第114回看護師国家試験 午前問題【問61~90】解答・解説と国試対策のポイント

看護師国家試験

第114回看護師国家試験(午前問題 問61~90)の解答と、全選択肢の詳しい解説をまとめました。

この記事では、

・正解の根拠だけでなく、間違い選択肢の理由も徹底解説

・聞き流し学習ができるYouTube動画との連携

試験に出る関連知識や重要ポイントの整理

これらを網羅し、あなたの国試対策を強力にサポートします。
通学中や実習の合間など、スキマ時間の学習にぜひご活用ください。

それでは、問61から順に解説していきます。

目次

【問61】最も新しく制定された法律はどれか。

  1. 母子保健法

  2. 児童虐待の防止等に関する法律

  3. 子どもの貧困対策の推進に関する法律

  4. 医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律

【正解】4

【30秒でわかる!ポイント解説】
近年の医療の進歩に伴い在宅で高度な医療的ケアを必要とする子どもたちが増加しています。この背景から、彼らとその家族を社会全体で支援するための「医療的ケア児支援法」が最も新しく制定されました。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 母子保健法: 不正解。1965年に制定された母子の健康を包括的に支援するための基本的な法律です。

  2. 児童虐待の防止等に関する法律: 不正解。2000年に制定された児童虐待の防止、早期発見、そして虐待を受けた児童の保護を目的とする法律です。

  3. 子どもの貧困対策の推進に関する法律: 不正解。2013年に制定された子どもの将来が生まれ育った環境に左右されない社会を目指すための法律です。

  4. 医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律: 正解。 2021年9月に施行された人工呼吸器や胃ろうなどを使用する医療的ケア児とその家族への支援を国や自治体の責務として定めた法律です。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 医療的ケア児支援法のポイント: この法律により保育所や学校などでの医療的ケア児の受け入れ体制の整備や相談体制の構築が推進されることになりました。看護師は、地域の多職種と連携し、医療的ケア児を支える重要な役割を担います。

【問62】一次性の夜尿症で通院中の7歳の女児。
保護者への生活のアドバイスで適切なのはどれか。

  1. 「1日に飲む水分の量を減らしましょう」

  2. 「寝る直前に水分をしっかり飲ませましょう」

  3. 「おねしょをしても叱らないようにしましょう」

  4. 「夜中、決めた時間に起こして排尿を促しましょう」

【正解】3

【30秒でわかる!ポイント解説】
夜尿症(おねしょ)の対応で最も重要なのは、子どもの自尊心を傷つけないことです。「叱らない」「焦らない」「起こさない」が基本原則。叱ることは子どもに心理的ストレスを与え、かえって症状を悪化させる可能性があります。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 「1日に飲む水分の量を減らしましょう」: 不正解。日中の適切な水分摂取は、膀胱容量を増やす訓練にもなるため過度に制限する必要はありません。ただし、夕食後から就寝前にかけての水分摂取は控えるように指導します。

  2. 「寝る直前に水分をしっかり飲ませましょう」: 不正解。寝る直前の多量の水分摂取は夜間の尿量を増やし、夜尿のリスクを高めるため避けるべきです。

  3. 「おねしょをしても叱らないようにしましょう」: 正解。 夜尿は本人の意思でコントロールできるものではありません。叱ることは百害あって一利なしです。安心できる環境を作ることが治療の第一歩です。

  4. 「夜中、決めた時間に起こして排尿を促しましょう」: 不正解。夜中に無理に起こすと睡眠リズムが乱れるだけでなく、夜間に尿を溜めるという抗利尿ホルモンの正常な分泌リズムの形成を妨げてしまう可能性があります。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 夜尿症の生活指導: 「叱らない」に加え「夕食は就寝の2〜3時間前までに済ませる」「就寝前に必ずトイレに行く習慣をつける」「体を冷やさないようにする」などの生活指導が有効です。

【問63】生後6〜8か月ころの乳児で、親などの特定の人が自分の傍から離れたときに泣いたり後追いをしたりするのはどれか。

  1. 分離不安

  2. アニミズム

  3. 自我の芽生え

  4. アンビバレント

【正解】1

【30秒でわかる!ポイント解説】
生後6〜8か月頃になると赤ちゃんは特定の人(主に母親)を認識し、愛着関係を形成します。その結果、その人が見えなくなると不安を感じて泣き出す「人見知り」や「分離不安」が見られるようになります。これは正常な発達過程の一つです。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 分離不安: 正解。 愛着を形成した特定の養育者から離れることに対して不安を感じて泣いたり後追いをしたりする行動を指します。

  2. アニミズム: 不正解。幼児期(特に2〜4歳頃)に見られる無生物にも命や意志があるかのように考える思考様式です。「お人形さんが痛いって言ってる」などが例です。

  3. 自我の芽生え: 不正解。これは自分と他者を区別し、自己主張が強くなる1歳半〜2歳頃に見られる「第一反抗期(イヤイヤ期)」に関連する発達段階です。

  4. アンビバレント: 不正解。一つの対象に対して愛情と憎しみなど相反する感情を同時に抱く状態を指します。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 愛着(アタッチメント)理論: 英国の精神科医ボウルビィが提唱した理論。乳幼児期の養育者との安定した愛着形成がその後の情緒的発達や対人関係の基礎となるという考え方です。

【問64】A君(6歳、男児)は腹痛のため来院し、ネフローゼ症候群と診断され入院した。ステロイド治療が開始され、本日が7日目である。尿量の増加がみられ浮腫が軽減し、血圧は128/80mmHg、尿蛋白+であった。
A君に説明する必要があるのはどれか。

  1. 手指衛生

  2. 床上安静

  3. 水分摂取の制限

  4. 蛋白質の摂取の制限

【正解】1

【30秒でわかる!ポイント解説】
ネフローゼ症候群の治療には、ステロイド薬が用いられます。ステロイドの副作用の一つに免疫力を低下させる「易感染状態」があります。そのため感染予防策、特に基本となる手指衛生の重要性を本人にも分かりやすく説明する必要があります。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 手指衛生: 正解。 ステロイド治療により易感染状態となるため感染予防が非常に重要です。6歳という年齢を考慮し、手洗いや手指消毒の必要性と方法を本人にも理解できるように説明することが求められます。

  2. 床上安静: 不正解。浮腫が軽減し、症状が改善傾向にあるため厳格な床上安静は不要です。むしろ、安静による合併症(血栓症など)を防ぐため年齢に応じた活動を促す段階です。

