第114回看護師国家試験 午前問題【問91~120】解答・解説と国試対策のポイント

看護師国家試験

第114回看護師国家試験(午前問題 問61~90)の解答と、全選択肢の詳しい解説をまとめました。

この記事では、

・正解の根拠だけでなく、間違い選択肢の理由も徹底解説

・聞き流し学習ができるYouTube動画との連携

試験に出る関連知識や重要ポイントの整理

これらを網羅し、あなたの国試対策を強力にサポートします。
通学中や実習の合間など、スキマ時間の学習にぜひご活用ください。

それでは、問91から順に解説していきます。

目次

次の文を読み91〜93の問いに答えよ。

Aさん(73歳、女性)は1人で暮らしており、脳梗塞で入院した。Aさんは左半身に麻痺があり、認知機能障害はない。4点杖を使用して歩行が可能となり、住宅改修をして自宅に退院した。退院後は、降圧薬と抗血栓薬が処方され、服薬管理と健康管理の目的で訪問看護を週1回、調理と買い物代行の目的で訪問介護を週1回利用している。Aさんは「昨日、退院して初めて1人で買い物に行ったら転びそうになって、横にいた人に支えてもらったんです」と訪問看護師に話した。

【問91】このとき、訪問看護師が転倒予防のために収集する情報として最も適切なのはどれか。

  1. 服薬の状況

  2. 食事の摂取量

  3. 右上下肢の筋力

  4. 他者との交流の頻度

【正解】1

【30秒でわかる!ポイント解説】
Aさんは降圧薬を内服しており、転倒しそうになったというエピソードがあります。降圧薬の効果が効きすぎて血圧が下がりすぎていないか、ふらつきの原因になっていないかをアセスメントするためまずは服薬状況の確認が最優先です。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 服薬の状況: 正解。 降圧薬が適切に服用されているか、過剰に服用していないか、副作用としてのめまいやふらつきが出ていないかを確認することは転倒リスクのアセスメントに直結します。

  2. 食事の摂取量: 不正解。低栄養は筋力低下につながり転倒リスクになりますが、今回のエピソードとの直接的な関連性は服薬状況より低いです。

  3. 右上下肢の筋力: 不正解。麻痺があるのは「左半身」です。健側である右側の筋力低下も転倒リスクになりますが、まずは転倒しそうになった直接的な誘因を探ることが優先されます。

  4. 他者との交流の頻度: 不正解。社会的孤立は身体機能の低下につながりますが、緊急性の高い情報収集としては優先度が低いです。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 高齢者の転倒リスク因子: 内的因子(筋力低下、視力障害、めまい、薬剤の影響など)と外的因子(段差、滑りやすい床、不適切な履物など)の両方をアセスメントすることが重要です。

【問92】退院から2か月後、Aさんは杖歩行が安定し、時間をかけて調理や買い物を自分で行うようになった。看護師が訪問したとき、Aさんから「最近トイレに間に合わずに尿が漏れてしまうことがあるんです。恥ずかしいので排泄だけは人の世話になりたくないんです。良い方法があれば教えてください」と相談された。
このときの訪問看護師のAさんへの助言で最も適切なのはどれか。

  1. 「パンツ型オムツを使ってみましょう」

  2. 「ポータブルトイレを使ってみましょう」

  3. 「夕食後は水分を摂り過ぎないようにしましょう」

  4. 「ご自分の排尿間隔に合わせてトイレに行きましょう」

【正解】4

【30秒でわかる!ポイント解説】
Aさんは左半身麻痺があるため、トイレ動作に時間がかかり間に合わない「機能性尿失禁」と尿意を感じてから間に合わない「切迫性尿失禁」が考えられます。「人の世話になりたくない」という自尊心を尊重し、まずは失禁を予防するための行動(行動療法)を提案するのが最も適切です。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 「パンツ型オムツを使ってみましょう」: 不正解。「人の世話になりたくない」という自立への思いが強いAさんに対して安易にオムツを勧めるのは自尊心を傷つける可能性があります。

  2. 「ポータブルトイレを使ってみましょう」: 不正解。これも有効な対策の一つですが、まずは現在のトイレで排泄を続けられる方法を検討するのが先決です。

  3. 「夕食後は水分を摂り過ぎないようにしましょう」: 不正解。夜間の尿失禁対策としては有効ですが、日中の尿失禁に対しては直接的な解決策になりにくいです。

  4. 「ご自分の排尿間隔に合わせてトイレに行きましょう」: 正解。 自分の排尿パターンを把握し、尿意を感じる前に計画的にトイレに行く「膀胱訓練(計画的排尿)」は尿失禁を予防するための最も基本的な行動療法であり、Aさんの自立を支援する助言として最も適切です。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 尿失禁のタイプ別ケア:

    • 腹圧性: 骨盤底筋訓練

    • 切迫性: 膀胱訓練、薬物療法

    • 溢流性: 自己導尿、原因疾患の治療

    • 機能性: 環境整備、トイレ誘導、着脱しやすい衣服

【問93】退院から3か月後、Aさんはテレビを見て過ごす時間が多くなった。「買い物や調理が面倒になって、同じものばかり作っています」と言い「退院したころは毎日排便があったのに、最近便秘気味ですっきりしないんです」と訴えた。
訪問看護師の対応で最も適切なのはどれか。

  1. 食事内容を見直す。

  2. 腹部の温罨法を勧める。

  3. 市販の浣腸液の使用を勧める。

  4. 主治医に緩下薬の処方を相談する。

【正解】1

【30秒でわかる!ポイント解説】
Aさんの便秘の原因は①活動量の低下による腸管運動の低下、②「同じものばかり作っている」ことから推測される食物繊維や水分摂取の不足、が考えられます。薬や処置に頼る前にまずは生活習慣、特に便秘の直接的な原因となっている食事内容を見直すよう働きかけることが、最も基本的で重要な対応です。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 食事内容を見直す。: 正解。 便秘の改善には、バランスの取れた食事、特に食物繊維や水分を十分に摂取することが基本です。Aさんの発言から、食事内容に問題がある可能性が最も高いため、ここからアプローチするのが適切です。

  2. 腹部の温罨法を勧める。: 不正解。温罨法は腸管運動を促す効果が期待できますが、対症療法であり根本的な原因解決にはなりません。

  3. 市販の浣腸液の使用を勧める。: 不正解。安易な浣腸の使用は、依存性や腸粘膜への刺激のリスクがあり、看護師が主体的に勧めるべきではありません。

  4. 主治医に緩下薬の処方を相談する。: 不正解。薬物療法を検討するのは、食事や運動などの生活習慣の改善を図っても効果が見られない場合の次のステップです。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 高齢者の便秘ケア: ①食事(食物繊維、水分、発酵食品)、②運動(散歩など)、③排便習慣(食後の排便トライ)、④環境(プライバシーの確保)、⑤薬剤の調整という多角的なアプローチが必要です。

次の文を読み94〜96の問いに答えよ。

Aさん(56歳、女性、主婦)は、食後に冷汗を伴う腹痛があり外来を受診した。腹部超音波検査の結果、胆石症と診断され、腹腔鏡下胆嚢摘出術の目的で入院した。看護師は手術オリエンテーションで、術後の入院期間は2日と説明した。Aさんは、同じ手術を受けた妹が合併症で3週間以上食事もできなかったので、自分も同じ合併症を発症するかもしれないと心配そうに話した。

【問94】Aさんの妹が発症した合併症はどれか。

  1. 肺炎

  2. 胆汁瘻

  3. 皮下気腫

  4. 深部静脈血栓症

【正解】2

【30秒でわかる!ポイント解説】
腹腔鏡下胆嚢摘出術後、3週間以上も食事ができなかったというエピソードから重篤な合併症が考えられます。この手術に特有かつ絶食期間が長引く原因となる合併症は、胆管が損傷して胆汁が腹腔内に漏れ出す「胆汁瘻」です。胆汁漏は腹膜炎を引き起こすため、長期間のドレナージと絶食が必要になります。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 肺炎: 不正解。術後肺炎は全身麻酔の合併症として起こり得ますが、3週間以上の絶食の原因となることは稀です。

  2. 胆汁瘻: 正解。 胆嚢管や胆管の損傷によって胆汁が漏れ、腹膜炎や膿瘍を形成する重篤な合併症です。治癒まで長期間のドレナージと絶食が必要となるため状況に最も合致します。

