この記事(病態関連図)の活用方法
この「一目でわかる!病態関連図」シリーズは、複雑な疾患のメカニズムをストーリーのように直感的に理解できるよう設計されています。実習前の知識の整理やアセスメントの根拠固めにぜひご活用ください。
【次のステップへ】関連する「看護診断」の記事で、さらに学びを深める
病態を理解したら、次はそれを「どう看護に繋げるか」が重要です。
この病態関連図とセットで読むことで学習効果が最大化される「看護診断」の記事もnoteで公開しています。
悪性リンパ腫
悪性リンパ腫は、血液細胞の一種であるリンパ球が腫瘍化し、リンパ節、脾臓、肝臓などのリンパ系組織または全身の臓器で異常に増殖する非上皮性の悪性腫瘍である。発生部位や進行の速さによりホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に分類される。
悪性リンパ腫の病態関連図の構成要素
【病因】
病因は解明されていないが、以下の要因が関与すると考えられている
・EBウイルス、HTLV-1ウイルス
・ヘリコバクター・ピロリ菌
・慢性炎症、自己免疫疾患
・免疫不全
【病態】
・感染、免疫異常などの複合的な病因によりリンパ球が腫瘍化すると考えられている
・遺伝子異常をきたしてがん化したリンパ球(リンパ腫細胞)が、リンパ節、リンパ組織(脾臓、肝臓など)、全身臓器で無秩序に異常増殖する
・腫大による圧迫やリンパ腫細胞の浸潤により、局所症状(疼痛、胸水や腹水、神経圧迫症状など)が出現する
・リンパ腫細胞や壊死細胞から放出されたサイトカインにより、全身症状(発熱、倦怠感、夜間の発汗、食欲不振、体重減少など)が出現する
・進行して骨髄などの重要臓器の組織が侵されると造血機能障害(貧血、易感染、出血傾向)やがん悪液質(全身の消耗)が生じる
【症状に関連した看護計画】
局所症状
・リンパ節、臓器の腫大(表在リンパ節、扁桃、肝腫大、脾腫など)
・腫大、浸潤に伴う疼痛(圧痛、腹痛、背部痛など)
#リンパ腫細胞の増殖・浸潤に伴う疼痛
・胸水、腹水
#リンパ腫細胞に伴う炎症、リンパ腫細胞の浸潤やリンパ流閉塞による胸水
#リンパ腫細胞に伴う炎症、リンパ腫細胞の浸潤やリンパ流閉塞による腹水
・神経圧迫症状(上大静脈症候群、脊髄圧迫、中枢神経症状)
#リンパ腫細胞による神経圧迫症状(感覚障害、脱力、排尿障害、頭痛)
全身症状
・発熱
#悪性リンパ腫の増殖や壊死した細胞による腫瘍熱
・夜間の発汗
・倦怠感
#全身性の炎症、貧血、低栄養に伴う倦怠感
・食欲不振
#全身性の炎症による食欲不振
・体重減少
#全身性の炎症、消化吸収障害による体重減少