  3. 水分摂取の制限: 不正解。尿量が増加し、浮腫が軽減しているため厳しい水分制限は不要となり、むしろ脱水に注意が必要です。

  4. 蛋白質の摂取の制限: 不正解。ネフローゼ症候群では尿中に大量の蛋白が漏れ出て低蛋白血症となるため以前は厳しい蛋白制限が行われていましたが、現在は成長期の小児に対しては過度な制限は行わないのが一般的です。

【さらに深掘り!関連知識】

  • ネフローゼ症候群の4大徴候: ①高度蛋白尿、②低蛋白血症(特に低アルブミン血症)、③高脂血症、④浮腫。この4つは必修知識です。

【問65】セクシュアリティに関する用語と説明の組合せで正しいのはどれか。

  1. 性的指向 ― 表現する性

  2. セックス ― 性愛の対象

  3. ジェンダー ― 生殖性の性

  4. ジェンダーアイデンティティ ― 自身の性別の認識

【正解】4

【30秒でわかる!ポイント解説】
セクシュアリティの多様性を理解することは看護師にとって重要です。「ジェンダーアイデンティティ」とは自分自身の性をどのように認識しているかという内面的な感覚のことです。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 性的指向: 不正解。性的指向(セクシュアルオリエンテーション)とは、どの性に恋愛感情や性的関心を抱くか、つまり「性愛の対象」が誰に向かうかを指します。「表現する性」は服装や言動など自らをどのように表現するかです。

  2. セックス: 不正解。セックス(生物学的性)とは、生まれ持った身体的な特徴(染色体、性腺、性器など)に基づく性別を指します。

  3. ジェンダー: 不正解。ジェンダー(社会的・文化的に作られる性別)とは、「男とはこうあるべき」「女とはこうあるべき」というように社会や文化によって作られた性別の役割やイメージを指します。「生殖性の性」は生物学的性の一部です。

  4. ジェンダーアイデンティティ: 正解。 自身の性別をどのように認識しているかという自己の性認識を指します。身体的な性と一致する人もいれば、しない人(トランスジェンダー)もいます。

【さらに深掘り!関連知識】

  • SOGI(ソジ): Sexual Orientation(性的指向)とGender Identity(性自認)の頭文字をとった言葉。セクシュアリティは、異性愛者を含むすべての人に関わる多様なあり方であるという考え方を示しています。

【問66】プレコンセプションケアについて正しいのはどれか。

  1. ケアの対象は女性に限定されている。

  2. 母体保護法によって規定されている。

  3. 国際連合〈UN〉によって提唱されている。

  4. 将来の妊娠に向けた健康の保持増進を目的としている。

【正解】4

【30秒でわかる!ポイント解説】
「プレコンセプションケア」とは、将来の妊娠を考え、妊娠前の若い男女が自分たちの健康に向き合うためのケアです。妊娠してからではなく、妊娠する前から健康的な生活習慣を身につけることで、より健やかな妊娠・出産、そして次世代の健康を目指します。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. ケアの対象は女性に限定されている。: 不正解。将来の子どもの健康には、女性だけでなく男性の健康状態も影響するためケアの対象はカップル、つまり男女両方です。

  2. 母体保護法によって規定されている。: 不正解。プレコンセプションケアは、特定の法律で規定されているものではありません。母体保護法は、不妊手術や人工妊娠中絶に関する事項を定めた法律です。

  3. 国際連合〈UN〉によって提唱されている。: 不正解。米国疾病予防管理センター(CDC)などが提唱し世界的に広まった概念です。

  4. 将来の妊娠に向けた健康の保持増進を目的としている。: 正解。 これがプレコンセプションケアの核心的な目的です。栄養管理、体重管理、禁煙、感染症予防などが含まれます。

【さらに深掘り!関連知識】

  • プレコンセプションケアの具体例: 葉酸の摂取(胎児の神経管閉鎖障害のリスク低減)、風疹抗体の確認とワクチン接種、禁煙・禁酒、適正体重の維持、性感染症の予防と治療などが挙げられます。

【問67】正期産の時期のノンストレステスト〈NST〉で正常なのはどれか。

  1. 20分に2回以上の一過性頻脈がある。

  2. 胎児心拍数基線が80bpmである。

  3. 基線細変動が5bpmである。

  4. 一過性徐脈がある。

【正解】1

【30秒でわかる!ポイント解説】
ノンストレステスト(NST)は、胎動に伴って胎児の心拍数が増加するか(一過性頻脈)を見ることで、胎児が元気か(well-being)を評価する検査です。「20分間に2回以上の一過性頻脈」がみられる状態を「リアクティブ」と判定し、正常(元気な証拠)とします。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 20分に2回以上の一過性頻脈がある。: 正解。 胎動に伴う15bpm以上、15秒以上続く心拍数増加(一過性頻脈)が、20分間の検査中に2回以上確認できれば胎児は元気であると判断されます(リアクティブ)。

  2. 胎児心拍数基線が80bpmである。: 不正解。正常な胎児心拍数基線は110〜160bpmです。80bpmは明らかな徐脈であり、異常所見です。

  3. 基線細変動が5bpmである。: 不正解。基線細変動は、胎児心拍数基線の細かな揺らぎのことで自律神経系が正常に機能している指標です。正常範囲は6〜25bpmであり、5bpmは「減少」と判断され、注意深い監視が必要です。

  4. 一過性徐脈がある。: 不正解。一過性徐脈は、胎児心拍数の一時的な低下であり、特に遅発一過性徐脈や変動一過性徐脈は、胎児機能不全(胎児ジストレス)を示唆する危険なサインです。

【さらに深掘り!関連知識】

  • ノンリアクティブの場合: 20分間の検査で一過性頻脈がみられない「ノンリアクティブ」の場合は、胎児が眠っているだけの可能性もあるため検査時間を延長したり、音響刺激を与えたりします。それでもリアクティブにならない場合は、精密検査(CSTやBPS)が必要となります。

【問68】子宮復古不全の要因はどれか。

  1. 胎児発育不全〈FGR〉

  2. 卵膜の子宮内遺残

  3. 分娩直後の授乳

  4. 膀胱炎

【正解】2

【30秒でわかる!ポイント解説】
子宮復古とは、分娩後に子宮が妊娠前の大きさに戻っていく過程のことです。子宮内に胎盤や卵膜の一部が残っていると(胎盤部分遺残・卵膜遺残)、それが物理的な妨げとなり、子宮の収縮がうまくいかず、子宮復古不全の原因となります。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 胎児発育不全〈FGR〉: 不正解。胎児が小さかったことと産後の子宮復古とは直接的な因果関係はありません。むしろ巨大児や多胎妊娠などで子宮が過度に伸展した場合がリスク因子となります。