  3. 皮下気腫: 不正解。気腹(腹腔内に二酸化炭素を送気)の影響で術後に皮下に空気が溜まることがありますが、通常は数日で自然に吸収され、長期絶食の原因にはなりません。

  4. 深部静脈血栓症: 不正解。術後の長期臥床などで起こりうる合併症ですが、食事摂取とは直接関係ありません。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 腹腔鏡下胆嚢摘出術後の観察: 術後の腹痛の部位や性状、ドレーンからの排液の性状(胆汁様でないか)、発熱や黄疸の有無など、胆汁瘻や胆管損傷の徴候を早期に発見することが重要です。

【問95】Aさんは、全身麻酔下で気腹法による腹腔鏡下胆嚢摘出術を受けている。
手術中のAさんに最も生じやすいのはどれか。

  1. 体温の上昇

  2. 心拍出量の上昇

  3. 腹腔内圧の低下

  4. 動脈血二酸化炭素分圧〈PaCO₂〉の上昇

【正解】4

【30秒でわかる!ポイント解説】
気腹法では、腹腔内に二酸化炭素(CO₂)を注入してスペースを作ります。この注入されたCO₂の一部が腹膜から吸収されて血液中に移行するため体内のCO₂濃度が上昇し、動脈血二酸化炭素分圧(PaCO₂)が上昇します(高炭酸ガス血症)。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 体温の上昇: 不正解。全身麻酔下では体温調節中枢が抑制され、体温はむしろ低下しやすくなります(術中低体温)。

  2. 心拍出量の上昇: 不正解。気腹による腹腔内圧の上昇で下大静脈が圧迫され、心臓に戻る血液量(静脈還流量)が減少するため心拍出量は「低下」します。

  3. 腹腔内圧の低下: 不正解。手術操作のスペースを確保するためCO₂を送気して腹腔内圧を「上昇」させます。

  4. 動脈血二酸化炭素分圧〈PaCO₂〉の上昇: 正解。 腹腔内に注入したCO₂が吸収されることにより高炭酸ガス血症をきたす可能性があります。麻酔科医は、換気量を調節してPaCO₂を正常範囲に保ちます。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 気腹によるその他の影響: 腹腔内圧の上昇は静脈還流量の低下だけでなく、横隔膜の挙上による換気障害や腎血流量の低下などを引き起こす可能性があります。

【問96】Aさんの術後の経過は良好で、退院した。その後の外来受診で「下痢をすることが多いです」という訴えがあった。
下痢を予防するために控えるもので正しいのはどれか。

  1. 塩分

  2. 脂質

  3. 糖質

  4. 蛋白質

【正解】2

【30秒でわかる!ポイント解説】
胆嚢は肝臓で作られた胆汁を濃縮・貯蔵し、食事(特に脂肪)の摂取に応じて胆汁を十二指腸に放出する役割があります。胆嚢を摘出すると濃縮されていない薄い胆汁が持続的に流れ込む状態になるため脂肪の消化・吸収能力が一時的に低下し、脂肪分の多い食事を摂ると下痢をしやすくなります。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 塩分: 不正解。塩分摂取と胆嚢摘出後の下痢との直接的な関連はありません。

  2. 脂質: 正解。 脂肪の消化を助ける胆汁の調節機能が失われるため一度に多くの脂質を摂取すると消化不良を起こし、下痢(脂肪便)の原因となります。

  3. 糖質: 不正解。糖質の消化と胆汁は直接関係ありません。

  4. 蛋白質: 不正解。蛋白質の消化と胆汁は直接関係ありません。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 胆嚢摘出後の食事指導: 退院後の食事指導では一度にたくさんの脂肪を摂ることは避け、低脂肪食から開始し、徐々に普通の食事に戻していくよう説明します。この状態は数か月から1年程度で体が慣れてくることがほとんどです。

次の文を読み97〜99の問いに答えよ。

Aさん(50歳、女性、会社員)は、職場で激しい頭痛を訴えて倒れ、意識を失って、救急搬送された。救命救急センター到着時のバイタルサインは、体温36.7℃、呼吸数20/分、脈拍88/分、血圧168/88mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO₂〉98%(room air)であった。閉眼していたので、大声で話しかけると開眼したが、すぐに閉眼して眠り込んでしまう。

【問97】Aさんの意識レベルは、ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉で評価するとどれか。

  1. Ⅱ-10

  2. Ⅱ-20

  3. Ⅲ-100

  4. Ⅲ-200

【正解】2

【30秒でわかる!ポイント解説】
ジャパン・コーマ・スケール(JCS)は、意識障害のレベルを評価するスケールです。「大声で話しかける」という”普通の呼びかけより強い刺激”で「開眼」し、「刺激をやめるとすぐに眠り込む」状態はJCSのⅡ群(刺激すると覚醒する)-20に分類されます。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. Ⅱ-10: 不正解。これは「普通の呼びかけで容易に開眼する」状態です。

  2. Ⅱ-20: 正解。 「大きな声または体を揺さぶることで開眼する」状態に合致します。

  3. Ⅲ-100: 不正解。Ⅲ群は刺激しても覚醒しない(開眼しない)レベルです。Ⅲ-100は「痛み刺激に対し、払いのけるような動作をする」状態です。

  4. Ⅲ-200: 不正解。「痛み刺激に対し、手足を動かしたり、顔をしかめたりする」状態です。

【さらに深掘り!関連知識】

  • JCSの3-3-9度方式:

    • Ⅰ群(覚醒している): 1, 2, 3

    • Ⅱ群(刺激すると覚醒する): 10, 20, 30

    • Ⅲ群(刺激しても覚醒しない): 100, 200, 300
      数字が大きくなるほど意識レベルが低いことを示します。

【問98】Aさんは、CT検査の結果、脳動脈瘤の破裂によるくも膜下出血と診断され、クリッピング術を受けてICUに入室した。入室時のバイタルサインは、体温36.8℃、 呼吸数22/分、脈拍78/分、血圧126/60mmHg、フェイスマスクによる酸素投与下5L/分で経皮的動脈血酸素飽和度 SpO2 98%であった。3時間後、Aさんは 開眼して「頭が痛い」と訴えた。バイタルサインに変化はなく、脳槽ドレーンからは 淡血性の排液がみられている。
このときの看護師の判断で正しいのはどれか。

  1. 端座位にする。

  2. 枕を高くする。

  3. 鎮痛薬の適応である。

  4. ドレーンをクランプする。

【正解】3

【30秒でわかる!ポイント解説】
術後の頭痛は手術侵襲による当然の反応であり、患者にとって大きな苦痛です。バイタルサインが安定しており脳圧亢進を疑う徴候もないため、まずは患者の苦痛を緩和するために医師の指示に基づいて鎮痛薬を使用することが最も適切な判断です。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 端座位にする。: 不正解。術後早期に急激な体位変換、特に頭部を高くすることは血圧変動を招き、再出血のリスクを高める可能性があるため危険です。

  2. 枕を高くする。: 不正解。頭部を挙上(15〜30度程度)することは脳圧のコントロールに有効ですが、頭痛の訴えに対する直接的な対応としては、まず疼痛緩和が優先されます。

  3. 鎮痛薬の適応である。: 正解。 術後の疼痛は患者に多大なストレスを与え、血圧上昇などを介して状態を悪化させる可能性もあります。バイタルサインが安定している現在の状況では苦痛緩和のために鎮痛薬を使用すべきと判断するのが適切です。

  4. ドレーンをクランプする。: 不正解。脳槽ドレーンは血性髄液を排出して脳圧をコントロールし、水頭症などを予防する重要な役割があります。自己判断でクランプすることは急激な脳圧亢進を招くため禁忌です。

【さらに深掘り!関連知識】

  • くも膜下出血術後の3大合併症: ①再出血(術前・術後早期に最も危険)、②脳血管攣縮(スパズム、術後4〜14日頃がピーク)、③正常圧水頭症(慢性期)。これらの合併症の徴候を念頭に置いた観察が重要です。

【問99】Aさんの回復は順調で、後遺症なく退院した。退院1か月後の外来で、Aさんに生活状況を聞くと、会話に対する反応は鈍く「この間、尿を漏らしてしまいました」と話した。家族は「最近物忘れが激しく、歩くのも遅くなりました」と話した。看護師がAさんに書類を渡すと、スムーズに受け取り、きれいな文字で名前を書いた。家族は「入院前と変わらない字で書けています」と言った。
Aさんに起こっている可能性が高いのはどれか。

