看護研究のテーマを決めよう!


看護計画の本で損したくない人必見!
看護計画に迷ったら”初月無料”のなんでなんだナーシング×note

なんでなんだナーシングの計画は以下の様な流れになっています。計画を調べる際にご活用ください。


今回は2.看護研究のテーマを決めるについて深堀りします。

 

頭の中にある看護研究のテーマを見える化しよう

あなたの頭の中にある看護研究のテーマは、頭の中だけで考えていても抽象的にしか捉えられません。
文章や図に表すなど、どの様な方法でも良いので目に見える形で表現してみましょう。
とにかく見える化する事が大事です!見える化してあなたの考えを具体的にしましょう!
見える化する際には、次の4つを踏まえて進めていくのが良いです。

1.研究テーマの原因、誘因、関連要因と経過を明確にする

2.研究テーマに含まれるキーワードを明確にする

3.研究テーマの目的を明確にする

4.研究テーマの目標を明確にする

 

1.研究テーマの構成要素(原因、誘因、関連要因)と経過を明確にする

手順
-1研究したい現象を原因、誘因、関連要因に分けて書き出します。
-2それらの因子の相互関係を検討します。
-3研究したい現象がどのような経過を辿ってきたのかを書き出します。

あなたの頭の中にある看護研究のテーマを可能な限り具体的にして他の人に伝わるようにします。
手順1-3を行い内容を整理する事で、研究したい現象がどの様になっているか見えてくるはずです。
実は研究したい現象が複数の疑問から成り立っている事に気付いたり、客観的に振り返る事で思い込みや決め付けなどに気付いたりします。
それらがわかる事によって、研究テーマをどこに絞るべきかヒントが見えてきます。

 

2.研究テーマに含まれるキーワードを明確にする
あなたの頭の中にある看護研究のテーマをキーワードで表現し、それらのキーワードをどの様に定義付けて使用するのか決めましょう。

例えば、看護研究のテーマを探そう!で挙げた「介護が必要となった患者さんが在宅生活に戻る際の心理プロセスはどの様なものか?」という研究テーマの場合

・介護が必要となった患者とはどのような状態の患者なのか?
・在宅生活に戻る際とはいつのタイミングなのか?

などを定義付ける必要があります。

 

3.研究テーマの目的を明確にする
1と2を踏まえて研究の目的を検討します。
今回、行おうとしている研究が「看護にどの様に役に立つか」、「何のための研究か」を明確にする事で、看護研究として取り組む価値があるかを検討することができます。

 

4.研究テーマの目標を明確にする
3の研究テーマの目的を達成する為に、今回の研究ではどこまで明らかにするのか具体的なゴール地点を出します。
ゴール地点が決まる事で何をどこまですれば良いのかがよりはっきりします。

(追記:看護研究テーマの見える化に必要な内容を「看護研究のテーマを決めよう!ー補足ー」で補足しました。ぜひご覧ください。)

看護研究のテーマに関連する研究を文献検索・検討しよう

看護研究のテーマを見える化した次に行う事は、その看護研究のテーマを過去の知見を踏まえながらさらに絞り込み吟味する事です。
その為に看護研究のテーマに合った文献を検索し検討します。
文献検索・検討を行う事で、「過去にどの様な研究がされ、何が明らかになっているのかを知る」、「自分の研究テーマの絞り込みや研究の方法について検討する」事が出来ます。 また、調べた文献から自分の研究の結果について述べる時にも文献との比較検討が出来ます。
この様に、文献は研究のテーマを決める時だけではなく、研究計画を作成する、研究の結果について考察するなど全ての工程において重要となります。

 

<どうして文献検索・検討が必要なの?>
文献検索・検討が必要な理由をより具体的にしていきます。

1.研究テーマの重複を避けられる、看護研究のテーマを絞り込む事が出来る

2.用語の明確化が出来る

3.研究方法を検討出来る

4.結果を述べる為に使用できる

 

1.研究テーマの重複を避けられる、看護研究のテーマを絞り込む事が出来る
普段働いている時に「これってどういう事なんだろう?」と抱いていた問題意識や疑問はすでに誰かが明らかにしている事かもしれません。
すでに明らかになっている事を研究しても、結果はほとんど同じになり新しい発見はないのではないかと思います。
また、文献検索・検討を行う事で「すでに明らかにされている事」と「まだ明らかにされていない、または課題がある事」を知る事が出来ます。
これらを知る事で「重複を避ける」、「自分の行う研究がどの領域のどのポジションに位置するか知る事」が出来ます。

 