  2. 卵膜の子宮内遺残: 正解。 子宮内に内容物が残っていると子宮筋の収縮を妨げ、弛緩出血や子宮復古不全の主な原因となります。

  3. 分娩直後の授乳: 不正解。授乳による吸啜刺激は、下垂体後葉からオキシトシンの分泌を促します。オキシトシンには強力な子宮収縮作用があるため授乳は子宮復古を「促進」します(後陣痛の原因にもなる)。

  4. 膀胱炎: 不正解。膀胱炎は尿路感染症です。ただし、膀胱が尿で充満している状態(尿閉)は物理的に子宮収縮を妨げるため子宮復古不全の一因となり得ます。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 子宮復古の指標: 子宮底の高さ(子宮底長)と硬度、悪露の性状と量などを日々アセスメントし、子宮復古が順調に進んでいるかを評価します。

【問69】出生直後の新生児の計測方法で正しいのはどれか。

  1. 身長は側臥位で計測する。

  2. 体重はオムツをつけて計測する。

  3. 頭囲は後頭結節とオトガイの周囲を計測する。

  4. 胸囲は肩甲骨直下と左右の乳頭を通る周囲を計測する。

【正解】4

【30秒でわかる!ポイント解説】
新生児の身体計測は、発育の評価や異常の早期発見のために重要です。胸囲はメジャーを背中側の肩甲骨のすぐ下にあて、前面は左右の乳頭のすぐ上を通るようにして、水平に計測します。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 身長は側臥位で計測する。: 不正解。身長(正しくは仰臥位身長計を用いるため「身長」ではなく「体長」)は、仰向け(仰臥位)で頭頂から踵までの長さを測定します。

  2. 体重はオムツをつけて計測する。: 不正解。正確な体重を測定するためオムツや衣服はすべて外し、裸の状態でベビー用の体重計で計測します。

  3. 頭囲は後頭結節とオトガイの周囲を計測する。: 不正解。頭囲は、後頭部が最も突出している点(後頭結節)と眉弓(眉毛のすぐ上)を通る頭の周囲が最も大きくなるラインで計測します。オトガイは顎の先端です。

  4. 胸囲は肩甲骨直下と左右の乳頭を通る周囲を計測する。: 正解。 メジャーを背部では肩甲骨の下縁、前面では左右の乳頭のすぐ上を通るように水平に一周させて計測します。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 頭囲と胸囲の関係: 出生時は、頭囲が胸囲よりも1〜2cm大きいのが正常です。1歳頃になると胸囲が頭囲を上回ります。出生時に胸囲が頭囲より大きい場合は、無脳症などが疑われます。

【問70】精神科病院入院患者の身体的拘束中に発生しやすい合併症はどれか。

  1. 糖尿病

  2. 足白癬

  3. 悪性症候群

  4. 肺血栓塞栓症

【正解】4

【30秒でわかる!ポイント解説】
身体的拘束によって長時間動けない状態(不動)が続くと下肢の静脈に血栓(血の塊)ができやすくなります(深部静脈血栓症)。この血栓が血流に乗って肺の動脈に詰まってしまうのが「肺血栓塞栓症」であり、いわゆるエコノミークラス症候群と同じ病態です。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 糖尿病: 不正解。糖尿病は身体的拘束の直接的な合併症ではありません。

  2. 足白癬: 不正解。足白癬(水虫)は、不動との直接的な関連は低いです。

  3. 悪性症候群: 不正解。悪性症候群は、主に向精神薬の副作用として起こる重篤な状態で、高熱、筋強剛、意識障害などがみられます。身体的拘束が直接の原因ではありません。

  4. 肺血栓塞栓症: 正解。 長時間の不動は、深部静脈血栓症(DVT)の最大のリスク因子です。その結果として生じる肺血栓塞栓症(PTE)は、身体的拘束中の最も注意すべき致死的な身体合併症の一つです。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 身体的拘束中の看護: 肺血栓塞栓症を予防するため定期的な水分補給、弾性ストッキングの着用、足関節の自動・他動運動などが極めて重要です。また、皮膚トラブル(褥瘡など)や関節拘縮、精神的苦痛へのケアも欠かせません。

お疲れ様です!まずは最初の10問クリアですね。
この調子でサクサクいきましょう!

中盤戦!【問71~80】

こちらも動画で聞き流してから読むとさらに頭に入りやすいですよ。

【問71】知的障害〈精神遅滞〉について正しいのはどれか。

  1. 成人期に発症する。

  2. 退行現象の1つである。

  3. 統合失調症が原因となる。

  4. 知的機能と適応機能が障害される。

【正解】4

【30秒でわかる!ポイント解説】
知的障害は、①おおむね18歳までの発達期に生じ、②知的機能(学習、推論、問題解決など)に明らかな制約があり、③適応機能(日常生活、社会生活、コミュニケーションなど)にも制約がみられるという3つの要素で定義されます。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 成人期に発症する。: 不正解。知的障害は「発達期(おおむね18歳まで)」に生じる障害と定義されています。成人期に脳の疾患や外傷などで知的機能が低下した場合は「認知症」などと区別されます。

  2. 退行現象の1つである。: 不正解。退行は獲得した機能が失われることですが、知的障害は発達の過程で機能の獲得が遅れたり、一定のレベルでとどまったりする状態です。

  3. 統合失調症が原因となる。: 不正解。統合失調症は精神疾患であり、知的障害の直接の原因ではありません。ただし、両方を併発することはあります。

  4. 知的機能と適応機能が障害される。: 正解。 現在の診断基準(DSM-5など)では、IQで示される「知的機能」の制約だけでなく、日常生活や社会生活を送る上での「適応機能」の制約も診断のための必須要件とされています。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 適応機能の3つの領域:

    1. 概念的領域: 読み書き、金銭管理、自己管理など

    2. 社会的領域: 対人関係、ルール理解、共感性など

    3. 実用的領域: 身辺自立、家事、職業技能など
      これらの領域における支援が、看護の重要なポイントとなります。

【問72】社会生活技能訓練〈SST〉について正しいのはどれか。

  1. 認知行動療法の1つである。

  2. 生活リズムの改善が目的である。

  3. レクリエーション活動を中心に行う。

  4. アウトリーチによる支援が原則である。

【正解】1

【30秒でわかる!ポイント解説】
社会生活技能訓練(SST)は、精神障害を持つ人々が対人関係や日常生活、自己管理などのスキルを練習を通じて身につけるための体系的なプログラムです。学習理論に基づいた構造化されたアプローチであり、広義の認知行動療法の一つとされています。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 認知行動療法の1つである。: 正解。 SSTは、モデリング(見本を見る)、ロールプレイ(役割演技)、フィードバック、般化(日常生活で応用する)といった学習理論や認知行動理論に基づいた技法を用いて行われます。