  1. 脳血管攣縮

  2. 正常圧水頭症

  3. 脳動脈瘤の破裂

  4. Parkinson〈パーキンソン〉病

【正解】2

【30秒でわかる!ポイント解説】
退院後に見られる①認知機能障害(物忘れ、反応が鈍い)、②歩行障害(歩くのが遅くなった)、③尿失禁という3つの症状は「正常圧水頭症(NPH)」の典型的な三徴候です。くも膜下出血の慢性期の合併症としてよく知られています。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 脳血管攣縮: 不正解。脳血管攣縮(スパズム)は術後2週間以内にピークを迎える急性期の合併症であり、退院1か月後の症状としては考えにくいです。

  2. 正常圧水頭症: 正解。 くも膜下出血後に髄液の吸収障害が起こり、脳室が拡大することで発症します。歩行障害、認知機能障害、尿失禁の三徴候が特徴です。髄液シャント術で症状の改善が期待できます。

  3. 脳動脈瘤の破裂: 不正解。これは「再出血」を意味し、発症時と同様の激しい頭痛や急激な意識障害を伴うため状況と異なります。

  4. Parkinson〈パーキンソン〉病: 不正解。歩行障害は共通しますが、パーキンソン病に特徴的な安静時振戦や筋強剛、姿勢反射障害などの記載がなく発症の経緯からも考えにくいです。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 正常圧水頭症(NPH)のアセスメント: 歩行障害は、足が開き気味で歩幅が狭くすり足になる「磁石歩行」が特徴的です。また、書字などの上肢の巧緻運動は比較的保たれることが多いのも特徴でAさんのエピソードと合致します。

次の文を読み100〜102の問いに答えよ。

Aさん(87歳、女性)は1人で暮らしている。難聴のため補聴器を使用している。自宅で転倒して痛みで起き上がれなくなり、救急搬送され入院した。搬送先の病院で右大腿骨頸部骨折と診断され、全身麻酔下で人工骨頭置換術を受けた。術後は前腕部に点滴静脈内注射と右大腿の創部に吸引式ドレーンが一本挿入されている。
手術直後の検査所見:赤血球410万/μL、白血球7800/μL、Hb12.0g/dL、総蛋白6.5g/dL、アルブミン4.0g/dL、尿素窒素20mg/dL、Na145mEq/L、K3.8mEq/L。
術後のドレーン出血量は少量である。創部痛に対して非ステロイド性抗炎症薬の坐薬と内服が処方され、手術当日の21時に坐薬を使用した。

【問100】術後1日。朝6時のAさんのバイタルサインは、体温36.5℃、呼吸数18/分、 脈拍64/分、血圧120/82mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度 SpO2 97%(room air)であった。膀胱留置カテーテルが挿入されていて夜間の尿の流出は良好であった。腸蠕動音が確認できたため朝食が開始された。食事時にAさんが顔をしかめていたため、夜勤の看護師が鎮痛薬の内服を勧めたがAさんは「痛みはそれほど強くない」と言った。朝食後に点滴静脈内注射と吸引式ドレーンが抜去された。
午前9時の看護師の観察項目で優先度が高いのはどれか。

  1. 意識レベル

  2. 酸素飽和度

  3. 創部痛

  4. 血圧

  5. 尿量

【正解】3

【30秒でわかる!ポイント解説】
術後1日目の高齢者。バイタルサインは安定しています。この後、離床を進めていく上で最も重要なのは「疼痛コントロール」です。痛みが強いと離床が遅れ、せん妄や深部静脈血栓症、肺炎などの術後合併症のリスクが高まります。Aさんは痛みを我慢している可能性があるため、創部痛の正確なアセスメントが最優先です。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 意識レベル: 不正解。朝6時の時点で安定しており、急変のリスクは低いと判断できます。

  2. 酸素飽和度: 不正解。これも朝6時の時点で安定しています。

  3. 創部痛: 正解。 Aさんは「痛みはそれほど強くない」と遠慮していますが、食事時に顔をしかめていることから実際には痛みがあると推測されます。適切な疼痛管理は早期離床と合併症予防の鍵であり、優先度は非常に高いです。

  4. 血圧: 不正解。朝6時の時点で安定しています。

  5. 尿量: 不正解。夜間の尿流出は良好であり、緊急性は低いです。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 高齢者の疼痛アセスメント: 高齢者は痛みを訴えるのを遠慮したり、認知機能の問題でうまく表現できなかったりすることがあります。表情や行動の変化(顔をしかめる、動かなくなるなど)といった非言語的サインを注意深く観察することが重要です。

【問101】術後1日。午前中に看護師がAさんのバイタルサインを測定しているときは眠っていた。昼食後に看護師が訪室すると、Aさんは多弁で、落ち着かない様子がみられた。
看護師のAさんへの対応で適切なのはどれか。2つ選べ。

  1. 医師に抗不安薬の処方を依頼する。

  2. ベッド上で安静に過ごしてもらう。

  3. 膀胱留置カテーテルを抜去する。

  4. ベッド周囲をカーテンで囲む。

  5. 補聴器の装着を確認する。

【正解】2, 5

【30秒でわかる!ポイント解説】
高齢者の術後、環境の変化や痛み、身体的苦痛などによって引き起こされる「術後せん妄」を強く疑う状況です。せん妄の対応の基本は、まず原因を探り、安全で安心できる環境を整えることです。Aさんは難聴があるため補聴器が外れていて周囲の状況が分からず、不安が増強している可能性があります。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 医師に抗不安薬の処方を依頼する。: 不正解。薬物療法は、非薬物的なアプローチを試みても改善しない場合に検討される最終手段です。安易な使用はせん妄を悪化させることもあります。

  2. ベッド上で安静に過ごしてもらう。: 正解。 落ち着かない様子で活動すると転倒・転落や自己抜去のリスクが非常に高いです。まずは安全を確保するためベッド上で安静にしてもらうことが適切です。

  3. 膀胱留- 置カテーテルを抜去する。: 不正解。カテーテルの違和感がせん妄の一因になることはありますが、自己判断で抜去はできません。また、抜去がせん妄を改善させるという直接的な保証もありません。

  4. ベッド周囲をカーテンで囲む。: 不正解。カーテンで閉鎖的な環境を作ることは見当識障害を助長し、不安や混乱を悪化させる可能性があります。むしろ、窓の外が見えるようにしたり、カレンダーを置いたりするなど見当識を保つ工夫が有効です。

  5. 補聴器の装着を確認する。: 正解。 難聴の患者にとって補聴器は外部とつながる重要なツールです。これが外れていると周囲の音が聞こえず、状況が理解できないため極度の不安や混乱を招き、せん妄の直接的な原因となります。まずは装着状態を確認し、コミュニケーション環境を整えることが最優先です。

【さらに深掘り!関連知識】

  • せん妄の予防的介入: ①見当識の維持(時計、カレンダー、窓)、②睡眠の促進(昼夜のメリハリ)、③早期離床、④適切な水分・栄養摂取、⑤視覚・聴覚の補助(眼鏡、補聴器)、⑥適切な疼痛管理、などが重要です。

【問102】術後2週。Aさんは杖歩行の練習をしている。見守りをする看護師に「早く家に帰りたいけど、また転びそうで怖いし、元のように歩ける自信がない」と話した。
Aさんへの声かけで最も適切なのはどれか。

  1. 「リハビリテーションの回数をもっと増やしましょう」

  2. 「カルシウムを多く含んだ食品を摂りましょう」

  3. 「少しずつ歩けるようになってきていますよ」

  4. 「退院先は介護老人保健施設にしましょう」

【正解】3

【30秒でわかる!ポイント解説】
Aさんは、退院への期待と転倒への恐怖というアンビバレントな感情を抱えています。このような不安の表出に対して看護師はまずその気持ちに寄り添い、できている部分を具体的に伝えて承認する(勇気づける)ことが最も重要です。「少しずつ歩けるようになっている」という事実に焦点を当てた声かけはAさんの自己効力感を高め、リハビリへの意欲を引き出します。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 「リハビリテーションの回数をもっと増やしましょう」: 不正解。不安の訴えに対して安易に訓練量を増やす提案をするのは、本人の気持ちを無視した押し付けになりかねません。

  2. 「カルシウムを多く含んだ食品を摂りましょう」: 不正解。骨粗鬆症の予防として重要ですが、今Aさんが抱えている心理的な不安に対する直接的な応答にはなっていません。

