本日の質問
実習で受け持っている患者さんの血液ガスデータを見て、pHが基準値より低く、アシドーシスだというのは分かったのですが、どのようにして呼吸性のアシドーシスか代謝性のアシドーシスなのか見分ければいいのですか?
本日の回答
アシドーシスの原因を考えることは、患者さんの全体像を把握するためにとても大切です。血液ガスのデータを見ると最初は戸惑うかもしれませんが、簡単なステップで考えれば大丈夫ですよ。一緒に整理していきましょう。
基本の考え方:「2人の容疑者」を探そう!
まず、体をアシドーシスに傾ける主な容疑者は2人いると考えてみてください。
容疑者1.呼吸の中にいるPaCO₂(二酸化炭素)
これは「酸性」の物質です。肺での換気がうまくいかないと体内に溜まります。
PaCO₂が増えれば体は酸性に、減ればアルカリ性に傾きます。
容疑者2.代謝の中にいるHCO₃⁻(重炭酸イオン)
これは「アルカリ性」の物質です。主に腎臓で調整されています。
HCO₃⁻が増えれば体はアルカリ性に、減れば酸性に傾きます。
この2人のどちらが、今回の「アシドーシス」という事件の主犯なのかを探していくイメージです。
原因を見分ける簡単2ステップ
これはもうクリアできていますね!pHが7.35未満なので「アシドーシス」です。ここがスタート地点です。
次に、PaCO₂とHCO₃⁻のどちらが「アシドーシス」を引き起こす方向に動いているかを確認します。
もし、PaCO₂が基準値より「高い」場合…
酸性の物質であるPaCO₂が増えているわけですから、これがアシドーシスの原因です。
この場合、主犯は「呼吸」なので、呼吸性アシドーシスと判断します。
もし、HCO₃⁻が基準値より「低い」場合…
アルカリ性の物質であるHCO₃⁻が減っているわけですから、相対的に体が酸性に傾きます。これがアシドーシスの原因です。
この場合、主犯は「代謝」なので、代謝性アシドーシスと判断します。
【ポイント】
pHと原因物質の動きが一致すると考えると分かりやすいかもしれません。
呼吸性アシドーシス: pH低下(↓)の原因は、酸である PaCO₂の上昇(↑)
代謝性アシドーシス: pH低下(↓)の原因は、アルカリである HCO₃⁻の低下(↓)
もう一歩進んだアセスメント:「代償」をみてみよう
原因がわかったら、次に「代償」という体の反応が起きているかを見てみましょう。
体はバランスを取るのが得意なので、どちらかが酸性に傾くと、もう一方が頑張って正常に戻そうとします。これを「代償」と呼びます。
呼吸性アシドーシスが主犯の場合…
相棒である「代謝(腎臓)」が頑張って、アルカリであるHCO₃⁻を増やそうとします。
もしHCO₃⁻が基準値より高くなっていたら、「ああ、腎臓が代償しようと頑張っているんだな」とアセスメントできます。
代謝性アシドーシスが主犯の場合…
相棒である「呼吸(肺)」が頑張って、酸であるPaCO₂を減らそうとします。
もしPaCO₂が基準値より低くなっていたら、「肺が代償しようと頑張っているんだな」とアセスメントできます。
この「代償」が起きているかどうかを見ることで、そのアシドーシスが急性なのか、慢性なのかを推測する手がかりになりますよ。
このステップで考えていけば、血液ガスのデータから患者さんの体の中で何が起きているのか、より深くアセスメントできるようになります。
本日のまとめ