  2. 生活リズムの改善が目的である。: 不正解。生活リズムの改善はSSTで扱うテーマの一つになることはありますが、SSTの目的はより広範な社会生活技能の獲得です。生活リズム改善に特化したプログラムは心理教育などで行われます。

  3. レクリエーション活動を中心に行う。: 不正解。SSTは、明確な目標を設定し、構造化された手順に沿って練習を行う「訓練(トレーニング)」です。楽しみながら行う側面もありますが、レクリエーション活動そのものが中心ではありません。

  4. アウトリーチによる支援が原則である。: 不正解。SSTは主にデイケアや精神科病院などの施設でグループ形式で行われるのが一般的です。アウトリーチ(訪問支援)は別の支援形態です。

【さらに深掘り!関連知識】

  • SSTの基本訓練モデル: ①問題提起→②目標設定→③ロールプレイ→④フィードバック→⑤宿題(般化課題)という一連の流れで行うのが基本です。

【問73】精神科病院での行動制限で正しいのはどれか。

  1. 家族の同意により身体的拘束を決定する。

  2. 行動制限最小化委員会は患者の隔離の具体的な内容を決定する。

  3. 12時間を超える隔離については、精神保健指定医の判断が必要である。

  4. 暴力行為があった場合は、当該患者の精神症状が落ち着くまで身体的拘束をする。

【正解】3

【30秒でわかる!ポイント解説】
精神科における行動制限(隔離、身体的拘束)は、患者の人権を著しく制限するため精神保健福祉法で厳格な要件が定められています。特に12時間を超える長時間の隔離には、より専門性の高い「精神保健指定医」の診察と判断が必須となります。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 家族の同意により身体的拘束を決定する。: 不正解。身体的拘束の開始は、患者本人の生命保護や周囲への危険防止が切迫している場合に医師の判断で行われます。家族の同意は必須要件ではありません。

  2. 行動制限最小化委員会は患者の隔離の具体的な内容を決定する。: 不正解。行動制限最小化委員会は、個別の行動制限を決定する機関ではなく院内全体で行動制限を減らすための体制整備や方針を検討する委員会です。

  3. 12時間を超える隔離については、精神保健指定医の判断が必要である。: 正解。 精神保健福祉法により隔離を開始する際は医師の診察が必要ですが、その隔離が12時間を超える場合には、精神保健指定医による診察と判断が改めて必要と定められています。

  4. 暴力行為があった場合は、当該患者の精神症状が落ち着くまで身体的拘束をする。: 不正解。「落ち着くまで」といった曖昧な期間での拘束は認められません。拘束は代替方法がなく、切迫性が認められる最小限の期間で行われるべきであり、定期的な診察と再評価が必要です。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 行動制限の3原則: ①代替方法がないこと(非代替性)、②生命・身体保護や重大な不利益の危険が切迫していること(切迫性)、③制限は最小限であること(一時性)。この3つの要件を満たさなければなりません。

【問74】看護師の特定行為で正しいのはどれか。

  1. 都道府県が指定する研修機関で研修を行う。

  2. 手順書は看護師が作成する。

  3. 医師法に基づいている。

  4. 診療の補助である。

【正解】4

【30秒でわかる!ポイント解説】
看護師の特定行為は、保健師助産師看護師法(保助看法)に位置づけられた制度です。医師が作成した「手順書」に基づき看護師がタイムリーに実施する高度な実践であり、あくまで看護師の業務範囲である「診療の補助」の一環です。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 都道府県が指定する研修機関で研修を行う。: 不正解。特定行為研修の研修機関は、都道府県知事ではなく「厚生労働大臣」が指定します。

  2. 手順書は看護師が作成する。: 不正解。手順書は、看護師に特定行為を指示する「医師または歯科医師」が患者一人ひとりに対して作成します。看護師はその手順書に基づいて行為を行います。

  3. 医師法に基づいている。: 不正解。特定行為は「保健師助産師看護師法(保助看法)」に規定されています。

  4. 診療の補助である。: 正解。 特定行為は、看護師の業務である「療養上の世話」と「診療の補助」のうち「診療の補助」に分類される行為です。これにより医師の包括的指示のもとよりタイムリーな医療提供が可能になります。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 特定行為の例: 人工呼吸器からの離脱(ウィーニング)、脱水症状に対する輸液による補正、褥瘡や創傷に対するデブリードマンなどが含まれます。

【問75】診療に関する諸記録に看護記録が含まれることを規定しているのはどれか。

  1. 医師法

  2. 医療法施行規則

  3. 個人情報の保護に関する法律

  4. 保健師助産師看護師法施行規則

【正解】2

【30秒でわかる!ポイント解説】
病院や診療所などの医療機関が遵守すべき事項を定めているのが「医療法」です。その具体的な細則である「医療法施行規則」の中で病院が備えるべき諸記録として、診療録(カルテ)や処方箋などと並んで「看護記録」が明記されています。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 医師法: 不正解。医師法では、医師が作成する「診療録」の記載と保存義務が規定されています。

  2. 医療法施行規則: 正解。 医療法施行規則第20条において、病院が備えなければならない帳票及び記録として看護記録が挙げられています。

  3. 個人情報の保護に関する法律: 不正解。この法律は看護記録を含む個人情報の取り扱いに関するルールを定めていますが、看護記録の作成・保存義務自体を規定しているわけではありません。

  4. 保健師助産師看護師法施行規則: 不正解。保助看法及びその施行規則は看護師等の免許や業務について定めていますが、病院における看護記録の備え付け義務は規定していません。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 記録の保存期間: 医療法施行規則により診療に関する諸記録(診療録、看護記録など)の保存期間は、完結の日から「2年間」と定められています。ただし、医師法では診療録は5年間とされており、実務上はより長い期間保存されるのが一般的です。

