第114回看護師国家試験 午前問題【問31~60】解答・解説と国試対策のポイント

看護師国家試験

第114回看護師国家試験(午前問題 問31~60)の解答と、全選択肢の詳しい解説をまとめました。

この記事では、

・正解の根拠だけでなく、間違い選択肢の理由も徹底解説

・聞き流し学習ができるYouTube動画との連携

試験に出る関連知識や重要ポイントの整理

これらを網羅し、あなたの国試対策を強力にサポートします。
通学中や実習の合間など、スキマ時間の学習にぜひご活用ください。

それでは、問31から順に解説していきます。

目次

【問31】重症筋無力症に合併する頻度が最も高いのはどれか。

  1. 胸腺腫

  2. 胸膜中皮腫

  3. 甲状腺腫瘍

  4. 悪性リンパ腫

【正解】1

【30秒でわかる!ポイント解説】
重症筋無力症は、神経筋接合部のアセチルコリン受容体に対する自己抗体が原因の自己免疫疾患です。この自己抗体の産生に免疫を司る「胸腺」の異常が深く関わっており、特に胸腺腫の合併が多くみられます。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 胸腺腫: 正解。 重症筋無力症の患者の約15〜20%に胸腺腫が合併すると報告されており、最も頻度が高いです。胸腺摘出術が治療選択肢の一つとなることもあります。

  2. 胸膜中皮腫: 不正解。アスベスト(石綿)への曝露が主な原因とされる稀な腫瘍であり、重症筋無力症との直接的な関連はありません。

  3. 甲状腺腫瘍: 不正解。重症筋無力症は他の自己免疫疾患(橋本病など)を合併することがありますが、甲状腺腫瘍自体の合併頻度は胸腺腫に比べて高くありません。

  4. 悪性リンパ腫: 不正解。血液のがんの一種であり、重症筋無力症との直接的な関連は低いです。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 重症筋無力症の症状: 主な症状は、骨格筋の筋力低下と易疲労性(疲れやすさ)です。特に夕方になると症状が悪化する「日内変動」や眼瞼下垂、複視などの眼症状で発症することが多いのが特徴です。

【問32】令和2年(2020年)の患者調査における入院医療で正しいのはどれか。

  1. 都道府県別の受療率の差はない。

  2. 推計患者数が最も多いのは循環器系疾患である。

  3. 年齢階級別の受療率が最も高いのは80歳代である。

  4. 平均在院日数が最も長いのは精神及び行動の障害である。

【正解】4

【30秒でわかる!ポイント解説】
患者調査では、平均在院日数は「精神及び行動の障害」が突出して長いという点が頻出です。また、入院患者数は「循環器系疾患」ではなく「精神及び行動の障害」が最も多く、高齢化に伴い受療率は高齢層で高くなります。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 都道府県別の受療率の差はない。: 不正解。人口あたりの病床数や高齢化率などが異なるため都道府県によって受療率には差があります。一般的に西日本で高い傾向があります。

  2. 推計患者数が最も多いのは循環器系疾患である。: 不正解。入院の推計患者数が最も多いのは「精神及び行動の障害」です。ちなみに外来では「循環器系疾患」が最も多いです。

  3. 年齢階級別の受療率が最も高いのは80歳代である。: 不正解。年齢階級別の受療率は高齢になるほど高くなり、90歳以上で最も高くなります。

  4. 平均在院日数が最も長いのは精神及び行動の障害である。: 正解。 精神及び行動の障害の平均在院日数は約300日と他の疾患(結核や循環器疾患など)と比較して突出して長くなっています。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 3つの医療統計: 国試で問われる主な統計は「患者調査(3年に1回)」「国民生活基礎調査(3年に1回大規模調査)」「人口動態統計(毎年)」です。それぞれの調査目的と内容を区別して覚えておきましょう。

【問33】令和元年(2019年)の国民健康・栄養調査で正しいのはどれか。

  1. 20歳以上女性の喫煙率は7.6%

  2. 20歳代女性のやせの割合は10.5%

  3. 20歳以上女性の食塩摂取量の平均値は6.5g/日

  4. 20歳以上女性の野菜摂取量の平均値は400g/日

【正解】1

【30秒でわかる!ポイント解説】
国民健康・栄養調査の具体的な数値を問う問題です。細かい数字を全て覚えるのは難しいですが、喫煙率や食塩摂取量、野菜摂取量のおおよその傾向や目標値を知っておくと対応しやすくなります。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 20歳以上女性の喫煙率は7.6%: 正解。 令和元年の調査では、20歳以上の女性の喫煙率は7.6%でした。(ちなみに男性は27.1%)

  2. 20歳代女性のやせの割合は10.5%: 不正解。20歳代女性のやせ(BMI<18.5)の割合は20.7%であり、他の年代に比べて非常に高いのが特徴です。

  3. 20歳以上女性の食塩摂取量の平均値は6.5g/日: 不正解。20歳以上女性の食塩摂取量の平均値は9.3g/日です。健康日本21の目標値は7.0g/日未満であり、目標には達していません。

  4. 20歳以上女性の野菜摂取量の平均値は400g/日: 不正解。20歳以上女性の野菜摂取量の平均値は273.5g/日です。健康日本21の目標値は350g/日であり、目標には達していません。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 健康日本21(第二次)の目標値: 食塩摂取量「8g/日」、野菜摂取量「350g/日」などの目標値は覚えておくと選択肢の正誤判断に役立ちます。

【問34】患者の個別性を理解するために必要な概念はどれか。

  1. ダイバーシティ

  2. パターナリズム

  3. プライマリヘルスケア

  4. ソーシャルインクルージョン

【正解】1

【30秒でわかる!ポイント解説】
患者の個別性を理解するとは、その人の年齢、性別、国籍、文化、価値観、ライフスタイルなど様々な背景の違いを尊重することです。これはまさに「多様性」を意味する「ダイバーシティ」の概念そのものです。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. ダイバーシティ: 正解。 ダイバーシティ(多様性)は、人々の様々な違いを認識し尊重するという考え方であり、患者一人ひとりの個別性を理解するための基盤となる概念です。

  2. パターナリズム: 不正解。医療者が専門家として患者にとって最善と判断した治療方針を決定する「父権主義」的な考え方です。患者の個別性や自己決定権とは相反する概念です。

