脳・神経系の症状には、頭痛、めまい、運動障害、感覚障害、言語障害、認知機能の変化などがあります。
症状の種類だけでなく、突然始まったか、左右差があるか、時間とともにどう変化したかを確認します。
神経症状は発症時刻と緊急性を先に確認する
脳卒中は、症状が突然現れることが特徴です。
最初に「最後に普段どおりだった時刻」と「症状に気づいた時刻」を確認します。
次の症状が突然現れた場合は、速やかな報告と対応を優先します。
・片側の顔のゆがみ
・片側の腕や脚の脱力、しびれ
・ろれつが回らない、言葉が出ない、話を理解できない
・立てない、歩けない、急にふらつく
・物が二重に見える、片側が見えない
・経験したことのない激しい頭痛
・意識レベルの変化、けいれん
脳卒中を疑う代表的な確認方法がFASTです。
・Face:笑顔を作ったとき、顔の片側が下がらないか
・Arm:両腕を上げたとき、片方が下がらないか
・Speech:普段どおりに話せるか
・Time:発症時刻を確認し、速やかに報告する
症状が数分から数時間で消えても「治った」と判断せずに速やかに報告しましょう。

本人だけでなく家族や目撃者からも情報を集める
失語、意識障害、記憶障害などがあると本人から十分に情報を得られないことがあります。
家族、同居者、発症時に一緒にいた人から次の内容を確認します。
・最後に普段どおりだった時刻
・症状に気づいた時刻
・症状に気づいたときの状況
・症状は急に出たか、徐々に進んだか
・一度改善した後に再び悪化していないか
・普段の理解力や会話の状況
・普段の歩行、食事、排泄、更衣などの状態
・服薬状況、転倒、頭部打撲の有無
本人の訴えと周囲の説明が異なる場合は、どちらかを否定せず、それぞれの情報として記録します。
ここからは、脳・神経系にみられる主な症状ごとに確認するポイントを紹介します。
頭痛
頭痛は、一次性頭痛と二次性頭痛に分けられます。
・一次性頭痛:頭痛そのものが病気である
・二次性頭痛:ほかの病気に伴って起こる頭痛
突然の激しい頭痛や時間とともに悪化する頭痛は、二次性頭痛を考える手がかりになります。
普段から頭痛がある場合は、いつもの頭痛と違うかも確認します。
確認する内容は次のとおりです。
・いつ、どのように始まったか(突然ピークに達したか、徐々に強くなったか)
・痛む場所、広がり方
・頭痛の性状(拍動性、圧迫感、電撃痛など)
・どのくらい続いたか、繰り返したか
・体動、咳、いきみ、姿勢で変化したか
・発熱、嘔吐、首の後ろのこわばり(項部硬直)、麻痺、しびれ、視覚障害、意識変化を伴ったか
・頭部外傷後に出現したか
めまい
「めまい」には複数の感じ方があります。
・回転性めまい:自分や周囲がぐるぐる回る。内耳の病気で多くみられるほか、脳幹や小脳の病変でもみられる
・浮動性めまい:ふわふわする、足元が不安定に感じる。脳幹や小脳の病変を含むさまざまな原因でみられる
確認する内容は次のとおりです。
・いつ、どのように始まり、どのくらい続いたか
・寝返りや頭の向きで誘発されたか、立ち上がったときに起こったか
・耳鳴り、難聴、耳が詰まった感じ(耳閉感)を伴っていたか
・悪心、嘔吐を伴っていたか
・頭痛、ろれつが回らない、物が二重に見える、脱力、しびれ、意識変化を伴っていたか
・座位を保てるか、立位や歩行が可能か
運動障害
運動障害には、次のような違いがあります。
・麻痺、筋力低下:力が入りにくい、または手足を動かせない状態
・動作の遅さ:動き始めや一連の動作に時間がかかる状態
・ふるえ:意思に関係なく、手足などが繰り返し揺れる状態
・運動失調:筋力が保たれていても、動きの方向や大きさを調整できず、狙った場所に手が届かなかったりふらついたりする状態
確認する内容は次のとおりです。
・いつ、どのように始まり、その後は進行しているか、改善しているか、一時的だったか
・片側か両側か、左右差があるか
・力が入らないのか、痛くて動かせないのか
・動作の遅さ、狙った場所へ動かせない状態、ふるえ、自分の意思と関係のない動きがないか
・日常生活動作(ADL)にどのような影響があるか
感覚障害
感覚障害には、次のような違いがあります。
・しびれ:ピリピリ、ジンジンするなど、通常とは異なる感覚がある状態
・感覚の低下、消失:触れた感覚、痛み、温度などを感じにくい、または感じない状態
・痛み:刺す、締めつける、電気が走るなどの痛みを感じる状態
・焼ける感じ:熱く焼けるような痛みや不快感を感じる状態
確認する内容は次のとおりです。
・いつ、どのように始まり、その後は進行しているか、改善しているか、変化がないか
・どこにあるか(顔、腕、脚など)、片側か両側か
・しびれ、感覚の低下・消失、痛み、焼ける感じのどれか
・姿勢や動作で変化するか
言語障害
言語障害には、次のような違いがあります。
・構音障害:言葉の内容は保たれているが、発音に必要な口や舌などをうまく動かせない状態
・失語:言葉を話す、理解するなど、言葉そのものの働きに問題がある状態
確認する内容は次のとおりです。
・いつ、どのように始まったか
・発音が明瞭か、ろれつが回っているか
・言葉が出るか
・言い間違いや意味の合わない言葉がないか
・簡単な指示を理解できるか
・物の名前を答えられるか
・普段から同様の症状があったか
認知機能の変化
認知機能の変化は、現在の会話や行動を観察し、家族や周囲の人から確認した以前の状態と比べます。
確認する内容は次のとおりです。
・日時や場所が分かるか
・会話や説明の内容を理解できるか
・同じことを繰り返し尋ねていないか
・急に落ち着かなくなったり、反応が鈍くなったりしていないか
まとめ
・脳・神経症状では、発症時刻、突然始まったか、左右差があるかを優先して確認します。
・本人から十分に情報を得られない場合は、家族や目撃者から発症時の状況や以前の状態を確認します。
・頭痛、めまい、運動障害、感覚障害、言語障害、認知機能の変化について、症状の様子、部位、経過、随伴症状の有無を確認します。
参考文献
脳卒中|国立循環器病研究センター
頭痛とは/頭痛がおこったら/頭痛の分類|日本頭痛学会
2次性頭痛(危険な頭痛、他の病気に伴う頭痛)|日本頭痛学会
神経内科の主な病気|日本神経学会
めまいとは|日本神経学会
めまいの原因・治療法|日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
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