酸素解離曲線は、動脈血酸素分圧とヘモグロビンの酸素飽和度の関係を表した曲線です。
酸素分圧が変化したときに、ヘモグロビンの酸素飽和度がどのように変わるかを理解するために使います。
酸素分圧とは、血液中に溶けている酸素の多さを圧力で表したものです。
酸素飽和度とは、ヘモグロビンが酸素と結合している割合を表したものです。
酸素解離曲線はPaO₂とSaO₂の関係を表す
酸素解離曲線では、次の項目を用います。
・横軸:PaO₂(動脈血酸素分圧)
・縦軸:SaO₂(動脈血酸素飽和度)
PaO₂が高くなるほどSaO₂も上昇しますが、一定の割合で変化するわけではありません。
酸素解離曲線には平坦部と急峻部がある
PaO₂が約60mmHgのとき、SaO₂はおおむね90%に相当します。
PaO₂が約60mmHgを超える範囲では、曲線は平坦になります。
この範囲では、PaO₂が変化してもSaO₂は大きく変化しません。
PaO₂が約60mmHgを下回ると曲線の傾きが急になり、わずかなPaO₂の低下でもSaO₂が大きく低下します。

SpO₂はSaO₂の目安として用いる
臨床では、SaO₂の目安としてSpO₂を測定します。
・SaO₂:動脈血中の酸素飽和度
・SpO₂:パルスオキシメータで推定した酸素飽和度
SpO₂はSaO₂の目安になりますが、測定方法が異なるため、完全に同じ値ではありません。
SpO₂は数値だけで判断しない
SpO₂が約90%のとき、PaO₂は目安として約60mmHgに相当します。
この付近よりSpO₂が低下すると、PaO₂も大きく低下している可能性があります。
ただし、目標とするSpO₂は患者さんの疾患や治療方針によって異なります。
SpO₂が目標値を下回った場合や急速に低下した場合は、次の内容を確認しましょう。
・呼吸数と呼吸状態
・呼吸困難の有無
・意識状態
・酸素デバイスの種類、流量、装着状態
・SpO₂の波形とプローブの装着状態
手指の冷感、体動、振戦、末梢循環不良などがあると、正確に測定できないことがあるので注意しましょう。
SpO₂が正常でも酸素運搬量が十分とは限らない
SpO₂は、ヘモグロビンが酸素と結合している割合を表しますが、ヘモグロビンそのものの量は表しません。
そのため、貧血ではSpO₂が正常でも、血液全体で運べる酸素量が低下していることがあります。
SpO₂だけでなく、ヘモグロビン値、呼吸状態、循環状態、意識状態も確認しましょう。
まとめ
・酸素解離曲線は、PaO₂とSaO₂の関係を表すS字状の曲線です。
・PaO₂約60mmHg、SaO₂約90%が平坦部と急峻部の境目の目安です。
・SpO₂はSaO₂の目安ですが、数値だけで患者さんの状態を判断せずに呼吸状態や意識の変化の有無を確認しましょう。
・SpO₂が正常でも、貧血などにより酸素運搬量が低下している場合があります。
参考文献
パルスオキシメータ ハンドブック|日本呼吸器学会
急性呼吸不全・ARDS|日本呼吸器学会
慢性呼吸不全|日本呼吸器学会
呼吸器系8―呼吸生理1|東邦大学医学部
酸素解離曲線|大阪医科薬科大学
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