  3. 「少しずつ歩けるようになってきていますよ」: 正解。 Aさんの不安な気持ちを受け止めつつ、リハビリの成果という客観的な事実を伝えることでAさんを勇気づけ、前向きな気持ちを支える最も適切な共感的・支持的な関わりです。

  4. 「退院先は介護老人保健施設にしましょう」: 不正解。「早く家に帰りたい」というAさんの希望を無視し、一方的に退院先を決めるような発言は信頼関係を損なうため不適切です。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 自己効力感(セルフ・エフィカシー): ある課題に対して「自分ならできる」と自分の能力を信じられる感覚のこと。リハビリテーションにおいては、この自己効力感をいかに高めるかが患者の主体的な取り組みを引き出す上で非常に重要です。

次の文を読み103〜105の問いに答えよ。

Aさん(76歳、男性)は妻(72歳)と2人で暮らしている。ベッドからトイレに起きようとしたところ右上下肢にしびれと脱力感があり、動けなくなったため救急車で来院した。頭部CTで左中大脳動脈領域のラクナ梗塞と診断され、緊急入院し血栓溶解療法が施行された。
既往歴:53歳で高血圧症と診断され内服治療を継続している。
生活歴:60歳まで食品会社に勤務していた。
入院時の身体所見:身長168cm、体重65kg、体温37.2℃、呼吸数20/分、脈拍 78/分、血圧210/88mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度 <SpO2>97% (room air)、右上下肢麻痺を認めた。
入院時の検査所見:白血球3,600/µL、赤血球420万/µL、Hb 11.2g/dL、総蛋白6.2 g/dL、アルブミン3.6g/dL、空腹時血糖108 mg/dL、CRP 0.1 mg/dL。

【問103】入院2日、Aさんは全身状態が落ち着いてきたため、主治医から離床開始の指示があった。
Aさんの離床開始時の観察項目で優先度が高いのはどれか。

  1. 血圧

  2. 見当識障害

  3. 下肢の知覚障害

  4. 夜間の睡眠状況

【正解】1

【30秒でわかる!ポイント解説】
Aさんは脳梗塞の急性期であり、入院時の血圧が210/88mmHgと著しい高血圧です。このような患者が離床(ベッドから起き上がる)する際には、体位変換に伴う血圧の急激な変動(特に起立性低血圧)のリスクが非常に高いです。血圧の変動は脳血流に影響し、病状を悪化させる危険があるため血圧のモニタリングが最優先です。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 血圧: 正解。 離床に伴う起立性低血圧は、めまいやふらつき、失神を引き起こし転倒や脳虚血のリスクとなります。安全に離床を進めるため体位変換前後の血圧測定は不可欠です。

  2. 見当識障害: 不正解。高次脳機能障害の評価として重要ですが、離床「開始時」の身体的安全確保という点では血圧より優先度は低いです。

  3. 下肢の知覚障害: 不正解。麻痺に伴う感覚障害のアセスメントも重要ですが、離床時の急変リスクに直結する観察項目としては血圧が優先されます。

  4. 夜間の睡眠状況: 不正解。せん妄のリスク評価などで重要ですが、離床開始時のフィジカルな安全確保とは直接関係ありません。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 脳梗塞急性期の血圧管理: 発症急性期は、脳血流を維持するためにある程度の高血圧が許容されることもありますが、離床時には慎重な管理が求められます。降圧薬を使用している場合は、その効果と離床のタイミングを考慮する必要があります。

【問104】入院5日。Aさんは座位訓練の後、車椅子に座って食事を摂取することになった。食事動作は自助具を使用すれば少しずつ自分で摂取できるようになったが、時間が経過すると上体が右側に傾くため、体幹の右側にクッションを入れて食事をしている。
Aさんが安定して食事ができるための援助で適切なのはどれか。

  1. 座位時間を徐々に短縮する。

  2. テーブルの高さを高くする。

  3. 背部にタオルを入れ軽く前傾姿勢にする。

  4. Aさん自身で左側に重心を傾けるよう指導する。

【正解】3

【30秒でわかる!ポイント解説】
Aさんは右麻痺があり、体幹の支持性が低下しているため疲れてくると麻痺側に傾いてしまいます。安定した食事姿勢を保つためには、体幹を安定させることが重要です。背部にタオルなどを入れて骨盤を少し前傾させることで体幹が安定し、上肢の操作もしやすくなります。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 座位時間を徐々に短縮する。: 不正解。座位耐久性を高めることがリハビリの目標であるため安易に時間を短縮するのは適切ではありません。

  2. テーブルの高さを高くする。: 不正解。テーブルが高すぎると肩が上がってしまい上肢の操作がしにくくなります。適切な高さは肘を90度に曲げた位置です。

  3. 背部にタオルを入れ軽く前傾姿勢にする。: 正解。 背部の腰あたりにタオルやクッションを入れることで骨盤が後傾するのを防ぎ、体幹が安定します。軽い前傾姿勢は嚥下にも適した食事姿勢です。

  4. Aさん自身で左側に重心を傾けるよう指導する。: 不正解。麻痺がある患者に意識的に姿勢をコントロールし続けるよう求めるのは困難であり、食事への集中を妨げます。環境調整によって安定した姿勢を保てるように援助するのが適切です。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 食事時の姿勢調整: 基本は「足底が床につく」「膝・股関節90度」「体幹安定」「テーブルの高さは肘と同じ」です。麻痺がある場合は、クッションやタオルを用いて個別に調整します。

【問105】入院2週、Aさんは自宅への退院を目指し、回復期リハビリテーション病棟へ転棟することになった。Aさんは、座位姿勢での右側への傾きが徐々に改善され、食事や作業療法の時間は車椅子での座位保持が可能になってきた。Aさんは看護師の介助で車椅子に移乗が可能となり、車椅子でトイレに移動できるようになった。看護師はAさんのADLの拡大を目標に、看護計画を修正することにした。
障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)判定基準における評価で、Aさんの生活状況はどれか。

  1. ランクJ

  2. ランクA

  3. ランクB

  4. ランクC

【正解】2

【30秒でわかる!ポイント解説】
「障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)」はJ→A→B→Cの順に自立度が低くなります。Aさんは「介助で車椅子移乗が可能」「車椅子でトイレ移動」という状況です。「屋内での生活は何らかの介助を要し、日中もベッド外での生活が主体」であるため「ランクA」に該当します。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. ランクJ: 不正解。「何らかの障害等を有するが、日常生活はほぼ自立しており、独力で外出する」レベルです。Aさんは介助が必要です。

  2. ランクA: 正解。 「屋内での生活は概ね自立しているが、介助により外出する」レベルです。A2は「外出の頻度が少なく、日中も寝たり起きたりの生活をしている」状態を指すものです。Aさんは車椅子でトイレに移動し、日中もベッド外での生活が主体であることからA2ではなくランクAの中でもA1に近い状態と考えられます。

  3. ランクB: 不正解。「屋内での生活は何らかの介助を要し、日中もベッド上での生活が主体であるが、座位を保つ」レベルです。Aさんは車椅子でトイレまで移動できており、ベッド上での生活が主体ではありません。

  4. ランクC: 不正解。「1日中ベッド上で過ごし、排泄、食事、着替えにおいて介助を要する」最も自立度が低いレベルです。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 認知症高齢者の日常生活自立度: 寝たきり度の判定基準とは別に認知症に特化した自立度の判定基準もあります。こちらはⅠ→Ⅱ→Ⅲ→Ⅳ→Mの順に自立度が低くなります。2つの基準を混同しないように注意が必要です。

お疲れ様です!残りはあと15問。ラストスパートです!
最後の力を振り絞って国家試験の問題をマスターしちゃいましょう!

