「身体だけ見てた…」実習で気づいた“3つの視点”の大切さとは?

なんでなんだアンサーズ

本日の質問

実習で「身体・精神・社会の3つの側面から捉えることがどうして重要なのか」と質問されました。身体的な側面が重要なことはわかるのですが、3つの側面から捉えるとなるとよくわかりません。助けてください!

本日の回答

3つの側面から捉えることは、最も大切な核心部分に関わる問いだと思います。最初は誰もが難しく感じるポイントなので一緒にじっくり考えていきましょう。

なぜ3つの側面が必要?

まず、患者さんという一人の人間を「3本脚の椅子」に例えてみましょう。

1本目の脚:身体

2本目の脚:精神

3本目の脚:社会

この椅子が安定するためには、3本の脚すべてがしっかりしている必要があります。もし、どれか1本の脚が短くなったり、ぐらついたりしたらどうなるでしょう?椅子全体が傾いて、不安定になってしまいますよね。

看護師の役割は、身体という1本の脚だけを修理する職人ではなく、椅子全体が安定するように3本の脚すべての状態を確認し、支える専門家なんです。

3つの側面は、パズルのように繋がり合っている

ここが一番大切なポイントですが、この3つの側面はバラバラに存在するのではなく、互いに強く影響し合っています。具体的な例で見てみましょう。

【例:糖尿病で食事療法が必要になったAさん】

1.身体的な問題

高血糖合併症のリスクがある。

→ 必要なケア:食事療法、運動療法、薬物療法の指導。

2.身体から始まる「精神状態(気持ち)の変化」

「もう好きなものが食べられないんだ…」という喪失感、ストレス。

「なぜ自分だけがこんな目に」という怒りや将来への不安。

→ この精神的な苦痛が強いと治療へのやる気がなくなり、隠れて間食してしまうかもしれません。

3.さらに広がる「社会(生活)への影響」

仕事が多忙で決まった時間に食事がとれない。

一人暮らしでバランスの取れた食事を毎食作るのは大変。

友人との外食や付き合いが減ってしまう孤独感。

経済的に治療費や健康的な食材の購入が負担になる。

→ この社会的な障壁があるとどんなに立派な食事計画を立てても実行が難しくなります。

つまり、Aさんの血糖値を安定させるという目標を達成するためには「食事制限がつらい」という精神的な側面に寄り添い、傾聴することや「一人暮らしでも実行できる簡単な調理法」を一緒に考えたり、経済的な支援制度を紹介したりする社会的な側面へのアプローチが不可欠なのです。

身体の問題は精神に、精神の問題は社会生活に、そして社会生活の問題は身体に…とすべては繋がり影響し合っているのです。

看護の専門性は、「繋がり」を見抜く力

この3つの側面を統合して捉えることは、単に情報をたくさん集めることではありません。

患者さんの「物語」を理解すること

病気(身体)を抱えながら、どんな気持ち(精神)で、どんな生活(社会)を送っているのか。その人だけの「物語」を理解することがスタートです。

問題の「根本原因」を見つけること

「血糖値が下がらない」という身体的な問題の裏に「孤独感からくる過食」という社会・精神的な問題が隠れているかもしれません。表面的なケアだけでなく、根本原因にアプローチできます。

その人らしい「強み」を活かすこと

「料理が苦手(課題)」だけど「娘さんとの関係は良好(強み)」。それなら「娘さんに週末に作り置きを協力してもらえないか一緒に相談してみるのはどうか?」というように、患者さんが本来持っている力を引き出すケアに繋がります。

指導者さんが問いかけたかったのは、この「繋がりを見抜き、その人全体を丸ごと支える視点」のことだと思います。これがまさに「全人的なケア」の本質であり、看護師ならではの素晴らしい専門性なんですよ。

この視点を意識すると、患者さん一人ひとりへの理解がぐっと深まり、アセスメントがもっと面白くなるはずです。

本日のまとめ

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