疼痛は、身体に生じる不快な痛みの感覚です。
痛みの感じ方には個人差があるため、患者さんの訴えをもとに評価します。
痛みの確認
確認する内容は次のとおりです。
・どこが痛むか、ほかの部位への広がりはあるか
・いつ始まり、どのくらい続いているか、時間帯によって変化するか
・どのような痛みか
・NRSなどでどの程度か
・安静時と動作時のどちらで痛むか、どの動作や姿勢で強くなり、何をすると楽になるか
・日常生活動作や睡眠にどのような影響があるか
痛みがある場合は、痛む部位に負担がかからない楽な体位に整え、必要に応じてクッションなどで支えます。
痛みを強める動作を避け、できない動作を援助します。
痛みの評価方法
痛みの強さは施設で採用している尺度を確認し、患者さんが理解しやすく答えやすいものを用いて評価します。
・NRS:0〜10で痛みを表現できる患者さんに用います。0を「痛みなし」、10を「想像できる最も強い痛み」として数字で示してもらいます。
・VAS:線上に印を付けられる患者さんに用います。10cmの直線上で痛みの強さを示してもらいます。
・フェイススケール:小児など、数字で痛みを表現することが難しい患者さんに用います。患者さんに痛みの強さに最も近い顔を選んでもらいます。
同じ患者さんでは、できるだけ同じ尺度と条件で繰り返し評価します。
なお、フェイススケールは、医療者が患者さんの表情を見て点数を決めるものではないので注意しましょう。

自己申告が難しい場合の評価
認知機能の低下、意識障害、失語、挿管などにより痛みを伝えることが難しい場合は以下の内容を確認します。
・顔をしかめる
・うめき声を出す
・痛む場所をかばう
・体を動かさなくなる
・落ち着かない
・ケアを拒む
・活動量、食事、睡眠が変化する
・呼吸数、脈拍数、血圧が上昇している
普段の表情や行動との違いを確認し、必要に応じて家族からも情報を得ます。
鎮痛後の再評価
鎮痛薬の使用や体位調整などを行った後は、効果と副作用を確認します。
・痛みの強さは変化したか
・日常生活動作は行いやすくなったか
・悪心、眠気、ふらつきなどがないか
・呼吸数や意識状態に変化がないか
痛みへの介入後は、できるだけ同じ条件で評価し、変化を記録します。
速やかに報告する変化
・突然の激しい頭痛、胸痛、腹痛が出現した
・呼吸困難、血圧低下、冷汗、意識の変化を伴う
・麻痺、言葉の異常、失神を伴う
・痛みが急速に強くなっている
これらの異常がみられる場合は、速やかに報告しましょう。
具体的な記録の例
右下腹部に持続する刺すような痛みあり。
安静時NRS4/10、歩行時NRS7/10で、咳と体動により増強する。
放散痛はない。
鎮痛薬使用30分後は安静時NRS2/10となり、悪心や眠気などの副作用はなし。
まとめ
・痛みは患者さん本人の訴えをもとに評価します。
・痛みの部位と広がり、性質、強さ、時間経過、増悪・軽減因子を確認します。
・痛みの強さはNRS、VAS、フェイススケールなどで評価します。
・自己申告が難しい場合は、普段との違いを確認します。
・痛みへの介入後は、効果と副作用を確認し、変化を記録します。
・突然の激しい痛みや全身状態の変化を伴う場合は、速やかに報告します。
参考文献
痛みの診断と評価|日本ペインクリニック学会
ペインクリニック治療指針 改訂第6版 総論|日本ペインクリニック学会
痛みの教育コンテンツ|厚生労働省研究班
神経障害性疼痛治療薬の臨床評価に関するガイドライン|厚生労働省
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