最終ブロック!【問106~120】

次の文を読み106〜108の問いに答えよ。

Aちゃん(1歳4か月、女児)は、午前9時ころ、ポータブル型のゲーム機用の直径10mmのボタン型電池を誤飲し、午前10時に両親に付き添われ外来を受診した。看護師がAちゃんを観察すると、機嫌は良くバイタルサインも安定していた。Aちゃんに成長や発達の遅れはない。
待合室にはAちゃんの他に3人の患児が診察を待っていた。それぞれは以下のとおりである。
B君(1歳3か月、男児):今朝、カーペットの敷かれたフロアで歩行中に転倒。バイタルサインは正常、顔色良好。母親に抱っこされて遊んでいる。
Cちゃん(3歳、女児):体温39.5℃、呼吸数23/分、脈拍100/分、鼻汁多量、機嫌良好、顔色良好。
D君(9か月、男児):自宅で痙攣したため受診。初めての痙攣で、5分間継続したが、受診時には止まっている。待合室にて3回の嘔吐。体温38.7℃。声かけで開眼するが、すぐにうとうとする。

【問106】このときの看護師のトリアージで診察を受ける優先度が高いのはどれか。

  1. Aちゃん

  2. B君

  3. Cちゃん

  4. D君

【正解】4

【30- 秒でわかる!ポイント解説】
小児救急のトリアージでは、緊急性の高い症状(意識障害、痙攣、呼吸困難など)を見逃さないことが最優先です。D君は、痙攣後の意識レベルの低下(うとうとする)と嘔吐があり、頭蓋内圧亢進など重篤な状態の可能性があるため最も優先度が高いと判断します。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. Aちゃん: 不正解。ボタン電池の誤飲は緊急性が高いですが、現時点でバイタルは安定し機嫌も良いためD君よりは優先度が下がります。ただし、緊急度はD君に次いで高いです。

  2. B君: 不正解。転倒というエピソードはありますが、バイタルは正常で元気に遊んでおり緊急性は低いと判断できます。

  3. Cちゃん: 不正解。高熱と感冒症状はありますが、バイタルは年齢相応で安定しており機嫌・顔色も良好なため緊急性は低いです。

  4. D君: 正解。 「痙攣後」「嘔吐」「傾眠傾向(うとうとする)」という3つのキーワードは髄膜炎や急性脳症などの中枢神経系感染症を疑う危険なサインです。緊急の診察と検査が必要です。

【さらに深掘り!関連知識】

  • ボタン電池誤飲の危険性: ボタン電池は食道などに停滞すると粘膜と接触して放電し、短時間(1〜2時間)で組織を融解させ、重篤な穿孔を引き起こす危険があります。症状がなくても緊急の対応が必要です。Aちゃんの優先度も非常に高いことを念頭に置く必要があります。

【問107】Aちゃんは、腹部エックス線撮影で胃内にボタン型電池が認められ、全身麻酔下での内視鏡でボタン型電池を摘出し、消化管粘膜に大きな問題はなかった。摘出後、小児病棟に1泊入院した。小児病棟に入院1時間後、看護師が訪室するとAちゃんは覚醒しており、図(別冊No.3)のように「ママー、ママー」と言いながら大声で泣き、ベッドから両親の方に手を伸ばしている。両親は戸惑った様子で、ベッドの傍に立っている。
このときの看護師による安全な療養環境の整備で適切なのはどれか。2つ選べ。

画像
(出典:厚生労働省 第114回看護師国家試験 午前問題 問107 別冊No.3)
  1. ぬいぐるみを取り除く。

  2. 毛布をベッド柵にかける。

  3. 柵を半分の高さまで降ろす。

  4. 点滴ルートの長さを延長する。

  5. 点滴スタンドをAちゃんの手が届くところまで近づける。

【正解】1, 4

【30- 秒でわかる!ポイント解説】
1歳4か月の幼児の安全対策では「転落」と「誤飲」のリスクを常に考える必要があります。Aちゃんは興奮して身を乗り出しているためベッド柵を乗り越える足場になるぬいぐるみは危険です。また、点滴ルートが短いと体の動きが制限され、ルートの自己抜去や点滴スタンドの転倒につながるためルートを延長して遊びの範囲(セーフティゾーン)を確保することが重要です。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. ぬいぐるみを取り除く。: 正解。 興奮したAちゃんが、ぬいぐるみを踏み台にしてベッド柵を乗り越えようとする「転落」のリスクがあります。安全確保のため一時的に取り除くのが適切です。

  2. 毛布をベッド柵にかける。: 不正解。ベッド柵に毛布などをかけると子どもの視界が遮られ、不安が増強する可能性があります。また、それを足場にしたり、首が引っかかったりするリスクもあります。

  3. 柵を半分の高さまで降ろす。: 不正解。Aちゃんは身を乗り出しており、転落のリスクが非常に高い状況です。ベッド柵は最も高い位置まで上げておく必要があります。

  4. 点滴ルートの長さを延長する。: 正解。 ルートが短いとAちゃんが動いた際にルートが引っ張られ、自己抜去や点滴スタンドの転倒、ルート閉塞のリスクが高まります。延長チューブなどでルート長を確保し、安全な行動範囲を作ることが適切です。

  5. 点滴スタンドをAちゃんの手が届くところまで近づける。: 不正解。点滴スタンドを倒したり、輸液ポンプを操作したりする危険があるため手の届かない位置に置くのが原則です。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 分離不安への対応: Aちゃんの行動は、入院や処置による不安からくる「分離不安」の現れです。安全を確保した上で両親が抱っこしたり、そばに付き添ったりできるよう環境を整え、安心感を与える関わりが重要です。

【問108】翌日、Aちゃんは退院することになった。看護師は、Aちゃんの誤飲予防のための教育的支援を両親に行うことにした。
両親に伝える内容で最も適切なのはどれか。

  1. Aちゃんから目を離さないこと

  2. Aちゃんにやってはいけないことを教えること

  3. 家の中でのAちゃんの行動範囲を柵で区切ること

  4. 大きさが4cmよりも小さいものはAちゃんの手が届かないところに置くこと

【正解】4

【30秒でわかる!ポイント解説】
子どもの事故予防の基本は「子どもの発達段階を理解し、危険を予測して環境を整備すること」です。幼児は何でも口に入れてしまう特性があるため「小さいものは子どもの手の届かない場所に置く」という具体的な環境整備の方法を伝えることが最も効果的で実践的な指導です。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. Aちゃんから目を離さないこと: 不正解。「目を離さない」ことは理想ですが、24時間365日実行するのは現実的に不可能です。保護者に過度なプレッシャーと罪悪感を与える不適切な指導です。

  2. Aちゃんにやってはいけないことを教えること: 不正解。1歳4か月の幼児に言葉で危険性を理解させ、行動を抑制させることは困難です。

  3. 家の中でのAちゃんの行動範囲を柵で区切ること: 不正解。行動範囲を制限することは安全対策の一つですが、家全体から危険物を除去する方がより根本的な対策です。

  4. 大きさが4cmよりも小さいものはAちゃんの手が届かないところに置くこと: 正解。 トイレットペーパーの芯(直径約4cm)を通る大きさのものは、子どもの喉を通過し窒息する可能性があるという具体的な目安があります。この基準を伝え、子どもの手の届く範囲(高さ1m程度)に小さなものを置かないよう具体的な環境整備を指導することが最も適切です。

【さらに深掘り!関連知識】

  • チャイルドマウス: 子どもの口の大きさを再現した誤飲チェッカー。直径39mm、長さ51mmの円筒で、これにすっぽり収まるものは誤飲のリスクが高いとされています。

次の文を読み109〜111の問いに答えよ。

Aさん(41歳、初妊婦、会社員)は夫(42歳、会社員)と2人で暮らしている。身長は158cm、非妊時体重55kgである。Aさんは妊娠16週3日に妊婦健康診査を受診し順調な経過と診断された。妊婦健康診査後「夫から、高齢妊娠だから安静にするよう言われ、夫が家事をしてくれています。妊娠前はバスケットボールを週3回、毎日夕方に夫とウォーキングをしていました。今は仕事に行く以外は、家でなるべく動かないようにしています」とAさんが看護師に話した。

【問109】Aさんへの活動に関する助言で適切なのはどれか。

  1. 「仕事は辞めましょう」

  2. 「ウォーキングを再開しましょう」

  3. 「週1回バスケットボールをやりましょう」

  4. 「ご家族の言うように安静にしていましょう」

【正解】2

【30秒でわかる!ポイント解説】
妊娠経過が順調な場合、過度な安静はむしろ体重増加や体力低下、血栓症のリスクを高めます。Aさんはもともと運動習慣があったため転倒や接触のリスクが低いウォーキングなどの適度な運動を再開するよう促すのが、心身の健康維持のために最も適切です。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 「仕事は辞めましょう」: 不正解。順調な経過であり、仕事を辞める医学的な理由はありません。社会的な役割を奪う不適切な助言です。

  2. 「ウォーキングを再開しましょう」: 正解。 ウォーキングは、妊婦にとって最も安全で推奨される有酸素運動の一つです。体重コントロール、体力維持、ストレス解消、血行促進など多くのメリットがあります。

  3. 「週1回バスケットボールをやりましょう」: 不正解。バスケットボールは、他者との接触や転倒、急な方向転換による腹部への衝撃のリスクが高く妊娠中の運動としては不適切です。

