ストーマの閉鎖術は、造設術とはまた違った視点での観察が求められます。
実習では、患者さんの安全と根拠をセットで整理して考えることがポイントです。
最後に、実習でそのまま使える「実習記録の例文」を用意しました。
【本日の質問】
外科実習で、人工肛門閉鎖術を受けられた患者さんを受け持っています。術後6日目の方で、元々は憩室炎の治療のためにS状結腸にストーマを造設したそうです。
ストーマを造設した後の看護については教科書にも詳しく載っているのですが、閉鎖した後の看護について情報が見つけられずに困っています。
【本日の回答】
ストーマの閉鎖術は、造設術とはまた違った視点での観察が求められます。教科書では詳しく扱われていないことも多いので、一緒にポイントを整理していきましょう。
まず、体の中で何が起きているの?
ストーマ閉鎖術というのは、簡単に言うと、お腹の外に出していた腸を再びお腹の中に戻し、切り離されていた腸管同士を縫い合わせる手術です。
この手術の後の最大の関心事は、「つなぎ合わせた腸が、きちんとくっついて機能し始めるか」という点に尽きます。
術後の観察ポイントは、2大合併症を見逃さないこと!
腸を再びつなぎ合わせた後、特に注意すべき合併症は大きく2つあります。この2つを念頭に置いて観察するとアセスメントがしやすくなりますよ。
1.最も注意すべき縫合不全
これはつなぎ合わせた腸の傷口がうまくくっつかず、そこから便がお腹の中に漏れ出してしまう最も危険な合併症です。腹膜炎を引き起こし命に関わることもあります。
【縫合不全を疑うサイン】
発熱、頻脈: 感染や炎症のサインです。
強い腹痛: 今までと違う持続的な激しい痛みには要注意です。
お腹の張りや硬さ: 板のように硬くなる筋性防御は危険なサインです。
ドレーンからの排液の変化: もしお腹にドレーンが入っていれば、その排液が濁ったり便のような色や臭いになったりします。
血液データ: 白血球やCRPといった炎症反応の急激な上昇が見られます。
2.次に注意すべきイレウス
手術で腸を触った影響で腸の動きが一時的に麻痺して麻痺性イレウスが起こることがあります。腸が動かなければ当然便もガスも出ません。
【イレウスを疑うサイン】
お腹の張り(腹部膨満): ガスや便が溜まってお腹が張ってきます。
吐き気・嘔吐: 行き場を失った腸の内容物が逆流してきます。
排ガス・排便の停止:腸が動き始めたかを知るための非常に重要な情報収集です。
腸蠕動音の消失・減弱: 聴診器でお腹の音を聞きます。術後、腸蠕動運動が回復してくるかを確認します。
正常な回復過程を知っておこう
合併症だけでなく、順調に回復しているサインを捉えることも大切です。
腸蠕動音の回復 → 排ガスの確認 → 排便の確認 という流れで、腸が動き出す様子を観察します。
術後は一時的に下痢になることも多いです。便の性状が水様便から少しずつ形のある便に変わっていく過程も重要な情報です。
手術創が赤く腫れたり、熱を持ったりしていないか創部感染の兆候も、もちろん毎日観察します。
まとめ
ストーマ閉鎖術後の看護は、「つなぎ合わせた腸は、ちゃんとくっついているか?ちゃんと動き出したか?」という2つの大きな視点を持って観察することがポイントです。あなたが質問で触れてくれたように、ストーマの場所によって便の性状が変わるという知識も術後のアセスメントを考えるのに重要な情報です。
📌 本日の要点まとめ

【実習記録の例文】
1.順調な経過がみられる場合
「術後6日目。腹部膨満はなく、腹痛の増強もみられない。腸蠕動音を聴取し、排ガス・排便も確認できていることから、腸管機能は回復傾向にあると考える。引き続き、腹部所見、排便状況、創部の発赤・腫脹の有無を観察する。」
2.縫合不全を疑う場合
「術後6日目。発熱、腹痛の増強、腹部膨満がみられる。縫合不全や腹腔内感染の可能性を考え、バイタルサイン、腹部所見、ドレーン排液の性状、血液データの推移を重点的に観察し、異常時があれば速やかに報告する。」
3.イレウスを疑う場合
「術後6日目。排ガスがなく、腹部膨満と悪心がみられるため、術後イレウスの可能性を考える。腸蠕動音、腹部膨満の程度、嘔吐の有無、排便状況を継続的に観察し、苦痛の軽減と安全確保に努める。」
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