  3. プライマリヘルスケア: 不正解。すべての人々が健康を享受できる社会を目指すためのアプローチで「健康への基本的な権利」という考え方です。個別性よりは普遍性に焦点を当てた概念です。

  4. ソーシャルインクルージョン: 不正解。社会的に孤立しがちな人々を社会の一員として包み込み、支え合うという「社会的包摂」の理念です。

【さらに深掘り!関連知識】

  • インフォームド・コンセント: パターナリズムの対極にあるのが、患者が十分な説明を受けた上で自らの意志で治療方針に同意する「インフォームド・コンセント」です。これは患者の個別性と自己決定権を尊重する上で不可欠です。

【問35】入院中のAさんは昨晩、体温が38.8℃であったため解熱剤の坐薬を使用した。
今朝の検温では37.0℃であった。Aさんが「ずっとお風呂に入っていないから背中がかゆい」と話したため、看護師が確認すると背部に発汗がみられた。
客観的情報の記録で適切なのはどれか。

  1. 背中がかゆい。

  2. 背部に発汗がある。

  3. 坐薬の効果があった。

  4. 全身清拭を実施する。

【正解】2

【30秒でわかる!ポイント解説】
看護記録における客観的情報(O情報)とは、看護師が五感(視覚、聴覚、触覚、嗅覚)を使って観察・測定した「事実」のことです。「背部に発汗がある」は看護師が見て確認した事実なので客観的情報です。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 背中がかゆい。: 不正解。これは患者本人しか感じられない訴えであり、主観的情報(S情報)に分類されます。

  2. 背部に発汗がある。: 正解。 看護師が視診や触診によって確認できる客観的な事実であり、O情報として記録するのに適切です。

  3. 坐薬の効果があった。: 不正解。これは「体温が37.0℃に下がった」「発汗がみられる」という客観的情報と「解熱した」という患者の言動などから導き出される「アセスメント(A)」です。

  4. 全身清拭を実施する。: 不正解。これはアセスメントに基づいて立案される「計画(P)」です。

【さらに深掘り!関連知識】

  • SOAP形式の看護記録:

    • S (Subjective data): 主観的情報(患者の訴え)

    • O (Objective data): 客観的情報(観察・測定した事実)

    • A (Assessment): SとOに基づいた評価・分析・判断

    • P (Plan): Aに基づいた看護計画
      この4つの分類は看護記録の基本です。

【問36】人体には使用しない消毒薬はどれか。

  1. グルタラール

  2. ポビドンヨード

  3. 塩化ベンザルコニウム

  4. クロルヘキシジングルコン酸塩

【正解】1

【30秒でわかる!ポイント解説】
グルタラール(グルタルアルデヒド)は強力な殺菌作用を持つ一方で、人体への毒性も強い消毒薬です。そのため皮膚や粘膜には絶対に使用せず、内視鏡などの医療器具の滅菌・消毒に用いられます。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. グルタラール: 正解。 人体への刺激性や毒性が強いため手指や皮膚の消毒には用いられません。医療器具専用の消毒薬です。

  2. ポビドンヨード: 不正解。ヨウ素を含む消毒薬で手術部位の皮膚や手指の消毒に広く用いられます。

  3. 塩化ベンザルコニウム: 不正解。逆性石鹸とも呼ばれ、手指や皮膚、粘膜の消毒に用いられます。

  4. クロルヘキシジングルコン酸塩: 不正解。広範囲の微生物に有効で、持続効果もあるため手指消毒や手術部位の皮膚消毒などに広く用いられます。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 消毒薬の使い分け: 消毒薬は、対象物(人体、器具、環境)や目的(殺菌レベル)によって適切に使い分ける必要があります。グルタラールとフタラールは「高水準消毒薬」として器具消毒に用いられる、と覚えておきましょう。

【問37】リラクセーションを目的とした腹式呼吸の方法で適切なのはどれか。

  1. 浅い呼吸を繰り返す。

  2. 呼吸に意識を集中する。

  3. 1分間に20回のペースで行う。

  4. 吸気と呼気の時間の比率を2:1とする。

【正解】2

【30秒でわかる!ポイント解説】
リラクセーションのための腹式呼吸では、自分の呼吸そのものに注意を向けることが最も重要です。ゆっくりと息を吐ききることに集中することで副交感神経が優位になり、心身がリラックスします。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 浅い呼吸を繰り返す。: 不正解。浅く速い呼吸(胸式呼吸)は交感神経を刺激し、緊張状態を招きます。腹式呼吸では、深くゆっくりとした呼吸を行います。

  2. 呼吸に意識を集中する。: 正解。 息を吸うときにお腹が膨らみ、吐くときにへこむ感覚や鼻を通る空気の流れなどに意識を向けることで、雑念から離れリラクセーション効果が高まります。

  3. 1分間に20回のペースで行う。: 不正解。成人の安静時呼吸数は12〜20回/分ですが、リラクセーション目的ではそれよりもずっとゆっくりしたペース(例:6〜10回/分)で行います。

  4. 吸気と呼気の時間の比率を2:1とする。: 不正解。副交感神経を優位にするためには、吸う時間よりも吐く時間を長くするのが効果的です。一般的に吸気と呼気の比率は「1:2」が推奨されます。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 腹式呼吸の具体的な方法:

    1. 楽な姿勢をとり、軽く目を閉じる。

    2. 鼻からゆっくり息を吸い込み、お腹を膨らませる(3〜4秒)。

    3. 口をすぼめて、吸った時間の倍くらいの時間をかけてゆっくりと息を吐ききる(6〜8秒)。
      このサイクルを繰り返します。

【問38】高濃度の酸素吸入によってCO₂ナルコーシスを生じる危険性が最も高いのはどれか。

  1. 無気肺

  2. 肺塞栓症

  3. 間質性肺炎

  4. 慢性閉塞性肺疾患〈COPD〉

【正解】4

【30秒でわかる!ポイント解説】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者さんは、慢性的に体内の二酸化炭素(CO₂)濃度が高い状態に慣れています。そのため呼吸の原動力が「低酸素刺激」に依存しています。ここで高濃度の酸素を投与するとその刺激がなくなり、呼吸が抑制されてCO₂がさらに蓄積するCO₂ナルコーシスに陥る危険があります。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 無気肺: 不正解。肺の一部が虚脱した状態では低酸素血症の原因となりますが、CO₂ナルコーシスのリスクはCOPDほど高くありません。

