この記事(病態関連図)の活用方法
この「一目でわかる!病態関連図」シリーズは、複雑な疾患のメカニズムをストーリーのように直感的に理解できるよう設計されています。実習前の知識の整理やアセスメントの根拠固めにぜひご活用ください。
【次のステップへ】関連する「看護診断」の記事で、さらに学びを深める
病態を理解したら、次はそれを「どう看護に繋げるか」が重要です。
この病態関連図とセットで読むことで学習効果が最大化される「看護診断」の記事もnoteで公開しています。
脳出血
脳出血とは、脳のいずれかの血管が破綻して出血して形成された血腫が脳組織を圧迫する疾患を言う。脳出血は出血部位や血腫の大きさによって症状や経過が大きく異なる。
視床
視床は、大脳皮質の下に位置し、左右の大脳半球に1つずつ存在する卵形の神経構造であり中枢神経系の一部である。主に脊髄や脳幹などから伝わってくる多様な感覚情報を大脳皮質に中継する中枢地点であり、嗅覚を除く視覚・聴覚・体性感覚(触覚・痛覚・温度覚・位置覚)などを統合して適切な大脳皮質の領域へ伝達する。また、小脳や基底核と連携して運動系の情報を調節する、意識や覚醒状態を維持する、嗅覚を除く視覚・聴覚・体性感覚などの感覚情報と情動を結びつけるなど様々な役割を果たす。さらに視床下部と連携して自律神経系や内分泌系の調節にも間接的に関与している。
出血の病態関連図の構成要素
【危険因子】
・高血圧
・高齢
・肥満
・喫煙
・多量の飲酒
・脂質異常症
・糖尿病
・血管凝固異常
・抗凝固薬の使用など
【病因】
・高血圧による微小動脈瘤
・脳アミロイドアンギオパチー
・脳動静脈奇形
・もやもや病
・脳腫瘍
・脳動脈瘤
・外傷など
【病態】
・危険因子により血管壁が脆弱化する
・病因により血管内圧が慢性的に増大する
・脳内の血管が破綻し出血する
・出血した血液が血腫を形成し、周囲に浮腫を伴いながら脳組織を圧迫する
・血腫による脳組織の圧迫により神経細胞障害が起こる(一次的障害)
・血液分解産物(ヘモグロビン、鉄、炎症性サイトカインなど)による二次性神経細胞障害(浮腫、炎症反応など)により脳組織が破壊される(二次的障害)
・視床の組織が破壊されて後遺障害が生じる
【後遺症に関連した看護計画】
・運動麻痺(部位:出血部位と対側の片麻痺、顔面神経麻痺、視床手(振戦、性質:痙性麻痺)
#運動麻痺による身体可動性障害
#運動麻痺に伴う活動制限により活動耐性が低下している
#運動麻痺によるセルフケア不足
・感覚障害:視床痛、視床手(異常な位置)
#感覚障害によるセルフケア不足
#感覚障害による【疼痛、痺れ、不快感】がある
#感覚障害による不眠
・視覚障害(半盲、同名半盲、複視)
#視覚障害に伴う活動制限により活動耐性が低下している
#視覚障害によるセルフケア不足
・嚥下障害
#嚥下障害が見られている
#嚥下障害のために十分に食事摂取できないことによる低栄養リスク状態
・排尿障害
#【運動麻痺、記憶障害、地誌的障害、失行、失認】によりすぐにトイレに行けないために尿失禁してしまう
・排便障害(便秘傾向)
#運動麻痺に伴う【活動量低下、腸蠕動運動の低下】による便秘傾向
・高次脳機能障害(記憶障害)
#記憶障害によるセルフケア不足
・高次脳機能障害(注意障害)
#注意障害によるセルフケア不足
・高次脳機能障害(社会的行動の障害)
#社会的行動の障害に伴う活動制限により活動耐性が低下している
#社会的行動の障害により他者との関係性を構築できない
・高次脳機能障害(半側空間無視)
#半側空間無視によるセルフケア不足
・高次脳機能障害(地誌的障害)
・高次脳機能障害(失行)
#失行によるセルフケア不足
・高次脳機能障害(失認)
#失認によるセルフケア不足
・高次脳機能障害(失語症)
#失語症による言語的コミュニケーション障害
・高次脳機能障害(病識の欠如)
#病識の欠如によって治療が継続できない
・平衡感覚障害