  4. 「ご家族の言うように安静にしていましょう」: 不正解。夫の心配する気持ちは受け止めつつも医学的に見て過度な安静は不要であり、むしろ適度な運動が必要であることを専門家として説明する必要があります。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 妊婦の運動の目安: 「ややきつい」と感じない程度で1回30分〜1時間、週に2〜4回程度が推奨されます。運動中はお腹の張りや出血に注意し、水分補給を心がけるよう指導します。

【問110】Aさんは妊娠24週0日に妊婦健康診査を受けた。体重60kg(妊娠20週の体重は58kg)。血圧138/88mmHg、Hb 10.1g/dL、Ht 31%、尿蛋白(−)、尿糖(±)であった。Aさんは「足が重い気がします」と話すが、脛骨上の圧痕は認めなかった。
このときのアセスメントで適切なのはどれか。

  1. 体重増加が過剰である。

  2. 妊娠性貧血である。

  3. 高血圧である。

  4. 浮腫がある。

【正解】2

【30秒でわかる!ポイント解説】
妊娠中は、循環血液量の増加に伴い血液が薄まる(希釈性貧血)ため貧血になりやすい状態です。妊婦の貧血の診断基準は「Hb 11.0g/dL未満」または「Ht 33%未満」であり、AさんのHb 10.1g/dL、Ht 31%は、この基準を満たすため「妊娠性貧血」とアセスメントします。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 体重増加が過剰である。: 不正解。Aさんの非妊時BMIは22.0(普通体型)。妊娠中期の推奨体重増加は週に0.3〜0.5kgです。4週間で2kgの増加は週あたり0.5kgであり、推奨範囲の上限ですが「過剰」とまでは言えません。

  2. 妊娠性貧血である。: 正解。 Hb 10.1g/dLは、妊娠中期(〜27週)の基準値である11.0g/dL未満を満たしており妊娠性貧血と判断します。

  3. 高血圧である。: 不正解。妊娠高血圧症候群の定義は「収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg以上」です。138/88mmHgは高値傾向ですが、基準には達していません。

  4. 浮腫がある。: 不正解。「脛骨上の圧痕は認めなかった」とあり、病的な浮腫(圧痕性浮腫)ではないと判断できます。「足が重い」という自覚症状は、妊娠に伴う生理的な変化の範囲内と考えられます。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 妊娠性貧血のケア: 鉄欠乏性貧血がほとんどであるため食事指導(赤身の肉、レバー、ほうれん草など鉄分豊富な食品の摂取)や医師の指示に基づく鉄剤の内服管理が中心となります。

【問111】Aさんは夫に付き添われ、妊娠35週4日に妊婦健康診査を受けた。妊婦健康診査では、体重65kg、血圧126/76mmHg。尿蛋白(−)、尿糖(−)。浮腫(±)。子宮底長30cm、腹囲88cmで異常を認めなかった。その後、Aさんは看護師に「夕方になると足がだるくなり、膝の裏を見たら、血管が膨らんで、青く浮き出ていました」と言う。
Aさんへの指導で適切なのはどれか。

  1. 「体重を減らしましょう」

  2. 「腹帯を強く巻きましょう」

  3. 「できるだけ立っていましょう」

  4. 「弾性ストッキングを着用しましょう」

【正解】4

【30秒でわかる!ポイント解説】
妊娠後期に増大した子宮が下大静脈を圧迫することで下肢の静脈還流が悪くなり「下肢静脈瘤」ができやすくなります。この症状の緩和と予防には、足を外側から圧迫して静脈の血流を助ける「弾性ストッキング」の着用が最も効果的です。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 「体重を減らしましょう」: 不正解。妊娠35週の妊婦に減量を指導するのは不適切です。適切な体重管理は必要ですが、急激な減量は胎児の発育に悪影響を及ぼします。

  2. 「腹帯を強く巻きましょう」: 不正解。腹帯を強く巻くとかえって腹部の血行を阻害する可能性があります。

  3. 「できるだけ立っていましょう」: 不正解。長時間の立位は重力によって下肢に血液がうっ滞し、静脈瘤を悪化させます。

  4. 「弾性ストッキングを着用しましょう」: 正解。 弾性ストッキングは、下肢の静脈を圧迫して血液のうっ滞を防ぎ、だるさやむくみ、静脈瘤の悪化を予防・改善する効果があります。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 下肢静脈瘤のセルフケア: 弾性ストッキングの着用に加え、長時間の立位・座位を避ける、就寝時や休息時に足を高くして休む(下肢挙上)、足首の運動をこまめに行う、などのセルフケアも有効です。

次の文を読み112〜114の問いに答えよ。

Aさん(36歳、経産婦)は、夫(35歳)、男児(3歳)と3人で暮らしている。妊娠、分娩経過は順調で、妊娠39週5日で3,200gの女児を経腟分娩で出産した。1分後のApgar〈アプガー〉スコア9点、5分後のApgar〈アプガー〉スコア10点であった。
産褥1日、Aさんの子宮底は臍下2横指、硬度良好、悪露は赤色であった。「1人目の出産後よりもお腹が痛くて眠れませんでした」と看護師に話す。

【問112】このときのAさんへの説明で適切なのはどれか。2つ選べ。

  1. 「痛み止めは使用できません」

  2. 「授乳をすると痛みが和らぎます」

  3. 「経産婦のほうが痛みを強く感じます」

  4. 「産後5日くらいまで痛みは続きます」

  5. 「子宮が元の大きさに戻るための痛みです」

【正解】3, 5

【30秒でわかる!ポイント解説】
産後に子宮が収縮して元の大きさに戻る過程で生じる痛みを「後陣痛」と呼びます。この痛みは子宮の回復に必要な生理的な痛みであることを説明し、不安を和らげることが重要です。また、後陣痛は子宮筋の緊張が保たれている経産婦の方が初産婦よりも強く感じられるのが一般的です。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 「痛み止めは使用できません」: 不正解。痛みが強く日常生活に支障をきたす場合は、授乳に影響の少ない鎮痛薬を使用することができます。

  2. 「授乳をすると痛みが和らぎます」: 不正解。授乳による吸啜刺激は、子宮収縮ホルモンであるオキシトシンの分泌を促すため後陣痛はむしろ「強く」なります。

  3. 「経産婦のほうが痛みを強く感じます」: 正解。 経産婦は初産婦に比べて子宮筋の収縮と弛緩を繰り返すため後陣痛をより強く感じやすい傾向があります。Aさんの体験と一致しており、安心感を与える説明です。

  4. 「産後5日くらいまで痛みは続きます」: 不正解。後陣痛のピークは産褥2〜3日で、その後は徐々に軽快していきます。5日も続くことは稀です。

  5. 「子宮が元の大きさに戻るための痛みです」: 正解。 後陣痛が弛緩出血を防ぎ、子宮が順調に回復するために必要な生理的な痛みであることを説明することでAさんの痛みへの理解を促し、不安を軽減することができます。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 後陣痛のケア: 痛みが強い場合は、鎮痛薬の使用のほか、腹部を温めたり、うつ伏せの姿勢をとったりすることで痛みが緩和されることがあります。

【問113】産褥3日、乳房は緊満、乳管開通は左右とも5、6本、射乳がある。1日8回授乳をしている。児の体重は3,080gで前日よりも20g減少している。「母乳で育てたいと思っていたけど、乳房が張って授乳がうまくできないです」と話す。
このときのAさんへの説明で適切なのはどれか。

  1. 「水分を多めに摂りましょう」

  2. 「時間を決めて授乳をしましょう」

  3. 「乳房の張りは2週間程度続きます」

  4. 「授乳の前に乳輪部のマッサージをしましょう」

【正解】4

【30秒でわかる!ポイント解説】
産褥3日頃は乳汁分泌が本格的になり、生理的乳房緊満が起こりやすい時期です。乳房がパンパンに張ると乳輪部も硬くなり、赤ちゃんが乳首をうまく口に含めなくなります(ラッチオン不良)。授乳前に乳輪部をマッサージして柔らかくすることでラッチオンを助け、スムーズな授乳につながります。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 「水分を多めに摂りましょう」: 不正解。乳房緊満が強い時期に過度な水分摂取を促すとさらに張りが強くなり、苦痛が増す可能性があります。