  2. 肺塞栓症: 不正解。肺の血管が詰まる疾患で、急性の呼吸困難や低酸素血症をきたします。CO₂ナルコーシスの典型的な原因疾患ではありません。

  3. 間質性肺炎: 不正解。肺胞の壁が硬くなる疾患で、低酸素血症が主症状となります。

  4. 慢性閉塞性肺疾患〈COPD〉: 正解。 Ⅱ型呼吸不全(低酸素血症と高炭酸ガス血症)を呈するCOPD患者は、CO₂ナルコーシスの最も代表的なハイリスク群です。

【さらに深掘り!関連知識】

  • COPD患者への酸素療法: CO₂ナルコーシスのリスクがあるためCOPD患者への酸素療法はSpO₂の目標値を88〜92%程度に設定し、低流量(例:1〜2L/分)から慎重に開始します。ベンチュリーマスクを用いるとより正確な酸素濃度の投与が可能です。

【問39】左肘を固定するために三角巾を置く位置を図に示す。
適切なのはどれか。

(出典:厚生労働省 第114回看護師国家試験 午前問題 問39)

【正解】1

【30秒でわかる!ポイント解説】
三角巾で腕を吊る(前腕をつる)場合、基本は①前腕全体を安定して支えること、②手首が肘より少し高くなるようにすること、③指先が出るようにすることです。図①が、この条件を最もよく満たしています。

【なぜ?がわかる詳細解説】
※図を参照して解説します。

  1. ①: 正解。 三角巾の頂点を肘に向け、前腕全体を下からしっかりと支えています。手首が肘よりもやや高くなる角度で指先が外に出ており、循環状態の観察も可能です。最も安定した適切な固定法です。

  2. ②: 不正解。三角巾が手首側に寄りすぎており、肘を支えられていません。これでは前腕が安定しません。

  3. ③: 不正解。三角巾が小さすぎるか、位置が不適切で前腕の半分程度しか支えられていません。手首が下がり不安定です。

  4. ④: 不正解。三角巾の向きが逆です。これでは腕を吊ることができません。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 三角巾の結び目: 結び目は首の後ろの頸椎の上ではなく、首の横(患側と反対側の鎖骨上窩あたり)に作ると頸部への負担を軽減できます。結び目の下にはパッドを当てるとさらに快適です。

【問40】新鮮凍結血漿の説明で正しいのはどれか。

  1. 30〜37℃の湯で融解する。

  2. 輸血には輸液セットを使用する。

  3. 融解後は48時間以内に使用する。

  4. 融解後に直ちに使用しない場合は20〜24℃で保管する。

【正解】1

【30秒でわかる!ポイント解説】
新鮮凍結血漿(FFP)は、血液凝固因子を補充するために使われる血液製剤です。使用直前に品質を損なわないよう30〜37℃の恒温水槽で急速に融解するのが原則です。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 30〜37℃の湯で融解する。: 正解。 血液凝固因子の活性を失わせないため、体温に近い30〜37℃の恒温槽や専用の融解装置を用いて30分以内に急速融解します。

  2. 輸血には輸液セットを使用する。: 不正解。血液製剤の投与には、微小な凝集塊などを除去するためのフィルターが付いた「輸血セット」を使用する必要があります。一般的な輸液セットは使用できません。

  3. 融解後は48時間以内に使用する。: 不正解。新鮮凍結血漿(FFP)は細菌汚染のリスクや凝固因子の失活があるため、融解後は直ちに使用するのが原則です。やむを得ず保管する場合は2〜6℃で保存し、融解後24時間以内に使用します。

  4. 融解後に直ちに使用しない場合は20〜24℃で保管する。: 不正解。血液製剤を室温で放置することは細菌増殖のリスクが非常に高いため禁忌です。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 新鮮凍結血漿(FFP)の適応: 主な適応は、複数の凝固因子の欠乏による出血傾向(例:肝硬変、播種性血管内凝固症候群〈DIC〉、大量輸血時)です。

お疲れ様です!まずは最初の10問クリアですね。
この調子でサクサクいきましょう!

中盤戦!【問41~50】

こちらも動画で聞き流してから読むとさらに頭に入りやすいですよ。

【問41】一次救命処置〈BLS〉で回復体位はどれか。

(出典:厚生労働省 第114回看護師国家試験 午前問題 問41)

【正解】2

【30秒でわかる!ポイント解説】
回復体位は、意識はないものの正常な呼吸がある傷病者に対して嘔吐物などによる窒息を防ぐためにとらせる体位です。横向きに寝かせ、下側の腕を体の前に、上側の膝を曲げて安定させるのが特徴です。

【なぜ?がわかる詳細解説】
※図を参照して解説します。

  1. ①: 不正解。これは基本的な「仰臥位」です。意識の確認や胸骨圧迫を行う際の体位です。

  2. ②: 正解。 これが「回復体位」です。体を横向きにし、気道を確保しやすく、嘔吐した場合でも自然に体外へ排出されやすい体勢です。

  3. ③: 不正解。これは足を高く挙上する体位で、かつて「ショック体位」と呼ばれていましたが、現在のガイドラインではルーチンでの実施は推奨されていません。

  4. ④: 不正解。上半身を少し起こした体位で「ファウラー位」に近い形です。呼吸困難のある患者の安楽な体位として用いられます。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 回復体位をとらせるタイミング: 一次救命処置(BLS)の流れの中で「反応なし、ただし正常な呼吸あり」と判断した場合、救急隊の到着を待つ間この体位をとらせます。「反応なし、呼吸なし(または死戦期呼吸)」の場合は、ただちに胸骨圧迫を開始します。

【問42】上部消化管内視鏡検査で適切なのはどれか。

  1. 検査前日の就寝前に緩下薬を内服する。

  2. 検査の12時間前から禁食とする。

  3. 検査時の体位は右側臥位とする。

  4. 終了直後から飲食は可能である。

【正解】2

【30秒でわかる!ポイント解説】
上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)では、胃の中を空にしておく必要があるため検査前の絶食が必須です。また、検査後は咽頭麻酔の効果が切れるまで誤嚥を防ぐために絶飲食となります。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 検査前日の就寝前に緩下薬を内服する。: 不正解。緩下薬(下剤)を使用するのは大腸内を空にする必要がある下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)です。