2.用語の明確化が出来る
看護研究をやる意味と全体像を確認しましょう!にある様に、看護研究とは「疑問や未知の看護現象を明らかにするために科学的方法を用いた組織的探究」となります。
「科学的方法を用いた」を満たす為に、使用する用語は学術的にどの様な意味を持つかを明確にする必要があります。
当然ながら、過去の文献に使われた用語は学術的にどの様な意味を持つか明確にされているはずです。
似たテーマの文献には知りたい用語の定義が載っている可能性が高いので、文献検索・検討を行う中で用語の明確化が出来ます。

 

3.研究方法を検討出来る
研究にはその研究テーマに見合った研究方法が求められます。
使用する尺度や測定方法、分析方法、統計などを適切に選択し、研究を円滑に行う為には、過去の研究がどの様な方法で行っているのかを知る事が大切です。
文献を読む事で、研究方法についてより詳細に知る事が出来ます。

 

4.結果を述べる為に使用できる
研究が進み結果が見えてくると、その結果について考察する事になります。
考察はこれまでの研究で明らかになった結果や述べられている考察の内容と比較して行われる事が多いので、この段階から文献を読み込んでおく必要があります。

 

<文献には一次文献と二次文献があります>
文献検討をする際には一次文献を用いますが、効率よく情報収集する為には二次文献を使いこなすことがポイントとなります。

一次文献

原書の内容を記述した文献

例:書籍(単行本や教科書),論文,雑誌,新聞など

二次文献

一次文献を検索するための資料

例:文献目録,索引誌,抄録誌,データベースなど

 

<文献検索の仕方>
近年では文献をインターネットで検索する事が多くなっています。
以下は文献検索に便利なウェブサイトです。

医学中央雑誌
医学中央雜誌は国内医学文献を検索する際にもっとも多く用いられるデータベースの1つです。
国内発行の医学・歯学・薬学看護学および関連分野の定期刊行物、約7000誌から収録した約1300万件の論文情報を検索する事が出来ます。

Google Scholar(グーグル、スカラー)
幅広い分野の学術論文がヒットする為、学問領域を超えて包括的に調べることが可能です。
(テキストベース(通常の PDF や HTML などのファイル)の論文であれば全文検索が出来ます。
引用率の高い論文が上位に来るようになっている為、「どの論文から読めばよいか?」の手掛かりとなる事が多い

CİNİİ Articles(サイニィ·アーティクルズ)
全国の主な大学や研究所の図書館にある図書や雑誌の大部分を検索出来ます。
6国内発行の学協会誌、大学研究紀要の他、国立国会図書館の雑誌記事索引データを開覧出来ます。(一部有料)
論文・記事データは約1500万件、本文データは約400万件

J-STAGE(ジェイ·ステージ)
国内学協会の発行誌を相当数まとめて提供。
ただし看護系学会誌は3誌のみ
全文検索と全文閱覧が可能
Google Scholar(グーグル、スカラー)やCİNİİ Articles(サイニィ·アーティクルズ)に掲載されていない論文がヒットすることもある

 

<文献を検索する手順を紹介>(不必要な方は読み飛ばして下さい。)

1.キーワードで検索する

2.芋づる式に文献から文献を検索する

3 検索結果が少なすぎるor多すぎる時の対処法

4.忘れない様にメモしましょう

1.キーワードで検索する
 キーワードを適切に選んで検索しましょう。
調べたいキーワードを入力してから検索対象を原著論文に絞ります。(「絞り込み条件」の「原著論文」をチェックします。)
数百件までに絞り込まれると思いますが、全部は読めないので「収載誌発行年を限定する」「キーワードを増やして」さらに絞り込みを行います。
この様にして30程度まで文献が絞られれば、タイトルや抄録を読んで必要な文献をピックアップすることが可能になると思います。
さらに網羅的に検索をするには違った角度から他の用語で検索してみましょう。

 

2.芋づる式に文献から文献を検索する
自分の看護研究テーマに似ている文献を見つけたら、その文献の末尾に記入されている参考文献のリストを見てみましょう。
そこにはその研究をする上で参考にした文献が一覧となって記載されています。その中からさらに自分の研究課題に関連しそうな文献をピックアップしていくことが有効です。
その場合に注意しなければならない点が2点あります。

注意点1
文献が古いと最新の情報を見逃してしまう可能性がある

注意点2
文献の引用をさらに引用することを孫引きといいます。 孫引きを行うと引用間違いがあった場合は、間違えたまま使ってしまいます。
自分の看護研究に参考にする文献は全体の主旨を把握した上で参考にする必要がある為、必ず元の文献を読みましょう。

 

3.検索結果が少なすぎるor多すぎる時の対処法
検索結果が少なすぎるor多すぎる時の対処法としてシソーラスと検索式を使いましょう
-1.シソーラス

シソーラスとは同義語・類義語をまとめ、語句間の上位・下位概念の関係を定義して体系化した辞書のことです。
統制語(シソーラス用語)とは、その同義語・類義語を代表する言葉です。