  2. 「時間を決めて授乳をしましょう」: 不正解。この時期は時間を決めるのではなく、赤ちゃんが欲しがるたびに授乳する「自律授乳(頻回授乳)」が基本です。

  3. 「乳房の張りは2週間程度続きます」: 不正解。生理的乳房緊満のピークは産褥3〜5日頃で、授乳が軌道に乗れば数日で落ち着きます。2週間も続くのは異常です。

  4. 「授乳の前に乳輪部のマッサージをしましょう」: 正解。 乳輪部が硬いと赤ちゃんは浅吸いになりうまく母乳を飲めません。授乳前に乳輪マッサージや圧迫法(リバースプレッシャーソフトニング)で乳輪を柔らかくすることがラッチオンの改善に非常に有効です。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 生理的体重減少: 新生児は、生後数日間で哺乳量が安定するまで出生体重の5〜10%程度の体重が減少します。これを生理的体重減少と呼びます。Aさんの児の体重減少(3200g→3080gで3.75%)は正常範囲内です。

【問114】日齢4、Aさんの児の体重は3,100g。体温37.1℃、呼吸数48/分、心拍数130/分。経皮ビリルビン10.0mg/dL。排尿9回/日、排便8回/日。
児のアセスメントで正しいのはどれか。

  1. 経皮ビリルビン値は光線療法が必要な値である。

  2. 生理的体重減少の範囲を超えている。

  3. バイタルサインは正常である。

  4. 排尿回数が少ない。

【正解】3

【30秒でわかる!ポイント解説】
新生児のバイタルサインは成人と大きく異なります。呼吸数は40〜50回/分、心拍数は120〜140回/分が正常範囲です。Aさんの児のバイタルサインは、この基準に照らしてすべて正常範囲内と判断できます。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 経皮ビリルビン値は光線療法が必要な値である。: 不正解。新生児黄疸の光線療法の開始基準は日齢や出生体重によって異なりますが、日齢4の正期産児で10.0mg/dLは治療を必要としない生理的黄疸の範囲内です。

  2. 生理的体重減少の範囲を超えている。: 不正解。出生体重3,200gに対し最も減少した体重が3,080g(-120g, -3.75%)であり、生理的体重減少(10%以内)の範囲内です。また、日齢4で体重が増加に転じているのは順調な経過です。

  3. バイタルサインは正常である。: 正解。 体温37.1℃、呼吸数48/分、心拍数130/分はいずれも新生児の正常なバイタルサインの範囲内です。

  4. 排尿回数が少ない。: 不正解。哺乳が確立した新生児の排尿回数は、1日に6〜10回以上が目安です。9回は十分に足りています。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 新生児の正常バイタルサイン(目安):

    • 体温: 36.5〜37.5℃

    • 呼吸数: 40〜50回/分(浅く不規則)

    • 心拍数: 120〜140回/分(睡眠時は100回、啼泣時は180回程度まで変動)
      この基準値は必修です。

次の文を読み115〜117の問いに答えよ。

Aさん(30歳、男性)は統合失調症で内服治療をしていた。最近、部屋にこもり、精神科受診以外は外出しなくなった。ある日、母親がAさんの部屋で大量の薬を見つけ、確認すると「薬は飲みたくない」と話した。受診に付き添った母親は「Aは昼間に寝ていて、夜に窓を開けて、隣の家に向かって悪口を言うな監視するなと大声で怒鳴る」と主治医に話した。Aさんと母親の強い希望があり、精神科病棟に入院することになり、薬物療法が開始された。
入院3日、夜間の巡視のたびにAさんは起きていて「隣の人が自分を監視している」「皆が悪口を言っている」と小さな声で看護師に話した。日中はホールで眠そうにしていることもあり、レクリエーションには「疲れた」と言って参加しない。他の患者と話すことはあるがトラブルはない。歯磨きや身だしなみは、声をかけると行う。

【問115】Aさんのセルフケアの観察項目で優先度が高いのはどれか。

  1. 孤独と付き合いのバランス

  2. 活動と休息のバランス

  3. 安全を保つ能力

  4. 個人衛生

【正解】2

【30秒でわかる!ポイント解説】
Aさんは、幻聴や妄想といった精神症状により夜間眠れておらず(不眠)、その結果として日中に眠気が出て活動に参加できていません。この「活動と休息のバランス」の乱れは、精神症状の悪化とQOLの低下に直結するためセルフケアの中で最も優先してアセスメントし、介入すべき項目です。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 孤独と付き合いのバランス: 不正解。他の患者とトラブルなく話せていることから対人関係は比較的保たれており、優先度は高くありません。

  2. 活動と休息のバランス: 正解。 夜間不眠と日中の傾眠という睡眠・覚醒リズムの乱れが顕著です。これが改善されないと精神症状の安定や日中活動への参加は望めません。

  3. 安全を保つ能力: 不正解。現時点では自傷他害のリスクを示唆する情報はなく、薬を飲んでいないものの過量服薬などの行動には至っていません。

  4. 個人衛生: 不正解。歯磨きや身だしなみは、声かけがあれば行えているためセルフケア能力は保たれており、優先度は低いです。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 統合失調症と睡眠障害: 統合失調症の患者は、幻覚や妄想、不安感などから睡眠障害を合併することが非常に多いです。睡眠の確保は、再燃予防や症状の安定化において極めて重要な看護目標となります。

【問116】入院14日、Aさんは他の患者や看護師と話をする機会が増えた。「B看護師に私の悪口を言うのをやめるように言ってほしい」と訴え、受け持ち看護師が話を聞いていると興奮して声が大きくなることがあった。
受け持ち看護師のAさんへの対応で適切なのはどれか。

  1. 「悪口を言うのはB看護師ですか」

  2. 「悪いことは考えないほうがいいですよ」

  3. 「B看護師はAさんの悪口は言っていません」

  4. 「悪口を言われるとAさんはどんな気持ちになりますか」

【正解】4

【30秒でわかる!ポイント解説】
妄想を訴える患者への対応の原則は「否定も肯定もしない」ことです。事実関係を追求したり否定したりせず、その妄想によって患者が抱いている「つらい気持ち(感情)」に焦点を当てて共感的に関わることが重要です。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 「悪口を言うのはB看護師ですか」: 不正解。妄想の内容(事実関係)を掘り下げて聞くことは妄想を強化してしまう可能性があるため避けます。

  2. 「悪いことは考えないほうがいいですよ」: 不正解。患者の訴えを受け止めず、安易な励ましや一般論で返すことは、患者に「理解してもらえない」という孤独感を与えてしまいます。

  3. 「B看護師はAさんの悪口は言っていません」: 不正解。真正面から否定すると、患者は「看護師もグルだ」「誰も信じてくれない」と感じて興奮し、信頼関係が損なわれるリスクがあります。

  4. 「悪口を言われるとAさんはどんな気持ちになりますか」: 正解。 妄想の内容そのものではなく、それによって生じている「不安」や「怒り」などの感情に焦点を当てて話を聞くことで、患者は自分のつらさを理解してもらえたと感じ、興奮が落ち着きやすくなります。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 妄想への対応: 「そう聞こえるんですね」「それはおつらいですね」と、患者の体験している世界(主観的現実)を尊重しつつ、現実に引き戻すような関わりが求められます。

【問117】入院1か月、Aさんは夜間、眠れるようになり、妄想や幻聴の症状が軽減した。看護師がAさんに薬を自己中断した理由を尋ねたところ「いろいろとストレスが溜まると何もしたくなくなり、薬を飲むことも面倒でした。今回の入院で飲み続けたら嫌な症状もなくなってきました。薬は飲んだほうがよいですね。これからはストレスを感じても乗り越えていけそうです」と話した。
Aさんの考えに当てはまる概念はどれか。

  1. カタルシス

  2. レジリエンス

  3. コンコーダンス

  4. コンプライアンス

【正解】2

【30秒でわかる!ポイント解説】
Aさんは、ストレスで服薬中断した経験を振り返り、今回の入院治療を通じて「薬は飲んだほうがよい」「ストレスを乗り越えていけそう」と、困難な状況から回復し適応しようとする力を見せています。このように、逆境やストレスから立ち直る力のことを「レジリエンス」と呼びます。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. カタルシス: 不正解。心の内に溜まっていた鬱積した感情(不安や怒りなど)を言葉にして吐き出すことで、精神的に浄化されることです。

  2. レジリエンス: 正解。 「精神的回復力」「復元力」とも訳されます。困難やストレスに直面しても、しなやかに適応し、回復していく力のことです。Aさんの発言はまさにこの力が発揮されていることを示しています。