  2. 検査の12時間前から禁食とする。: 正解。 安全に検査を行うため通常は検査前日の夕食後(21時頃)から絶食となります。施設により8〜12時間と幅がありますが、選択肢の中では最も適切です。

  3. 検査時の体位は右側臥位とする。: 不正解。検査時の体位は、胃の形状からスコープの挿入がしやすく唾液などが気管に流れ込みにくい「左側臥位」が基本です。

  4. 終了直後から飲食は可能である。: 不正解。検査時に咽頭麻酔を使用するため、麻酔の効果が切れるまで(約1〜2時間)は誤嚥のリスクが非常に高く絶飲食となります。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 検査後の観察: 咽頭麻酔の覚醒状態(含嗽テストなど)の確認に加え、腹痛、吐血・下血の有無、バイタルサインの変動など、偶発症(穿孔や出血など)の徴候がないかを注意深く観察します。

【問43】成年後見制度で正しいのはどれか。

  1. 地域生活支援事業の1つとして位置づけられる。

  2. 後見の対象者は大体のことを自分で判断できる者である。

  3. 審判を受けるための申し立て先は社会福祉協議会である。

  4. 法定後見制度とは判断能力の低下に備えあらかじめ後見人を決めておくことである。

【正解】1

【30秒でわかる!ポイント解説】
成年後見制度は、認知症や知的障害などで判断能力が不十分な方の財産管理や身上保護を行い権利を守る制度です。市町村が行う「地域生活支援事業」のメニューの一つとして制度の利用支援が含まれています。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 地域生活支援事業の1つとして位置づけられる。: 正解。 障害者総合支援法に基づく市町村の地域生活支援事業の中に成年後見制度の利用支援事業が含まれており、申し立ての支援や費用の助成などが行われます。

  2. 後見の対象者は大体のことを自分で判断できる者である。: 不正解。「後見」の対象は、判断能力が「常に欠けている状態」の方です。判断能力が「著しく不十分」な場合は「保佐」、「不十分」な場合は「補助」の対象となります。

  3. 審判を受けるための申し立て先は社会福祉協議会である。: 不正解。申し立て先は、本人の住所地を管轄する「家庭裁判所」です。

  4. 法定後見制度とは判断能力の低下に備えあらかじめ後見人を決めておくことである。: 不正解。これは「任意後見制度」の説明です。「法定後見制度」は、判断能力が低下した後に家庭裁判所が後見人等を選任する制度です。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 法定後見の3類型: 判断能力のレベルに応じて「後見(常に欠く)」「保佐(著しく不十分)」「補助(不十分)」の3つに分かれます。このレベルと名称の対応は重要です。

【問44】要介護認定者であっても、訪問看護が医療保険で提供される疾患はどれか。

  1. 糖尿病

  2. 認知症

  3. 脳梗塞

  4. 多発性硬化症

【正解】4

【30秒でわかる!ポイント解説】
訪問看護の利用は、原則として介護保険が優先されます。しかし、末期がんや厚生労働大臣が定める特定の難病などの場合は、要介護認定を受けていても医療保険が適用されるというルールがあります。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 糖尿病: 不正解。糖尿病は介護保険による訪問看護の対象となります。

  2. 認知症: 不正解。認知症も介護保険による訪問看護の対象です。

  3. 脳梗塞: 不正解。脳梗塞後遺症も介護保険による訪問看護の対象です。

  4. 多発性硬化症: 正解。 多発性硬化症は、厚生労働大臣が定める疾病等に含まれるため要介護認定者であっても医療保険による訪問看護が提供されます。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 医療保険が適用される主な対象:

    1. 厚生労働大臣が定める疾病等(末期の悪性腫瘍、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉、パーキンソン病関連疾患など)

    2. 急性増悪期

    3. 精神科訪問看護
      これらの場合は医療保険が優先されます。

【問45】A さん78 歳、女性は認知症(dementia)があり、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準 Ⅰである。1人で暮らしており、かかりつけの医師から処方された複数の内服薬を1日1回服用している。嚥下障害はない。A さんは「薬がたくさんあって、余る薬 もあるのよ」と訪問看護師に話した。
このときの服薬管理で適切なのはどれか。

  1. 内服薬を一包化する。

  2. 薬剤の形状を変更する。

  3. 訪問看護師の訪問時に内服する。

  4. 複数の内服薬を1つの箱にまとめて保管する。

【正解】1

【30秒でわかる!ポイント解説】
薬の飲み忘れや飲み間違い、重複内服がある高齢者への最も有効な支援策は、服薬管理をシンプルにすることです。1回に飲む薬を1つの袋にまとめる「一包化」はその代表的な方法です。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 内服薬を一包化する。: 正解。 医師や薬剤師に相談し、朝・昼・夕など服用時点ごとに薬を1つの袋にまとめる(一包化)ことで飲み間違いや飲み忘れを大幅に減らすことができます。

  2. 薬剤の形状を変更する。: 不正解。錠剤を粉砕するなど薬剤の形状を勝手に変更することは、薬効に影響を与える可能性があるため必ず医師や薬剤師の指示が必要です。

  3. 訪問看護師の訪問時に内服する。: 不正解。訪問看護が週に数回の場合、1日3回の全ての服薬を管理することは不可能です。

  4. 複数の内服薬を1つの箱にまとめて保管する。: 不正解。PTPシートから出した複数の薬を1つの箱に混ぜてしまうと、どれがどの薬か分からなくなり、誤薬のリスクが非常に高くなります。

【さらに深掘り!関連知識】

  • その他の服薬支援: 一包化に加え、お薬カレンダーやお薬ボックス、服薬時間を知らせるアラーム機能などを活用することも有効です。本人の生活リズムに合わせた支援を考えることが重要です。

【問46】介護保険制度のケアマネジメントで適切なのはどれか。

  1. 地域の課題を抽出する。

  2. 地域ケア会議を開催する。

  3. 要介護状態区分を判定する。

  4. 対象者のモニタリングを行う。

【正解】4

【30秒でわかる!ポイント解説】
ケアマネジメントとは、介護支援専門員(ケアマネジャー)が利用者一人ひとりに対して行う一連の支援プロセスのことです。そのプロセスには、アセスメント、ケアプラン作成、実施、そして「モニタリング(評価)」が含まれます。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 地域の課題を抽出する。: 不正解。これは個別のケアマネジメントではなく、地域包括支援センターなどが行う地域全体の課題把握(地域アセスメント)に関連する業務です。

