響によって、基本的欲求が未充足になり、自身の体力・意志力・知識が不足し自立した生活ができなくなる事があります。この状態が病人です。
 看護師は14の基本的欲求を満たせる様に健康あるいは健康の回復の一助となれる様に援助する役割があります。基本的欲求が未充足になり、自身の体力・意志力・知識が不足し自立した生活できていない人ができるだけ早く自立できる様に手助けしましょう。

 ヘンダーソンの看護の基本となるものでは、14の基本的欲求が充足しているか未充足であるかをアセスメント(評価)するための情報が求められます。
 それぞれの基本的欲求にどんな項目を情報収集すれば良いのかは次の記事を参照してください。

【完全公開はnoteだけ!!】しっかり整理整頓!情報収集の素:ヘンダーソンの看護の基本となるもの

いかがでしたか?
 ゴードンとヘンダーソンではアセスメント(評価)する内容が異なるため、情報収集の項目や内容が異なります。ただし、最終的な目的は看護過程に沿って受け持った患者がどんな状態で、どんな看護問題があるか、どんな看護ケアを行えば良いか評価し判断する事です。そのため患者を見る角度は異なるものの目指すゴールは同じです。これは私的な考え方ですが、例えるならば、山登りで山頂を目指すのにルートAを使うかルートBを使うかの違いくらいに思っています。

注意:ただし「書式と理論はぜんぜん違うものです!」と断言する先生はいます。この内容をそのまま大っぴらに言うとそういった先生にめちゃくちゃ反論される可能性があるので、この内容をこのまま誰かに伝える時は相手を見てよく考えてからにしてください!

情報収集の種類

 情報収集にはいわゆる「S情報(主観的情報)」と「O情報(客観的情報)」の2種類あります。それぞれの内容を見ていきましょう。

Subjective(主観的情報)
 患者の反応の事です。話し、問いかけに対する反応、自覚症状(痛みやかゆみなど)がS情報(主観的情報)に当たり、問診や患者・家族との話しの中で得られます。
 実習場面では患者・家族と直接話した時の話の内容、その時の表情やしぐさから情報を得る事ができます。
 S情報(主観的情報)を得るためにはコミュニケーション能力が重要となります。世間話をしつつ情報収集したい内容をしっかりと抑えなければならないため、ただ話ができれば良いわけではありません。これはコミュニケーションが苦手な人にとっては大変難しい技術になります。しかし、あくまでもコミュニケーション技術なので、練習すれば習得できます。

※コミュニケーション技術については後にお役立ちツールとして記事にする予定です。今しばらくお待ちください。

■Objective(客観的情報)
 医療者が見た情報の事です。フィジカルアセスメント、バイタルサイン、行動、検査値などがO情報(客観的情報)に当たり、(電子)カルテやカーデックスから得られます。
 実習場面では(電子)カルテやカーデックスから情報を得る事ができます。種類がいくつかあるので、代表的なものをいくつか紹介します。

1.患者の基本情報(データベース):患者の個別的な情報。氏名、年齢、既往歴、アレルギー、感染症、入院までの経過、ADL、家族環境、自宅環境など患者の全般的な情報が記載されている。
(患者がどんな人なのかを知るのに役立つ)

2.看護問題リスト:看護問題が載っている一覧表。
(患者にどんな健康上の問題があるのかを知るのに役立つ)

3.看護計画:看護問題を解決するための目標と看護ケアの内容が記載されている。
(患者がどこを目指すのか、患者に行われているケアや注意点を知るのに役立つ)

4.看護記録(経過記録):患者の経過、治療や処置、看護ケアの実施、急変、インシデントが起こった時の状況などが記載されている。
(患者の入院生活の経過、状態の変化、治療内容、処置内容、ケアに対する反応や効果を知るのに役立つ)

5.検温板:患者のバイタルサインや観察項目が記載されている。
(患者の状態の変化や必要な観察項目を知るのに役立つ)

6.検査データ:血液検査、心電図検査や画像検査(レントゲンやCTなど)などの結果が記載されている。
(患者の状態がどうなのかを知るのに役立つ、先々に行う検査や治療を予測するのに使える)

7.看護サマリー:患者の経過、ADL、実施されたケアや残された問題をまとめた内容が記載されている。
(前の病院のものであれば患者の経過を知るのに役立つ、現在入院している病院のものであれば入院から記載された日付までの経過やADLを要約したものを見る事ができる)

※それぞれの名称、様式、使い方は病院によって異なります。

 上記の1~7に記載されている内容と使い方が分かれば、知りたい情報をどこから得られるのか容易に判断する事ができるため時間短縮につながります。看護学校独自の情報収集用紙がある場合は、実習がはじまる前になんの情報をどこから得られるのか事前にシュミレーションすれば、実習をより良く進める事ができます。

■情報収集あるある
 患者とのコミュニケーションが苦手な場合、O情報(客観的情報)の収集にたくさんの時間をかけてしまい、患者の側に行く時間が少なくなる事があります。
 看護記録は患者の言葉をそのまま一言一句書く必要はありません。そのため看護記録だけでは患者のS情報(主観的情報)は十分に収集できません。また、中には担当の看護師が毎日変わるため患者が自分の思いを看護師に十分に伝えられていないなんて事があります。これらの理由からコミュニケーションが苦手でも、できるだけ患者のところに行くのがベターです。
 必要な情報を必要なタイミングだけで取れば良いという考えもありますが、意外と実習指導者や現場のスタッフは「実習生の〇〇さんは患者のところに行くのが少ない。」などという話を休憩室でする事もあります。色々な考え方の人がいますが、ネガティブな意見は広がりやすいので注意を払うに越した事はありません!
 …とは言え強要はできませんし、無理に患者の所に行って実習が辛くなり休んでしまう様なら行かない方がいいです。できる範囲で良いので頑張ってください!