  3. コンコーダンス: 不正解。患者と医療者がパートナーシップを持ち、合意に基づいて治療方針(服薬など)を決定することです。Aさんの発言にはその側面もありますが、「ストレスを乗り越えていけそう」という回復力に焦点を当てた設問の意図としてはレジリエンスがより適切です。

  4. コンプライアンス: 不正解。医療者の指示(処方)通りに患者が服薬すること(服薬遵守)です。患者が受動的であるというニュアンスが含まれるため、近年はアドヒアランスやコンコーダンスという概念が重視されています。

【さらに深掘り!関連知識】

  • ストレングスモデル: 精神障害者の持つ「強み(ストレングス)」に注目し、それを活かしてリカバリー(回復)を目指す支援モデル。レジリエンスはこのストレングスの一部です。

次の文を読み118〜120の問いに答えよ。

Aさん(64歳、男性、外国籍)は、1年前に日本に移住し、娘(36歳、会社員)と娘の夫(42歳、会社員、日本人)と3人家族である。娘の夫は海外に長期出張中で、娘は日本語での簡単な日常会話はできるが、Aさんはほとんど日本語が理解できない。
Aさんは、2か月前から時々腰痛があり、市販薬で様子を見ていたが、徐々に腰痛が強くなり、娘に付き添われて受診した。検査の結果、肺癌と診断され、胸膜と腰椎への転移が見つかり、疼痛コントロールの目的で入院した。

【問118】病状について医師から説明を受けることになったが、娘から「夫はしばらく帰ってこないし、私は難しいことは分からないのでどうしたらいいですか」と質問を受けた。
看護師の助言で適切なのはどれか。

  1. 「ご主人に帰国してもらいましょう」

  2. 「医療通訳の方に同席してもらいましょう」

  3. 「娘さんからAさんにお話しされてはいかがですか」

  4. 「通訳できる知人を探して、同席してもらいましょう」

【正解】2

【30秒でわかる!ポイント解説】
Aさんと娘さんは日本語の理解が不十分なため正確な医療情報を伝えるには専門の通訳が必要です。友人や家族による通訳は、感情的なバイアスや知識不足から誤訳のリスクが高いため避けるべきです。守秘義務があり、正確な医学用語を中立的な立場で通訳できる「医療通訳者」の同席を調整するのが最も適切で倫理的な対応です。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 「ご主人に帰国してもらいましょう」: 不正解。家族のプライベートな事情に過度に介入する不適切な助言です。

  2. 「医療通訳の方に同席してもらいましょう」: 正解。 医療通訳は言語の壁を取り除き、患者が正確な情報に基づいて自己決定(インフォームド・コンセント)を行う権利を守るために不可欠な専門職です。

  3. 「娘さんからAさんにお話しされてはいかがですか」: 不正解。娘さんは「難しいことは分からない」と述べており、不正確な情報伝達や悪い知らせを伝える精神的負担を強いることになり不適切です。

  4. 「通訳できる知人を探して、同席してもらいましょう」: 不正解。知人による通訳は、プライバシーの侵害や専門用語の誤訳、意図的な情報の省略など多くのリスクを伴うため原則として避けるべきです。

【さらに深掘り!関連知識】

  • 外国人患者への看護: 言語の壁だけでなく、文化、宗教、価値観、社会保障制度の違いなどを考慮した文化的に適切なケア(Cultural Competence)を提供することが求められます。

【問119】入院後、医療従事者との日常会話は、電子端末による翻訳を活用している。疼痛に対しては、モルヒネ徐放製剤の内服が開始され、レスキュードーズとして、モルヒネ速放製剤の内服が指示されている。激しい腰痛が1日に数回あるが、レスキュードーズを使いたくないと話し痛みを我慢している。
看護師の対応で優先度が高いのはどれか。

  1. レスキュードーズを無理に使う必要はないことを伝える。

  2. レスキュードーズを使いたくない理由を確認する。

  3. レスキュードーズの使い方を説明する。

  4. 疼痛スケールの記載を勧める。

【正解】2

【30秒でわかる!ポイント解説】
患者が治療(この場合はレスキュー薬の使用)を拒否している場合、看護師がまず行うべきことは、その背景にある「理由」や「思い」を傾聴し、理解することです。「なぜ使いたくないのか」を知ることなしに一方的な説明や説得を試みても患者の不安は解消されず、信頼関係を損なうだけです。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. レスキュードーズを無理に使う必要はないことを伝える。: 不正解。痛みを我慢することはQOLを著しく低下させ、さらなる苦痛を生みます。適切な疼痛管理を諦めるような発言は不適切です。

  2. レスキュードーズを使いたくない理由を確認する。: 正解。 「依存が怖い」「副作用が心配」「もっと痛い時のためにとっておきたい」など患者がレスキュー薬をためらう理由は様々です。その誤解や不安を具体的に把握することが、適切な情報提供とケアへの第一歩です。

  3. レスキュードーズの使い方を説明する。: 不正解。理由を確認する前に使い方を説明しても患者の根本的な不安は解消されず、行動変容にはつながりにくいです。

  4. 疼痛スケールの記載を勧める。: 不正解。痛みの客観的な評価は重要ですが、「使いたくない」という患者の意思表示に対して、まず優先すべきはその背景にある思いの傾聴です。

【さらに深掘り!関連知識】

  • オピオイドに関するよくある誤解:

    • 「依存症になるのでは?」 → 痛みの治療のために適切に使用している限り、精神的依存(渇望)が生じることは極めて稀です。

    • 「命を縮めるのでは?」 → 痛みを緩和することは、むしろQOLを改善し穏やかな時間を過ごすことにつながります。
      これらの誤解を解くための丁寧な説明が求められます。

【問120】入院8日、疼痛がコントロールされてきたAさんは「家に帰りたい」と希望しているが、娘は「仕事もあるし、もう少し病院にいてほしい」と話している。そこで、看護師の提案によりAさんのアドバンス・ケア・プランニングが行われることになった。
Aさんのアドバンス・ケア・プランニングで適切なのはどれか。

  1. 退院調整看護師に退院の手続きを進めてもらう。

  2. Aさんの発言内容の記録は施設外の人には提供しない。

  3. 娘の思いや不安に思っていることの解決が優先される。

  4. Aさんが大切にしていることや生きがいについて話してもらう。

【正解】4

【30秒でわかる!ポイント解説】
アドバンス・ケア・プランニング(ACP、愛称:人生会議)とは、将来の意思決定能力の低下に備え、患者本人が家族や医療者と共に今後の生き方や医療・ケアについて話し合うプロセスです。このプロセスの最も重要な出発点は、治療法の選択ではなく「本人が何を大切にし、どのように生きたいか」という価値観や人生観を共有することです。

【なぜ?がわかる詳細解説】

  1. 退院調整看護師に退院の手続きを進めてもらう。: 不正解。Aさんと娘さんの意向が異なっており、まだ合意形成ができていない段階で一方的に退院手続きを進めるのは不適切です。

  2. Aさんの発言内容の記録は施設外の人には提供しない。: 不正解。ACPで話し合われた内容は、本人の同意のもと在宅療養を支える地域のケアマネジャーや訪問看護師など関係者間で共有されることが重要です。

  3. 娘の思いや不安に思っていることの解決が優先される。: 不正解。ACPの主役はあくまで「患者本人」です。家族の思いも尊重し傾聴しますが、本人の意思決定が最優先されます。

  4. Aさんが大切にしていることや生きがいについて話してもらう。: 正解。 「家に帰りたい」という希望の背景にある「なぜ家に帰りたいのか」「家で何をしたいのか」「何を大切にしているのか」といった本人の価値観や人生の物語を深く理解することがACPの最も重要な第一歩です。

【さらに深掘り!関連知識】

  • ACPと事前指示書(リビングウィル)の違い: 事前指示書は、延命治療の希望の有無など具体的な医療行為についての意思を文書で示すものです。ACPは、そのような意思決定に至るまでの価値観の共有や話し合いの「プロセス」そのものを重視するより広い概念です。

お疲れ様でした!
ついに午前問題120問、完全制覇です!

「なるほど、そういうことか!」ってなった問題もあれば、「うわ、これ苦手…」って感じた問題もあったんじゃないでしょうか?
でも大丈夫!
ここまでやり遂げたあなたの努力は、絶対に裏切りません。

次はいよいよ午後問題です。
この調子で一気に合格を掴み取りにいきましょう!

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