【問76】ワーク・ライフ・バランスの取り組みで正しいのはどれか。

  1. 働き方の標準化を図る取り組みである。

  2. 女性のライフサイクルに特化した取り組みである。

  3. 自己啓発や社会活動にも適応される取り組みである。

  4. キャリアを主体的に設計し実現していく取り組みである。

【正解】3

【30秒でわかる!ポイント解説】
ワーク・ライフ・バランスは、単に「仕事と家庭の両立」だけを指すのではありません。「仕事、家庭生活、地域生活、個人の自己啓発など様々な活動を自らの希望するバランスで展開できる状態」を指すより広い概念です。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 働き方の標準化を図る取り組みである。: 不正解。むしろ逆で、多様な働き方(時短勤務、テレワークなど)を認め、個々人の状況に合わせた柔軟な働き方を実現するための取り組みです。

  2. 女性のライフサイクルに特化した取り組みである。: 不正解。育児や介護は女性だけの問題ではなく、性別に関わらず全ての労働者が対象です。

  3. 自己啓発や社会活動にも適応される取り組みである。: 正解。 「ライフ」には、育児や介護といった家庭生活だけでなく、趣味、学習(自己啓発)、ボランティアなどの社会活動、地域活動も含まれます。

  4. キャリアを主体的に設計し実現していく取り組みである。: 不正解。これは「キャリアデザイン」や「キャリア開発」の説明に近いです。ワーク・ライフ・バランスは、キャリア形成の土台となる生活全体の調和を目指すものです。

【さらに深掘り!関連知識】

  • ワーク・ライフ・バランス憲章: 内閣府が定めた憲章では、「仕事は、暮らしを支え、生きがいや喜びをもたらす」「家庭生活は、暮らしの基本であり、 (…)明日への活力を生み出す」「地域生活は、暮らしの基盤であり、(…)豊かさを実感させる」と仕事と生活の相乗効果がうたわれています。

【問77】避難所生活において、身体活動が低下し続けている高齢者に最も起こりやすいのはどれか。

  1. 感染

  2. 脱水

  3. せん妄

  4. 生活不活発病

【正解】4

【30秒でわかる!ポイント解説】
「生活不活発病」とは、動かない状態が続くことにより心身の機能が低下してしまう状態(廃用症候群)のことです。避難所という慣れない環境で活動量が極端に減少した高齢者は、この生活不活発病に陥るリスクが非常に高いです。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 感染: 不正解。避難所での集団生活は感染症のリスクを高めますが、「身体活動の低下」から直接的に最も起こりやすいとは言えません。

  2. 脱水: 不正解。水分摂取の不足や劣悪な環境により脱水のリスクも高まりますが、設問の「身体活動の低下」との直接的な因果関係は生活不活発病ほど強くありません。

  3. せん妄: 不正解。環境の変化や脱水、感染、不安などによりせん妄のリスクも高まりますが、これも「身体活動の低下」そのものが直接の原因ではありません。

  4. 生活不活発病: 正解。 動かないことで筋力低下、関節拘縮、心肺機能低下、褥瘡、認知機能低下など全身に悪影響が及ぶのが生活不活発病です。まさに「身体活動が低下し続けている」状況から直接的に引き起こされる病態です。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 生活不活発病の予防: 避難所では、意識的に体操を行ったり、役割(物資の配布手伝いなど)を持ってもらったりして離床して活動する機会を確保することが極めて重要です。弾性ストッキングの着用による深部静脈血栓症の予防も含まれます。

【問78】急性の化膿性炎症で最初に血管外に遊走し炎症の中心となるのはどれか。

  1. 血小板

  2. 好酸球

  3. 好中球

  4. 赤血球

  5. リンパ球

【正解】3

【30秒でわかる!ポイント解説】
細菌感染などによる急性の化膿性炎症が起こると体はまず「好中球」を現場に急行させます。好中球は白血球の一種で、細菌を貪食(食べて処理する)する能力が非常に高く、炎症の初期段階で最も重要な役割を担う「先発隊」です。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 血小板: 不正解。血小板は、血管が損傷した際の止血(一次止血)の主役です。

  2. 好酸球: 不正解。好酸球は、アレルギー反応や寄生虫感染の際に増加する白血球です。

  3. 好中球: 正解。 白血球の中で最も数が多く(約50〜70%)、強力な貪食作用と殺菌能力を持ちます。急性炎症の初期に血中から組織へ真っ先に駆けつけます。膿の主成分は、細菌と戦って死んだ好中球の死骸です。

  4. 赤血球: 不正解。赤血球は、酸素を運搬する細胞です。

  5. リンパ球: 不正解。リンパ球は、ウイルス感染や慢性炎症、免疫記憶などに関与する白血球で炎症の後期に活躍します。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 炎症の5大徴候: 発赤、熱感、腫脹、疼痛、機能障害。これらは血管拡張、血流増加、血管透過性亢進といった炎症初期の血管反応によって引き起こされます。

【問79】過剰に摂取すると試験紙法による尿潜血検査が偽陰性となるのはどれか。

  1. 葉酸

  2. ビタミンA

  3. ビタミンB₁

  4. パントテン酸

  5. アスコルビン酸

【正解】5

【30秒でわかる!ポイント解説】
尿潜血の試験紙は、血液中のヘモグロビンが持つ「ペルオキシダーゼ様作用」という化学反応を利用しています。ビタミンC(アスコルビン酸)には、この化学反応を妨害する「還元作用」があるため尿中にビタミンCが多いと実際には出血していても検査結果が陰性(偽陰性)になってしまうことがあります。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 葉酸: 不正解。ビタミンB群の一種で造血に関与しますが、尿潜血検査には影響しません。

  2. ビタミンA: 不正解。脂溶性ビタミンで視覚や皮膚の機能に関与しますが、検査には影響しません。

  3. ビタミンB₁: 不正解。糖質代謝に関与するビタミンで検査には影響しません。

  4. パントテン酸: 不正解。ビタミンB群の一種でエネルギー代謝に関与しますが、検査には影響しません。

  5. アスコルビン酸: 正解。 アスコルビン酸はビタミンCの化学名です。強力な還元作用があり、試験紙の酸化還元反応を阻害するため尿潜血や尿糖の検査で偽陰性の原因となります。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 偽陽性の原因: 尿潜血検査では、激しい運動後や女性では月経血の混入によって実際には病的な血尿がないのに陽性(偽陽性)となることがあります。

【問80】Ⅱ型アレルギーで起こる疾患はどれか。

  1. 糸球体腎炎

  2. 関節リウマチ

  3. アトピー性皮膚炎

  4. アレルギー性結膜炎

  5. 特発性血小板減少性紫斑病〈ITP〉

【正解】5

【30秒でわかる!ポイント解説】
アレルギーはⅠ〜Ⅴ型に分類されます。Ⅱ型アレルギーは、自分自身の細胞の表面にある抗原に対して抗体(IgG、IgM)が作られ、その細胞が破壊されてしまうタイプです。「細胞障害型」とも呼ばれます。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 糸球体腎炎: 不正解。溶連菌感染後の急性糸球体腎炎などは、抗原と抗体が結合した「免疫複合体」が腎臓に沈着して起こるⅢ型アレルギーに分類されます。