  2. 地域ケア会議を開催する。: 不正解。地域ケア会議は、個別の困難事例の検討を通じて地域の課題を発見して地域づくりにつなげるための会議であり、ケアマネジメントのプロセスそのものではありません。

  3. 要介護状態区分を判定する。: 不正解。要介護認定の判定は、市町村に設置される介護認定審査会が行います。ケアマネジャーの業務ではありません。

  4. 対象者のモニタリングを行う。: 正解。 モニタリングは、作成したケアプラン通りにサービスが提供されているか、利用者の状態に変化はないか、新たなニーズは発生していないかなどを定期的に確認するケアマネジメントの必須のプロセスです。

【さらに深掘り!関連知識】

  • ケアマネジメントのプロセス(居宅介護支援): ①インテーク(受理面接)→②アセスメント(課題分析)→③ケアプラン原案作成→④サービス担当者会議→⑤ケアプラン作成・交付→⑥サービスの実施→⑦モニタリング。この流れは重要です。

【問47】急性期の患者に起きる生体反応で正しいのはどれか。

  1. エネルギー代謝が低下する。

  2. 蛋白質の同化が異化を上回る。

  3. カテコールアミンの分泌が亢進する。

  4. 抗利尿ホルモン〈ADH〉の分泌が低下する。

【正解】3

【30秒でわかる!ポイント解説】
手術や外傷、重症感染症などの急性期には、体は強烈なストレスに晒されます。これに対抗するため交感神経が活発になり、アドレナリンなどの「カテコールアミン」やコルチゾールが大量に分泌され、体は「闘争モード」(異化亢進状態)に入ります。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. エネルギー代謝が低下する。: 不正解。生体は侵襲に対抗するためエネルギー消費が増大し、代謝は「亢進」します。

  2. 蛋白質の同化が異化を上回る。: 不正解。エネルギー産生のため筋肉などの蛋白質が分解される「異化」が体を作る「同化」を上回ります(異化亢進)。

  3. カテコールアミンの分泌が亢進する。: 正解。 交感神経が緊張し、副腎髄質からアドレナリンやノルアドレナリン(カテコールアミン)の分泌が亢進します。これにより心拍数や血圧が上昇します。

  4. 抗利尿ホルモン〈ADH〉の分泌が低下する。: 不正解。侵襲(ストレス)はADHの分泌を「亢進」させます。これにより体内に水分を保持し、循環血液量を維持しようとします。その結果、尿量は減少します(乏尿)。

【さらに深掘り!関連知識】

  • サージカルストレス: 手術侵襲によって引き起こされる一連の生体反応を指します。カテコールアミン、コルチゾール、ADH、アルドステロンなどのホルモン分泌が亢進し、高血糖、異化亢進、水・ナトリウムの貯留などが起こります。

【問48】セルフヘルプグループについて正しいのはどれか。

  1. 医療従事者が運営する。

  2. 営利を目的にした団体である。

  3. 当事者同士の交流による心理的効果がある。

  4. 在籍年数の長いメンバーの意見が重視される。

【正解】3

【30秒でわかる!ポイント解説】
セルフヘルプグループとは、同じ疾患や障害、依存症など、共通の課題を抱える「当事者」たちが自主的に運営するグループです。専門家ではなく、同じ立場の仲間と体験を分か- ち合うこと(ピアサポート)で孤独感の軽減などの心理的効果を得ることを目的とします。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 医療従事者が運営する。: 不正解。運営の主体はあくまで当事者です。医療従事者は、専門家として助言を求められることはあっても運営の中心ではありません。

  2. 営利を目的にした団体である。: 不正解。ほとんどのセルフヘルプグループは、非営利で運営されています。

  3. 当事者同士の交流による心理的効果がある。: 正解。 自分の体験を安心して話せる場があることや同じ悩みを抱える仲間がいると知ることで孤独感が和らぎ、自己肯定感が高まるなどの心理的効果(エンパワメント)が期待できます。

  4. 在籍年数の長いメンバーの意見が重視される。: 不正解。メンバー間の関係は、経験年数にかかわらず対等であることが基本原則です。

【さらに深掘り!関連知識】

  • セルフヘルプグループの例: アルコール依存症の自助グループである断酒会やAA(アルコホーリクス・アノニマス)、がん患者会、難病の患者会、ひきこもりの当事者会など、様々なグループが存在します。

【問49】終末期癌患者にみられる悪液質の徴候はどれか。

  1. 体重減少

  2. がん性疼痛

  3. リンパ浮腫

  4. 末梢神経障害

【正解】1

【30秒でわかる!ポイント解説】
悪液質(カヘキシア)とは、がんなどの慢性疾患に伴って生じる著しい栄養障害状態のことです。単なる栄養不足とは異なり、体内で炎症性サイトカインが過剰に産生されることで代謝異常が起こり、食欲不振に加えて脂肪組織や筋肉が進行性に減少していくのが特徴です。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 体重減少: 正解。 脂肪組織と骨格筋量の持続的な減少を伴う体重減少は、悪液質の最も中心的な徴候です。

  2. がん性疼痛: 不正解。疼痛はがん患者の主要な症状ですが、悪液質の直接の徴候ではありません。

  3. リンパ浮腫: 不正解。リンパ浮腫は、がんの浸潤や手術・放射線治療によるリンパ流の障害で起こる浮腫であり、悪液質とは病態が異なります。

  4. 末梢神経障害: 不正解。化学療法(抗がん剤)の副作用としてよく見られる症状ですが、悪液質の徴候ではありません。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 悪液質の3段階: 悪液質は①前悪液質、②悪液質、③不応性悪液質の3段階に分類されます。早期からの栄養療法や薬物療法、運動療法などの介入が重要とされています。