情報収集を行う際の注意点

 この項目では情報収集における注意すべきポイントをお伝えします。
 情報収集を行う上で大きな落とし穴となるのはあなた自身の思い込みや決めつけです。
 なんのために情報収集をするのか?の項目で「どの様にアセスメント(評価)できるかを踏まえて情報収集を行う」と述べましたが、あなた自身の強い思い込みや決めつけが入ってしまうと「この様にアセスメント(評価)できるからここだけ情報収集すればそれ以外は必要ない」の様な都合の良い内容に変換されてしまいます。その結果、自分の都合の良い情報しか収集しない、情報を歪曲化してしまう、こじつけて解釈するなどといった事をしてしまいます。実習前に事前学習で調べた疾患の経過はあくまでも一般的なものであり、同じ疾患名でもしっかりと細かく見れば原因、障害されている部位や程度が違います。それに伴い状態や症状も患者ごとに異なります。つまり実際の場面では一般的な疾患の知識+患者の個別性が反映されるので、一般的な疾患の知識だけで思い込みや決めつけをすると本当に重要な情報を見落としてしまいます。

具体的には次の思い込みや決めつけをした実習生Aさんと慎重に考えた実習生Bさんの例を見てください。

患者の情報:85歳男性、大腿骨頚部骨折の患者
この患者は保存的治療のため長期間ベッド上安静で過ごしています。
実習3日目に38.5℃まで発熱しました。

ここまでの情報で、思い込みや決めつけをした実習生Aさんは瞬時に次の様に考えました。
「85歳」+「長期ベッド上安静」+「発熱」=誤嚥性肺炎
そのためAさんは呼吸状態と食事摂取状況しか情報収集しませんでした。

一方で慎重に考えた実習生Bさんは大腿骨頚部骨折の保存的治療の際に起こり得る発熱する原因を調べると、誤嚥性肺炎のほかに尿路感染や褥瘡形成の可能性がある事が分かりました。そこで呼吸状態や食事摂取状況以外にも検査データ、全身の皮膚の状態や尿の性状などを情報収集しました。

結果:今回の発熱の原因は尿路感染だったので、思い込みや決めつけをした実習生Aさんは情報収集のやり直しとなり、慎重に考えた実習生Bさんはすぐに適切なアセスメント(評価)に繋げる事ができスムーズに実習を進める事ができました。

 思い込みや決めつけをした実習生Aさんの様に思い込みや決めつけの情報収集をしてしまうと、先生や実習指導者から何度もやり直しをくらう、アセスメント(評価)の方向性がどんどんズレていくなどその後の実習に多大な影響を及ぼす事となるので気を付けてください!
 あくまでも情報収集は「どの様にアセスメント(評価)できるかを踏まえて情報収集を行う」です。「この様にアセスメント(評価)できるからここだけ情報収集すればそれ以外は必要ない」に変換しない様に気を付けましょう。

ここまでの内容を読んで頂きありがとうございました!

本書で特に伝えたかった内容は序章で読んで頂いた次の2つの項目でした。

・実習はSOAP+PDCAと考えると分かりやすい
・看護実習は兎にも角にも評価と判断の練習!

実習は細かなテクニックも大切ですが、全体を理解して臨んで頂く事がなにより大切です。

 これより先の2章~5章は1章の様な看護過程の各ステップのポイントや注意点の解説が中心となります。 

 実習を楽に進めたい&さらに良いものにしたいと思った方はぜひ続きを読んでください。

 ひとまず、ここまででいいやと思った方はここで読むのを終わりにして、実習で困った時のために本書がある事を覚えておいてください。実習で困った時に本書に戻ってきて頂ければ、かならずお役に立てる様な内容になっています

続きを読む3つの方法

以下の内容は本書の続きを読む方法の説明です。

■続きを読む方法①
本記事は第1章までの無料記事です。すべての内容を読むためには有料記事の購入(¥1,760円)が必要となります。

>>>有料記事ですべての内容を読む(1760円/永年 ※初月無料はありません

■続きを読む方法②(※1)
なんでなんだナーシング2.0のメンバーシップに参加して頂くと初月無料で読む事ができます。2ヶ月目以降はすべての看護計画を最後まで閲覧できる、計画をダウンロードし放題などの特典付きで月額100円プランです。

>>>メンバーシップに参加してすべての内容を読む(100円/月 ※初月無料

※1.メンバーシップでの本書無料公開は今後予定している新サービス開始までの期間となります。ただし2024年3月31日まではかならず無料のままとします。

■続きを読む方法③(※2)
長期で計画を利用される方で本記事を読みたい方
は、「すべての看護計画が使える1冊:進化する計画で未来を切り拓け!(¥1,500円)」のマガジン購入で読む事ができます。マガジンはメンバーシップと同様の特典があります。マガジンは買い切りなので、15ヶ月以上メンバーシップを利用する可能性のある方はこちらがお得です

>>>有料マガジンですべての内容を読む(1500円/永年 ※初月無料はありません

※2.マガジン購入での本書無料公開は今後予定している新サービス開始までの期間となります。ただし2024年3月31日までは必ず無料のままとします。

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