  2. 関節リウマチ: 不正解。自己抗体が関与しますが、その病態は複雑でⅢ型やⅣ型アレルギーの機序が関与すると考えられています。

  3. アトピー性皮膚炎: 不正解。IgE抗体が関与するⅠ型アレルギーとT細胞が関与するⅣ型アレルギーの両方の機序が関与する複雑な疾患です。

  4. アレルギー性結膜炎: 不正解。花粉などが原因で起こる典型的なⅠ型(即時型)アレルギーです。

  5. 特発性血小板減少性紫斑病〈ITP〉: 正解。 自分自身の血小板に対する自己抗体(抗血小板抗体)が産生され、脾臓などで血小板が破壊されてしまう典型的なⅡ型アレルギー疾患です。

【さらに深掘り!関連知識】

  • アレルギーの分類:

    • Ⅰ型(即時型): アナフィラキシー、気管支喘息、花粉症

    • Ⅱ型(細胞障害型): ITP、自己免疫性溶血性貧血、Rh不適合妊娠

    • Ⅲ型(免疫複合体型): 全身性エリテマトーデス(SLE)、急性糸球体腎炎

    • Ⅳ型(遅延型): ツベルクリン反応、接触性皮膚炎、移植片対宿主病(GVHD)

お疲れ様です!残りはあと10問。ラストスパートです!
最後の力を振り絞って国家試験の問題をマスターしちゃいましょう!

最終ブロック!【問81~90】

【問81】伝えたいことがあるにも関わらず、ろれつが回らず正しく発音することが困難になるのはどれか。

  1. 喚語困難

  2. 構音障害

  3. 吃音

  4. 錯語

  5. 嗄声

【正解】2

【30秒でわかる!ポイント解説】
「ろれつが回らない」状態は、発声や発音に関わる口唇、舌、咽頭などの器官(構音器官)の麻痺によって言葉をうまく作れなくなる「構音障害」です。頭の中では言いたいことがはっきりしているのに、うまく言葉にできないのが特徴です。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 喚語困難: 不正解。これは失語症の症状の一つで、物の名前など、言いたい単語が頭に思い浮かばない状態です。「あれ、あれ」と代名詞が多くなります。

  2. 構音障害: 正解。 脳梗塞や神経疾患などにより発音に必要な筋肉が麻痺し、呂律が回らなくなる状態です。

  3. 吃音: 不正解。言葉が滑らかに出ず、音の繰り返しや引き伸ばし、言葉に詰まる(ブロック)などの症状がみられる発話障害です。

  4. 錯語: 不正解。これも失語症の症状で、言おうとした言葉を別の言葉に言い間違えてしまう状態です。「りんご」を「みかん」(意味性錯語)や「りんご」を「りす」(音韻性錯語)と言ってしまうなどです。

  5. 嗄声: 不正解。声帯の異常によって声がかすれる「声がれ」の状態です。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 構音障害と失語症の違い: 構音障害は、発音の運動機能の障害(口や舌がうまく動かない)であり、言語機能(聞く・話す・読む・書く)自体は保たれています。一方、失語症は、脳の言語中枢の損傷による言語機能そのものの障害です。

【問82】口渇、多飲、多尿を主訴とする患者が、夜間の排尿が頻回で不眠を訴えている。1日の尿量は5Lほどで、尿比重は1.005、尿浸透圧は110mOsm/kgであった。
この症状の原因と考えられるホルモンの内分泌器官はどれか。

  1. 下垂体後葉

  2. 甲状腺

  3. 膵臓

  4. 副甲状腺

  5. 副腎

【正解】1

【30秒でわかる!ポイント解説】
著しい多尿、薄い尿(低比重・低浸透圧)、それに伴う口渇・多飲という症状は「尿崩症」を強く示唆します。尿崩症は、腎臓での水の再吸収を促す「抗利尿ホルモン(ADH、バソプレシン)」の分泌低下または作用不全によって起こります。ADHは「下垂体後葉」から分泌されるホルモンです。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 下垂体後葉: 正解。 抗利尿ホルモン(ADH)は視床下部で産生され、下垂体後葉に貯蔵・分泌されます。このホルモンの分泌が障害されると中枢性尿崩症を発症します。

  2. 甲状腺: 不正解。甲状腺ホルモンは全身の代謝を亢進させますが、尿崩症の直接の原因にはなりません。

  3. 膵臓: 不正解。膵臓のインスリン分泌低下による「糖尿病」でも多飲・多尿が見られますが、その場合は高血糖による浸透圧利尿のため尿糖が陽性になり、尿比重は高くなります。

  4. 副甲状腺: 不正解。副甲状腺ホルモン(パラトルモン)は、血中カルシウム濃度の調節に関与します。

  5. 副腎: 不正解。副腎皮質・髄質ホルモンは、尿崩症の直接の原因にはなりません。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 尿崩症の看護: 最も重要なのは脱水の予防です。患者が自由に水分を摂取できる環境を整えること、口渇感を訴えられない患者では定期的な水分補給を行うことが重要です。また、ホルモン補充療法(デスモプレシン点鼻薬など)の服薬管理も行います。

【問83】血液凝固因子はどれか。2つ選べ。

  1. トロンボプラスチン

  2. エリスロポエチン

  3. ウロビリノゲン

  4. フィブリノゲン

  5. プラスミノゲン

【正解】1, 4

【30秒でわかる!ポイント解説】
血液凝固は、多数の「凝固因子」が関わる複雑な連鎖反応です。最終的に「フィブリノゲン」が「フィブリン」に変化して血栓を形成します。この反応を開始させる重要な物質の一つが組織損傷で放出される「トロンボプラスチン」です。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. トロンボプラスチン: 正解。 組織因子とも呼ばれ、血管が損傷した際に放出されて血液凝固カスケード(外因系)を開始させる重要な役割を担います。