【問50】がん患者の家族における社会的苦痛はどれか。

  1. 「患者にはどのがん治療が適切なのか」

  2. 「なぜ自分の家族はがんに罹患したのか」

  3. 「患者のがん治療を代わることはできないのか」

  4. 「治療の期間が長くなり、出費が続くと自分の生活はどうなるのか」

【正解】4

【30秒でわかる!ポイント解説】
「社会的苦痛」とは、経済的な問題(治療費、収入減少)、仕事上の問題、家庭内での役割の変化、人間関係の変化など、社会生活に関連して生じる苦痛のことです。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 「患者にはどのがん治療が適切なのか」: 不正解。これは治療選択に関する悩みであり、主に心理的苦痛や身体的苦痛に関連します。

  2. 「なぜ自分の家族はがんに罹患したのか」: 不正解。これは存在の意味を問うような悩みであり「スピリチュアルな苦痛」に分類されます。

  3. 「患者のがん治療を代わることはできないのか」: 不正解。これは無力感や罪悪感などから生じる「心理的(精神的)苦痛」です。

  4. 「治療の期間が長くなり、出費が続くと自分の生活はどうなるのか」: 正解。 治療費やそれに伴う生活の変化といった経済的な問題は「社会的苦痛」の典型例です。

【さらに深掘り!関連知識】

  • トータルペイン(全人的苦痛): 緩和ケアの基本となる考え方で、患者や家族の苦痛を①身体的苦痛、②精神的(心理的)苦痛、③社会的苦痛、④スピリチュアルな苦痛の4つの側面に分けて捉え、包括的にケアすることの重要性を示しています。

お疲れ様です!残りはあと10問。ラストスパートです!
最後の力を振り絞って国家試験の問題をマスターしちゃいましょう!

最終ブロック!【問51~60】

【問51】Aさん(27歳、男性)は、突然の胸痛と呼吸困難があり、救急外来を受診した。意識は清明。身長179cm、体重63kg、胸郭は扁平である。20歳から1日50本の喫煙をしている。バイタルサインは、体温36.1℃、呼吸数22/分、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO₂)96%(room air)である。
胸部CT(別冊No. 2)を示す。
Aさんの所見から考えられるのはどれか。

(出典:厚生労働省 第114回看護師国家試験 午前問題 問51 別冊No.2)

  1. 酸素吸入が必要である。

  2. 抗菌薬投与が必要である。

  3. 右肺野の呼吸音は減弱している。

  4. 左胸腔内は液体成分で占められている。

【正解】3

【30秒でわかる!ポイント解説】
長身痩せ型の若年男性、喫煙歴、突然の胸痛・呼吸困難というキーワードと胸部CT画像で右肺が虚脱している所見から診断は「右自然気胸」です。肺が虚脱しているため、その部位の呼吸音は聴こえにくく(減弱)なります。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 酸素吸入が必要である。: 不正解。SpO₂が96% (room air) であり、現時点では重篤な低酸素血症には至っていないため緊急の絶対的適応ではありません。ただし、呼吸困難感の緩和目的で投与されることはあります。

  2. 抗菌薬投与が必要である。: 不正解。自然気胸は感染症ではないため抗菌薬投与は不要です。発熱などの感染兆候もありません。

  3. 右肺野の呼吸音は減弱している。: 正解。 CT画像で右肺が虚脱し、胸腔内に空気が溜まっていることがわかります。虚脱した肺には空気が入らないため聴診すると右肺野の呼吸音は著しく減弱または消失します。

  4. 左胸腔内は液体成分で占められている。: 不正解。CT画像で異常があるのは「右」胸腔であり、溜まっているのは液体(白っぽく写る)ではなく空気(黒く写る)です。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 自然気胸: 明らかな原因なく肺に穴が開き、空気が漏れて肺が虚脱する疾患です。長身痩せ型(ブラ形成が原因)の若年男性に好発します。

  • 緊張性気胸: 漏れた空気が胸腔内にパンパンに溜まり心臓や健側の肺を圧迫する重篤な状態です。CT画像では、縦隔(心臓や気管)が健側(左側)に圧排されている所見がみられ緊急の胸腔ドレナージが必要です。

【問52】膵頭十二指腸切除術においてドレーンを留置する場所で正しいのはどれか。

  1. Magendie〈マジャンディー〉孔

  2. Winslow〈ウィンスロー〉孔

  3. Luschka〈ルシュカ〉孔

  4. Monro〈モンロー〉孔

【正解】2

【30秒でわかる!ポイント解説】
膵頭十二指腸切除術は腹部の手術です。ドレーンは、術後の滲出液や膵液漏などを排出するために腹腔内に留置します。選択肢の中で腹腔内にある解剖学的部位はWinslow孔(網嚢孔)のみです。他は脳室系の孔です。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. Magendie〈マジャンディー〉孔: 不正解。第四脳室とくも膜下腔をつなぐ正中にある孔です。

  2. Winslow〈ウィンスロー〉孔: 正解。 腹腔内の肝臓の後ろにあり、大網嚢と小網嚢(網嚢)をつなぐ孔です。膵臓の背側に位置するため膵頭十二指腸切除術後のドレーン留置部位として適切です。

  3. Luschka〈ルシュカ〉孔: 不正解。第四脳室とくも膜下腔をつなぐ外側にある一対の孔です。

  4. Monro〈モンロー〉孔: 不正解。側脳室と第三脳室をつなぐ室間孔です。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 膵頭十二指腸切除術後の合併症: 最も注意すべき合併症は「膵液漏」です。膵液は強力な消化酵素を含むため漏出すると周囲の組織を溶かし、大出血や腹腔内膿瘍を引き起こす危険があります。ドレーンからの排液の性状観察が極めて重要です。

【問53】自己血糖測定を行う患者への説明で正しいのはどれか。

  1. 「皮下の間質液のグルコースを測定します」

  2. 「耳たぶから検体を採取します」

  3. 「採取部位の消毒は不要です」

  4. 「低血糖が分かります」

【正解】4

【30秒でわかる!ポイント解説】
自己血糖測定(SMBG)の最も重要な目的の一つは、高血糖だけでなく危険な低血糖の状態を自分で把握し、適切に対処(補食など)できるようになることです。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 「皮下の間質液のグルコースを測定します」: 不正解。これは持続血糖測定(CGM)やフラッシュグルコースモニタリング(FGM)の説明です。一般的な自己血糖測定(SMBG)は、指先の「毛細血管血液」中のグルコースを測定します。

  2. 「耳たぶから検体を採取します」: 不正解。穿刺部位は、神経や血管の損傷リスクが少なく痛みも比較的少ない指先(特に指の側面)が推奨されます。耳たぶは一般的ではありません。

