嚥下・誤嚥の観察では、食事前から食後までの様子を確認し、食べ物の認識、咀嚼、送り込み、むせや咳、声の変化などに問題がないかを確認します。
嚥下・誤嚥に関する観察のポイント
嚥下・誤嚥に関する観察は、食べ物を認識してから飲み込んだ後までの様子を確認します。
主な観察ポイントは以下のとおりです。
・食べ物の認識:食べ物を認識し、食事へ注意を向けられているか。
・スプーンや箸の使用:スプーンや箸などを使い、食べ物を口まで運べているか。
・食事内容:食べ物によって食べにくそうな様子がないか、特定の食べ物を避けていないか。
・一口量:一口量が極端に多くないか。
・口からのこぼれ:食べ物を口の中に留められるか、口からこぼれていないか。
・咀嚼:十分に噛めているか、硬い食べ物を噛めているか。
・口腔内の送り込み:食べ物を長時間口の中にため込んでいないか、飲み込むまでに時間がかかっていないか。
・むせ・咳:食事中や飲み込んだ後に、むせや咳がみられないか。
・声:食事中や飲み込んだ後に、声の変化がみられないか。
むせるタイミングを確認する
むせがみられた場合は、むせた回数だけでなく、何を食べたときか、食事のどの時点で起こったかを確認します。
・特定の食べ物でむせる:汁物など特定の食べ物でむせる場合は、食形態が嚥下機能に合っていない、咽頭に食べ物が残っているなどが考えられます。
・食事開始直後からむせる:食事を始めた直後からむせる場合は、食形態が嚥下機能に合っていない、食事への注意が十分に向いていないなどが考えられます。
・食事の後半にむせる:食事が進んでからむせる場合は、疲労、筋力低下、咽頭残留、胃食道逆流などが考えられます。
・食後に咳・むせがみられる:食後に咳・むせがみられる場合は、咽頭残留、胃食道逆流などが考えられます。

むせがなくても誤嚥することがある
誤嚥しても咳やむせがみられないことがあり、これを不顕性誤嚥といいます。
むせがないことだけで誤嚥していないと判断せず、食後の声、咳、痰、呼吸状態、発熱などの変化に注意しましょう。
嚥下・誤嚥を予防するための支援
食べにくさやむせがみられる場合は、原因を考えながら患者さんの嚥下機能に合った支援を検討します。
・食事の姿勢を整える:安定した座位をとり、患者さんが飲み込みやすい姿勢を保てるようにします。
・食形態を調整する:噛む力や飲み込む力に合わせて、食べ物の硬さ、まとまりやすさ、水分のとろみなど、患者さんに適した食形態を検討します。
・一口量を調整する:一度に多くの量を口に入れないように、すくう量やスプーンの大きさを調整します。
・食事のペースを調整する:飲み込んだことを確認してから次の一口へ進むように伝えます。食事介助の場合は、急がせず患者さんのペースに合わせます。
・疲労に合わせて休憩する:食事の後半にむせや疲労が増える場合は、途中で休憩をとるなど無理のないペースで進めます。
・食後に口腔ケアを行う:口腔内に残った食べ物を除去し、口腔内を清潔に保ちます。

危険な変化がみられたとき
強いむせ、呼吸困難、顔色不良、SpO₂低下、意識状態の変化などがみられた場合は、食事を中止してすぐに報告します。
・食事を中止する:食べ物を追加せず、無理に飲み込ませない。
・応援を呼ぶ:可能な限り患者さんのそばを離れず、声を出して周囲に応援を求める。
・呼吸状態を確認する:呼吸状態、顔色、意識状態などの変化を確認する。
・咳を促す:患者さんが自分で咳をできる場合は、咳をして排出するよう促す。
・水で流し込まない:むせているときに水やお茶を追加して流し込もうとしない。
まとめ
・嚥下・誤嚥の観察では、食べ物の認識、一口量、咀嚼、送り込み、むせ、咳、声などを確認します。
・むせがみられた場合は、何を食べたときか、食事のどの時点で起こったかを確認し、考えられる原因を整理します。
・食形態、一口量、食事のペース、姿勢、疲労などを確認し、患者さんに合った支援につなげます。
・むせがなくても誤嚥している場合があるため、声、咳、痰、呼吸状態などの変化にも注意します。
・強いむせや呼吸困難など危険な変化がみられた場合は、食事を中止してすぐに報告します。
参考文献
食事場面の観察(中止を考えるとき、条件を守る工夫)|日本摂食嚥下リハビリテーション学会
食事中にむせませんか?|国立長寿医療研究センター
摂食嚥下障害|国立長寿医療研究センター
嚥下障害―意外と知らない|日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
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