  2. エリスロポエチン: 不正解。腎臓で産生されるホルモンで骨髄に働いて赤血球の産生を促進します。

  3. ウロビリノゲン: 不正解。ビリルビンの代謝産物で腸内細菌によって作られます。

  4. フィブリノゲン: 正解。 肝臓で産生される血漿蛋白で凝固因子の第Ⅰ因子です。トロンビンの作用でフィブリンに変化し、血餅(血栓)の主成分となります。

  5. プラスミノゲン: 不正解。これは凝固を「溶かす」側のシステム(線溶系)の因子です。プラスミンに活性化され、フィブリンを分解します。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 凝固カスケード: 血液凝固反応は、外因系と内因系から始まり、共通系で合流して最終的にフィブリンを形成します。この反応にはビタミンKを必要とする凝固因子(Ⅱ, Ⅶ, Ⅸ, Ⅹ)も関与します。

【問84】同種造血幹細胞移植の前に行われる全身放射線照射の目的はどれか。2つ選べ。

  1. 感染の予防

  2. 拒絶反応の防止

  3. 抗癌薬の活性化

  4. 腫瘍細胞の根絶

  5. 移植片対宿主病〈GVHD〉の予防

【正解】2, 4

【30秒でわかる!ポイント解説】
移植前の大量化学療法や全身放射線照射(TBI)は「前処置」と呼ばれます。その目的は①患者の体内に残っている腫瘍細胞を根絶すること、②患者自身の免疫細胞を強力に抑制し、移植されたドナーの細胞を攻撃してしまう「拒絶反応」を防ぐことの2つが主です。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 感染の予防: 不正解。むしろ逆で、前処置によって骨髄機能が破壊され、白血球が極度に減少するため感染のリスクは著しく「高まり」ます。

  2. 拒絶反応の防止: 正解。 患者の免疫担当細胞(特にTリンパ球)を破壊することでドナーの造血幹細胞を異物として攻撃する拒絶反応を抑制します。

  3. 抗癌薬の活性化: 不正解。放射線照射自体が治療であり、抗癌薬を活性化させる目的ではありません。

  4. 腫瘍細胞の根絶: 正解。 大量化学療法と全身放射線照射によって体内に残存する白血病細胞などの腫瘍細胞をできる限り根絶し、移植後の再発を防ぎます。

  5. 移植片対宿主病〈GVHD〉の予防: 不正解。GVHDは、移植されたドナーのリンパ球が患者の体を攻撃する反応であり、前処置では予防できません。GVHDの予防には移植後に用いる免疫抑制剤が重要となります。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 無菌室(クリーンルーム)での管理: 前処置により患者は極度の免疫不全状態となるため感染予防のために無菌室(クリーンルーム)で管理され、厳しい感染対策(陽圧換気、滅菌食、手洗い、マスク着用など)が必要となります。

【問85】肝細胞癌で正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 早期から黄疸が出現する。

  2. 原発性肝癌の中で最も頻度が高い。

  3. 診断に腹部超音波検査が用いられる。

  4. 特異性の高い腫瘍マーカーはCEAである。

  5. 肝内胆管の細胞が腫瘍化して発生する癌である。

【正解】2, 3

【30秒でわかる!ポイント解説】
肝細胞癌はB型・C型肝炎ウイルスによる慢性肝炎や肝硬変を背景に発生することが多く、原発性肝癌の約9割を占めます。スクリーニング検査として腹部超音波検査と腫瘍マーカー(AFP, PIVKA-Ⅱ)が重要です。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 早期から黄疸が出現する。: 不正解。肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、肝細胞癌は早期には無症状であることがほとんどです。黄疸や腹水などの症状が出現するのは肝機能が著しく低下した進行期です。

  2. 原発性肝癌の中で最も頻度が高い。: 正解。 日本における原発性肝癌の90%以上は肝細胞癌です。

  3. 診断に腹部超音波検査が用いられる。: 正解。 腹部超音波(エコー)検査は身体への負担が少なく、繰り返し行えるため肝硬変患者などハイリスク群の定期的なスクリーニング検査として非常に有用です。

  4. 特異性の高い腫瘍マーカーはCEAである。: 不正解。肝細胞癌の腫瘍マーカーは「AFP(アルファ・フェトプロテイン)」と「PIVKA-Ⅱ」です。CEAは主に大腸癌などの消化器癌で用いられるマーカーです。

  5. 肝内胆管の細胞が腫瘍化して発生する癌である。: 不正解。これは「肝内胆管癌」の説明です。肝細胞癌は、肝臓の実質細胞である「肝細胞」ががん化したものです。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 肝細胞癌の治療: 治療法は、肝機能(肝予備能)と癌の進行度(腫瘍の大きさ、数、場所)によって総合的に決定されます。主な治療法には、肝切除、ラジオ波焼灼療法(RFA)、肝動脈化学塞栓療法(TACE)、分子標的薬などがあります。

【問86】片側性の末梢性顔面神経麻痺の症状はどれか。2つ選べ。

  1. 眼瞼が下垂する。

  2. 顔面の知覚が鈍い。

  3. 口角が垂れ下がる。

  4. 物が二重に見える。

  5. 額にできるしわに左右差がある。

【正解】3, 5

【30秒でわかる!ポイント解説】
末梢性顔面神経麻痺(ベル麻痺など)では、顔の片側全体の表情筋が麻痺します。その結果、額にしわを寄せられない、目が閉じられない(閉眼不全)、口角が下がる、口笛が吹けない、などの症状が麻痺側に現れます。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 眼瞼が下垂する。: 不正解。眼瞼下垂(まぶたが下がる)は、まぶたを持ち上げる動眼神経の麻痺で見られる症状です。顔面神経麻痺では、目を閉じる「眼輪筋」が麻痺するためむしろ目が閉じにくくなります(兎眼)。

  2. 顔面の知覚が鈍い。: 不正解。顔面の知覚(触覚、痛覚など)を支配するのは「三叉神経」です。

  3. 口角が垂れ下がる。: 正解。 口の周りの筋肉(口輪筋など)が麻痺するため患側の口角が下がり、水を飲むと口からこぼれたりします。

  4. 物が二重に見える。: 不正解。複視(物が二重に見える)は、眼球運動神経(動眼・滑車・外転神経)の麻痺による眼球運動障害で見られる症状です。

  5. 額にできるしわに左右差がある。: 正解。 額の筋肉(前頭筋)が麻痺するため患側では額にしわを寄せることができなくなり、健側との左右差が顕著になります。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 中枢性と末梢性の違い: 脳梗塞などによる中枢性顔面神経麻痺では、額の筋肉の動きは保たれることが多いのが特徴です。一方、末梢性では額も含めた顔面半分の麻痺が起こります。この違いは重要です。

【問87】障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律〈障害者総合支援法〉に基づく障害福祉サービスはどれか。2つ選べ。