  3. 「採取部位の消毒は不要です」: 不正解。感染予防のため穿刺前には流水での手洗いまたはアルコール綿による消毒が必要です。

  4. 「低血糖が分かります」: 正解。 血糖値を測定することで高血糖だけでなく、無自覚性低血糖を含む低血糖の発見につながります。これはシックデイ対応やインスリン量の調整、安全な日常生活を送る上で非常に重要です。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 測定のタイミング: 血糖コントロールの指標として、食前、食後2時間、就寝前など医師の指示に基づいたタイミングで測定します。低血糖症状を感じた時にも測定が必要です。

【問54】成人の骨髄検査の穿刺部位を図に示す。
正しいのはどれか。

(出典:厚生労働省 第114回看護師国家試験 午前問題 問54)

【正解】3

【30秒でわかる!ポイント解説】
成人の骨髄検査では、安全に赤色骨髄(造血の盛んな骨髄)に到達できる部位が選ばれます。現在は臓器損傷の危険が少ない「後腸骨稜」が標準的な穿刺部位として用いられます。

【なぜ?がわかる詳細解説】
※図を参照して解説します。

  1. ①: 不正解。図①は胸骨付近を示していると考えられます。かつては胸骨骨髄穿刺も行われていましたが、心臓や大血管に近く重大な合併症のリスクがあるため現在は第一選択にはなりません。

  2. ②: 不正解。腰椎穿刺の部位(脊柱管内)を示している位置と考えられ、骨髄検査の穿刺部位ではありません

  3. ③: 正解。ここが「後腸骨稜」です。成人では造血が盛んな骨であり、体表から触知しやすく、重要臓器から離れているため安全に骨髄穿刺が行える代表的な部位です

  4. ④: 不正解。上前腸骨棘(あるいはその近傍)に相当する位置であり、通常、骨髄穿刺の部位としては選択されません。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 骨髄穿刺の目的: 白血病、再生不良性貧血、多発性骨髄腫などの血液疾患の診断や治療効果の判定のために行われます。

  • 小児の穿刺部位: 小児の場合は、腸骨のほか脛骨近位部が穿刺部位として選択されることもあります。

【問55】脊髄造影を受ける患者への説明で正しいのはどれか。

  1. 「検査前の食事制限はありません」

  2. 「造影剤が硬膜外腔に注入されます」

  3. 「検査後は頭痛の有無を確認します」

  4. 「検査後はベッドを水平にします」

【正解】3

【30秒でわかる!ポイント解説】
脊髄造影検査は、くも膜下腔に針を刺して造影剤を注入します。この穿刺の影響で検査後に「穿刺後頭痛」という合併症が起こることがあります。そのため検査後の頭痛の有無の確認は非常に重要です。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 「検査前の食事制限はありません」: 不正解。造影剤の副作用(嘔気・嘔吐など)による誤嚥を防ぐため、検査前は絶食となるのが一般的です。

  2. 「造影剤が硬膜外腔に注入されます」: 不正解。脊髄造影では、脳脊髄液が満たされている「くも膜下腔」に造影剤を注入します。硬膜外腔は、硬膜外麻酔などを行う部位です。

  3. 「検査後は頭痛の有無を確認します」: 正解。 穿刺によって脳脊髄液が漏れて脳圧が低下することで、起き上がると増強する特徴的な頭痛(穿刺後頭痛)が起こる可能性があります。

  4. 「検査後はベッドを水平にします」: 不正解。検査後は、造影剤が頭蓋内に急激に流入するのを防ぎ、穿刺後頭痛を予防するため頭部を軽度挙上した状態で安静を保つのが一般的です。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 穿刺後頭痛のケア: 穿刺後頭痛が生じた場合は、安静臥床を保ち十分な水分補給を促します。安静臥床により脳脊髄液の漏出を最小限にし、水分補給でその産生を促します。

【問56】老化に伴う消化器系の変化で正しいのはどれか。

  1. 大腸の蠕動運動が低下する。

  2. 膵液分泌量が増加する。

  3. 唾液分泌量が増加する。

  4. 胃粘膜が萎縮する。

【正解】1

【30秒でわかる!ポイント解説】
老化に伴い消化器系全体の機能は低下する傾向にあります。特に腸管の筋力低下や自律神経機能の変化により大腸の蠕動運動が低下し、高齢者の便秘の主な原因となります。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 大腸の蠕動運動が低下する。: 正解。 加齢により腸管の平滑筋が萎縮したり、神経叢の機能が低下したりするため蠕動運動は低下します。

  2. 膵液分泌量が増加する。: 不正解。膵臓の腺房細胞が減少し、膵液の分泌量は「低下」します。消化能力が落ちる一因です。

  3. 唾液分泌量が増加する。: 不正解。唾液腺の萎縮により唾液の分泌量は「低下」します。これにより口腔乾燥(ドライマウス)や嚥下障害のリスクが高まります。

  4. 胃粘膜が萎縮する。: 不正解。加齢に伴い消化機能は全体として低下する傾向がありますが、胃粘膜の萎縮自体は老化そのものによる変化ではなく、主にHelicobacter pylori(ピロリ菌)感染などによる慢性胃炎が原因で起こる病的変化です。そのため「老化に伴う消化器系の変化」としては不適切です。

※この選択肢は紛らわしく見えますが、国試では『老化による典型的な変化かどうか』を問われています。胃粘膜の萎縮は、主にピロリ菌感染などによる病的変化であり、加齢そのものに伴う生理的変化とはいえないため誤りと判断されます。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 高齢者の便秘の原因: 蠕動運動の低下に加え食事量・水分摂取量の減少、腹圧の低下、薬剤の副作用など様々な要因が複合的に関与します。

【問57】令和3年度の高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査で、養介護施設従事者等による高齢者虐待について正しいのはどれか。

  1. 虐待の種類は心理的虐待が最も多い。

  2. 被虐待高齢者は女性が全体の90%を占める。

  3. 発生要因は養介護施設従事者等のストレスの問題が最も多い。

  4. 虐待件数は養介護施設従事者等による虐待より養護者によるものが多い。

【正解】4

【30秒でわかる!ポイント解説】
高齢者虐待は、家庭内で家族など(養護者)から受ける虐待と施設職員など(養介護施設従事者等)から受ける虐待に大別されます。件数としては、表面化しにくい家庭内での虐待が施設での虐待を大幅に上回っています。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 虐待の種類は心理的虐待が最も多い。: 不正解。施設における虐待の種類で最も多いのは「身体的虐待」です。