<上位概念>
 スポーツ 
↓      ↓
陸上    球技
↓      ↓   ↓
マラソン  野球 サッカー 
<下位概念>

-2.検索式
キーワードを組み合わせる時は「検索式」が重要です。
「〇and△ 」「〇or△」「〇not△」の3つがあります。

 

4.忘れない様にメモしましょう
検索した際は入力したキーワードや得られた結果を忘れない様にメモしましょう。
メモするべき内容は以下を参考にして下さい。

文献タイトル
著者
誌名、年、卷号、ページ
入カキーワード
検索したデータベースと検出された文献数
論文の主旨

 

研究論文をクリティークしよう

<クリティークとは?>
クリティークとは批評することです。
研究論文を正確に読み、その研究の長所と短所を客観的に見極めて批評します。
クリティークする事で見つけた研究論文が自分の看護研究に役立つ論文であるか考えながら読むことが出来ます。
研究論文を読む時には、結果や結論を鵜呑みにするのではなく客観的にプロセスを追って読むことが大切な事となります。

 

<どうして研究論文をクリティークをする必要があるのか?>
過去に何が明らかにされているのか、これから何を明らかにする必要があるのか、あなたの看護研究を行う事にはどの様な意義があるのかなど根拠を持って看護研究を進める事が必要となります。 研究論文を読んで根拠を整理するのがクリティークの目的です。
さらに今までの研究がどのような方法を用いたのかを知ることで、あなたの看護研究を進める方法のヒントになります。

 

<論文内容をクリティークする時の見るポイントまとめ>

タイトル
研究内容をわかりやすく表現しているか。

目的
何を明らかにするのかが明確か。
目的を明らかにする必要性や意義の根拠が示されているか。

方法
研究目的に合った方法か。
対象者の選択の手順、データ収集の方法と項目やデータの分析方法は明確か。
データの信頼性や妥当性を確保する取り組みはあるか。
対象者に対する十分な倫理的配慮はあるか。

結果
結果が研究目的に合っているか。

考察
結果の意味を解釈しているか。
研究目的や結果に基づき筋道を立てて考えられているか。

結論
目的に合い結果から導かれているか。

 

<クリティークの手順>

1.収集した研究論文を「役立ちそうな研究論文」と「役に立ちそうにない研究論文」に分けます。
2.「役に立ちそうな研究論文」を読んで「文献カード」にまとめます。
3.論文を分類して整理します。
4.自分の看護研究の意義と根拠をまとめます。

 

<文献カードを作成する>
 読んだ論文を文献カードにまとめましょう。
自分の看護研究に役立ちそうだなと思った論文の内容を必要な時にすぐに取り出せる様に文献カードにまとめておくと便利です。
文献カードは1つの論文に対して1枚作成するのが良いです。
文献カードの内容は次の通りです。参考にして下さい。

論文タイトル                        
著者
掲載雜誌
目的
方法
対象者
調査方法
分析方法
結果
結論
備考

 

<おまけ:良い研究論文を見極める3つの見方>

1.有用性があるか

2.完全性があるか

3.一貫性があるか

1.有用性があるか
その論文の結果は「あなたの看護研究の疑問を考えていく上で役に立つか?」また「働いている時に役立つか?」という視点です。
 あなたの看護研究や臨床に活用出来るものが有用性の高い論文です。

2.完全性はあるか
その論文は「あなたが理解出来る様に十分な情報があるか?」という視点です。
論文にある情報で、その研究結果を再現出来ればその論文は完全性がある論文です。

3.一貫性があるか
その論文は「最初から最後まで1つの方向を向いて筋道を立てて考えられているか?」という視点です。
論文を読み、最初から最後まで1つの方向を向いていればその論文は一貫性がある論文です。

 

いかがだったでしょうか?
上から順番に行えば、あなたが頭の中でやりたいと思っていた看護研究のテーマがはっきりし、ゴール地点や研究の方法まで見えてきますよ✨✨

次回は「3.看護研究計画を立てる」を具体的に掘り下げていきたいと思います。

Pocket
LINEで送る

【試し読み】-看護実習のすべてがわかる!-なんでなんだの看護過程ガイドブック
【試し読み】-看護実習のすべてがわかる!-なんでなんだの看護過程ガイドブック
看護診断別に看護計画を調べる
看護診断別に看護計画を調べる
看護ケア・技術・知識
看護ケア・技術・知識
看護研究について知りたい
看護研究について知りたい
previous arrow
next arrow

看護研究カテゴリの最新記事