  1. 訪問介護

  2. 訪問看護

  3. 療養介護

  4. 重度訪問介護

  5. 訪問リハビリテーション

【正解】3, 4

【30秒でわかる!ポイント解説】
障害者総合支援法に基づく訪問系のサービスには、「居宅介護(ホームヘルプ)」「重度訪問介護」「同行援護」「行動援護」などがあります。また、医療と介護を常に必要とする方が利用する「療養介護」もこの法律に基づくサービスです。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 訪問介護: 不正解。訪問介護(ホームヘルプサービス)は、「介護保険法」に基づくサービスです。障害者総合支援法では同様のサービスを「居宅介護」と呼びます。

  2. 訪問看護: 不正解。訪問看護は、主に「医療保険法」または「介護保険法」に基づいて提供されます。

  3. 療養介護: 正解。 医療機関に入院している障害者で常に医療と介護を必要とする方(筋ジストロフィー患者など)に対して日中の活動支援や身体介護などを提供する障害福祉サービスです。

  4. 重度訪問介護: 正解。 重度の肢体不自由や知的・精神障害があり、常時介護を必要とする方に対して居宅での入浴・排泄・食事の介護や外出時の移動支援などを総合的に提供する障害福祉サービスです。

  5. 訪問リハビリテーション: 不正解。訪問リハビリテーションは、「介護保険法」または「医療保険法」に基づいて提供されます。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 障害福祉サービスの体系: 障害者総合支援法に基づくサービスは、個々の障害者への支援を行う「介護給付」「訓練等給付」(自立支援給付)と市町村が地域の実情に応じて行う「地域生活支援事業」に大別されます。

【問88】感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉で、2類感染症に分類されるのはどれか。2つ選べ。

  1. ポリオ〈急性灰白髄炎〉

  2. 細菌性赤痢

  3. 狂犬病

  4. 百日咳

  5. 結核

【正解】1, 5

【30秒でわかる!ポイント解説】
感染症法では、感染症を危険性に応じて1類〜5類などに分類しています。2類感染症は、「感染力や罹患した場合の重篤性に基づき、特定の感染症より危険性は低いが、まん延を防止するため入院勧告などの措置が必要」とされ、結核やポリオ、SARS、MERSなどが含まれます。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. ポリオ〈急性灰白髄炎〉: 正解。 ポリオは2類感染症に分類されます。

  2. 細菌性赤痢: 不正解。細菌性赤痢は、コレラや腸チフスなどと同じく「3類感染症」(飲食物を介して感染し、集団発生を起こしうる)に分類されます。

  3. 狂犬病: 不正解。狂犬病は、致死率が極めて高く、動物から感染する「4類感染症」に分類されます。

  4. 百日咳: 不正解。百日咳は、インフルエンザや麻疹などと同じく「5類感染症」(発生動向の調査が必要な感染症)に分類されます。

  5. 結核: 正解。 結核は2類感染症に分類されます。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 1類感染症: エボラ出血熱、ペスト、痘そうなど最も危険性が高い感染症が分類されます。原則入院、交通制限などの厳しい措置がとられます。

【問89】日常生活自立支援事業のサービス内容で正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 住民票の届出

  2. 福祉用具の貸与

  3. 入院時の身元保証

  4. 自家用車の売買契約

  5. 銀行口座から現金の引き出し

【正解】1, 5

【30秒でわかる!ポイント解説】
日常生活自立支援事業は、認知症高齢者や知的・精神障害者など判断能力が不十分な方が地域で安心して生活できるように福祉サービスの利用援助や日常的な金銭管理を支援する事業です。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 住民票の届出: 正解。 福祉サービスの利用手続きや行政手続きに関する援助は、この事業の主要なサービス内容です。

  2. 福祉用具の貸与: 不正解。これは介護保険法などに基づくサービスであり、日常生活自立支援事業が直接行うものではありません。利用手続きの援助は行います。

  3. 入院時の身元保証: 不正解。入院や施設入所時の身元保証人になることはできません。これは成年後見人でも同様です。

  4. 自家用車の売買契約: 不正解。不動産や自家用車など本人の財産処分に関わるような重要な契約行為は対象外です。これらには成年後見制度の利用が必要です。

  5. 銀行口座から現金の引き出し: 正解。 年金の受け取りや公共料金の支払い、預貯金の出し入れといった「日常的な金銭管理」の援助は、この事業の重要なサービス内容です。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 実施主体: この事業は、社会福祉法に基づき、都道府県・指定都市の社会福祉協議会が実施主体となり実際の業務は地域の市区町村社会福祉協議会に委託されています。

【問90】ドパミン受容体が遮断されることで出現する症状はどれか。2つ選べ。

  1. 幻聴

  2. 口渇

  3. 妄想

  4. 筋強剛

  5. アカシジア

【正解】4, 5

【30秒でわかる!ポイント解説】
抗精神病薬は、ドパミン受容体を遮断することで幻覚や妄想といった陽性症状を改善します。しかし、その副作用として運動調節に関わるドパミン経路(黒質線条体路)もブロックしてしまい、パーキンソン病に似た症状(錐体外路症状)が出現することがあります。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 幻聴: 不正解。幻聴や妄想は、ドパミンが「過剰」に働くことで生じる陽性症状であり、ドパミン遮断はこれらの症状を「改善」する目的で行われます。

  2. 口渇: 不正解。口渇は、抗精神病薬が持つ「抗コリン作用」によって唾液分泌が抑制されることで起こる副作用です。

  3. 妄想: 不正解。これもドパミン過剰による陽性症状です。

  4. 筋強剛: 正解。 筋肉がこわばり、カクカクとした動きになるパーキンソニズムの症状の一つです。錐体外路症状(EPS)に分類されます。

  5. アカシジア: 正解。 じっと座っていられない、そわそわして落ち着かないといった静座不能の状態です。これも代表的な錐体外路症状(EPS)です。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 錐体外路症状(EPS): 抗精神病薬の副作用として重要なEPSには、①パーキンソニズム(筋強剛、振戦、無動)、②アカシジア、③急性ジストニア(筋肉の異常な緊張・収縮)、④遅発性ジスキネジア(口をもぐもぐさせるなどの不随意運動)があります。

お疲れ様でした!
これで午前問題の問61~90をクリアですね!

「なるほど、そういうことか!」ってなった問題もあれば「うわ、これ苦手…」って感じた問題もあったんじゃないでしょうか?
でも大丈夫!
1つ1つ取り組むことで自信は必ずついてきます。

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