  2. 被虐待高齢者は女性が全体の90%を占める。: 不正解。女性が多いのは事実ですが、その割合は約7割程度であり90%は過大です。

  3. 発生要因は養介護施設従事者等のストレスの問題が最も多い。: 不正解。発生要因として最も多いのは「教育・知識・介護技術等に関する問題」です。

  4. 虐待件数は養介護施設従事者等による虐待より養護者によるものが多い。: 正解。 高齢者虐待は大きく「養護者による虐待」と「養介護施設従事者等による虐待」に分けられますが、相談・通報件数は常に養護者によるものが施設従事者によるものを大きく上回っています。したがって「虐待件数は養介護施設従事者等による虐待より養護者によるものが多い」という記述は正しいと言えます。
    (具体的な件数は年度によって変動するため最新の厚生労働省の調査結果を確認してください。)

【さらに深掘り!関連知識】

  • 高齢者虐待防止法: 正式名称は「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」です。虐待の防止だけでなく、介護疲れなどで虐待に至ってしまう養護者を支援するという視点も含まれているのが重要です。

【問58】医療ニーズが高い要介護者が「通い」「訪問」「泊まり」のサービスを組み合わせて受けられる地域密着型サービスはどれか。

  1. 短期入所療養介護

  2. 看護小規模多機能型居宅介護

  3. 地域密着型特定施設入所者生活介護

  4. 認知症対応型共同生活介護〈グループホーム〉

【正解】2

【30秒でわかる!ポイント解説】
「通い」「訪問」「泊まり」を柔軟に組み合わせるサービスは「小規模多機能型居宅介護」です。これに「訪問看護」の機能が加わり、医療ニーズの高い人も利用できるのが「看護小規模多機能型居宅介護(看多機)」です。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 短期入所療養介護: 不正解。これは「ショートステイ」の一種で、医療的なケアが必要な人が短期間入所するサービスです。「通い」や「訪問」は含みません。

  2. 看護小規模多機能型居宅介護: 正解。 「小規模多機能型居宅介護」と「訪問看護」を一体的に提供するサービスで、設問の定義に合致します。略して「看多機(かんたき)」と呼ばれます。

  3. 地域密着型特定施設入所者生活介護: 不正解。定員29人以下の小規模な介護施設(有料老人ホームなど)に入居して、介護サービスを受けるものです。

  4. 認知症対応型共同生活介護〈グループホーム〉: 不正解。認知症の高齢者が、少人数(5〜9人)のユニットで共同生活を送る施設です。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 地域密着型サービス: 住み慣れた地域での生活を支えるため原則としてその市区町村の住民のみが利用できるサービスです。看多機のほか夜間対応型訪問介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護などがあります。

【問59】ポリファーマシーの説明で正しいのはどれか。

  1. 医療者の指示どおりに服薬しない状況

  2. 多剤併用による有害な事象が生じている状態

  3. 認知機能の低下により服薬管理が困難な状態

  4. 処方されている薬の内容を理解していない状況

【正解】2

【30秒でわかる!ポイント解説】
「ポリファーマシー」は、単に服用する薬の数が多い(多剤併用)ことだけを指すのではありません。その多剤併用によって副作用や飲み間違い、薬効の重複など患者にとって「有害な事象」が生じている状態を指すより問題志向の強い言葉です。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 医療者の指示どおりに服薬しない状況: 不正解。これは「ノンアドヒアランス」の説明です。

  2. 多剤併用による有害な事象が生じている状態: 正解。 これがポリファーマシーの正確な定義です。薬物有害事象のリスク増加、服薬過誤、医療費の増大などの問題が含まれます。

  3. 認知機能の低下により服薬管理が困難な状態: 不正解。これはポリファーマシーの原因の一つにはなり得ますが、定義そのものではありません。

  4. 処方されている薬の内容を理解していない状況: 不正解。これも服薬管理上の問題ですが、ポリファーマシーの定義ではありません。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 高齢者とポリファーマシー: 高齢者は、複数の慢性疾患を抱え、複数の医療機関を受診することが多いためポリファーマシーに陥りやすいハイリスク群です。薬剤師による処方内容の一元的な管理や医師による処方の見直しが重要となります。

【問60】介護医療院の説明で正しいのはどれか。

  1. 健康保険法に基づき設置される。

  2. 入所対象者は要介護3以上である。

  3. 要介護高齢者の長期療養・生活施設である。

  4. 看護職員数は入所者100人当たり3人である。

【正解】3

【30秒でわかる!ポイント解説】
介護医療院は、2018年に創設された新しい介護保険施設です。長期的な医療と介護の両方を必要とする高齢者に対して「長期療養のための医療」と「日常生活上の世話(介護)」を一体的に提供する「住まい」としての機能も兼ね備えた施設です。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 健康保険法に基づき設置される。: 不正解。介護医療院は「介護保険法」に基づく介護保険施設です。

  2. 入所対象者は要介護3以上である。: 不正解。入所対象は、原則として「要介護1以上」の認定を受けた方です。

  3. 要介護高齢者の長期療養・生活施設である。: 正解。 医療、介護、そして生活の場という3つの機能を併せ持つことが介護医療院の最大の特徴です。

  4. 看護職員数は入所者100人当たり3人である。: 不正解。この基準は特別養護老人ホームなどに近く、医療ニーズの高い介護医療院の人員配置としては少なすぎます。介護医療院では提供する医療レベルに応じて、より手厚い人員配置基準(例:Ⅰ型療養床で看護職員の配置基準は利用者6人に対し1人)が定められています。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 介護医療院の創設背景: 医療機関でありながら介護施設の側面も強かった「介護療養病床」が2024年3月末で廃止されることを受け、その転換先として創設されました。

お疲れ様でした!
これで午前問題の問31~60をクリアですね!

「なるほど、そういうことか!」ってなった問題もあれば「うわ、これ苦手…」って感じた問題もあったんじゃないでしょうか?
でも大丈夫!
1つ1つ取り組むことで自信は必ずついてきます。

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