※基準値について
記事内の値はあくまで一般的な成人の目安です。実際には、施設、検査方法、患者さんの年齢・性別によって異なるため、必ず実習先の基準値を確認してください。
肺がんの検査の目的
肺がんの検査は、主に以下の目的で行われる。
① 肺がんの診断
② 病気の広がりの確認
③ 治療方法の選択
④ 治療による副作用の確認
検査結果を見るときは、まず組織型・病期・現在の治療内容を確認する。
そのうえで、どの検査が何のために行われ、その結果がどうだったのかを整理すると検査の意味を理解しやすい。
血液・生化学検査
肺がんの血液・生化学検査では、主に次の3点を確認する。
① 肺がんや合併症による身体への影響
② 治療前の全身状態や臓器機能
③ 薬物療法による副作用の有無や程度
白血球数〈WBC〉
基準値:3.3~8.6×10³/μL
目的:炎症・感染や薬物療法による骨髄抑制を確認する。
高値:炎症・感染などを考える。
低値:薬物療法による骨髄抑制などを考える。
ヘモグロビン〈Hb〉
基準値:男性13.5~17.0g/dL、女性11.5~15.0g/dL
目的:貧血の有無や酸素運搬能、全身状態、治療の影響を確認する。
低値:貧血を考える。
血小板数〈PLT〉
基準値:150~350×10³/μL
目的:出血傾向や薬物療法による骨髄抑制を確認する。
高値:炎症や悪性腫瘍などに伴う血小板増加を考える。
低値:薬物療法による骨髄抑制やDICなどによる血小板消費を考える。
アルブミン〈Alb〉
基準値:4.1~5.1g/dL
目的:食欲低下や体重減少を伴う患者の栄養状態・全身状態を確認し、治療を行ううえでの身体状態を考える。
低値:低栄養、炎症、肝での合成低下、たんぱく喪失などを考える。
尿素窒素〈UN/BUN〉
基準値:8~20mg/dL
目的:腎機能や脱水の有無を確認し、薬物療法を行う前の全身状態を確認する。
高値:腎機能低下、脱水、たんぱく質の分解亢進などを考える。
クレアチニン〈Cr〉
基準値:男性0.65~1.10mg/dL、女性0.45~0.80mg/dL
目的:腎機能を確認し、白金製剤などの薬物療法を安全に行うための評価につなげる。
高値:腎機能低下などを考える。
ナトリウム〈Na〉
基準値:138~145mmol/L
目的:水分・電解質の状態を確認する。
低値:水分過剰、SIADH、利尿薬やシスプラチンなどによるNa喪失を考える。
※特に小細胞肺がんでは、SIADHに伴う低Na血症に注意する。
カリウム〈K〉
基準値:3.6~4.8mmol/L
目的:腎機能や治療に伴うカリウム値の異常、不整脈などのリスクを確認する。
高値:腎機能低下などを考える。
低値:カリウムの摂取不足、嘔吐・下痢などによる喪失を考える。
カルシウム〈Ca〉
基準値:8.8~10.1mg/dL
目的:骨転移や腫瘍随伴症候群に伴う高Ca血症を確認する。
高値:腫瘍随伴症候群、骨転移、脱水などを考える。
※Albが低値の場合は、補正Caやイオン化Caを含めて確認する。
総ビリルビン〈T-Bil/TB〉
基準値:0.4~1.5mg/dL
目的:肝胆道系の状態や肝転移・薬物療法による肝障害を確認する。
高値:肝転移や薬物療法に伴う肝・胆道系障害などを考える。
AST
基準値:13~30U/L
目的:肝転移や薬物療法に伴う肝細胞障害などを確認する。
高値:肝転移や薬物療法に伴う肝細胞障害などを考える。
ALT
基準値:男性10~42U/L、女性7~25U/L
目的:肝転移や薬物療法に伴う肝細胞障害を確認する。
高値:肝転移や薬物療法に伴う肝細胞障害を考える。
乳酸脱水素酵素〈LD/LDH〉
基準値:120~220U/L
目的:非特異的な指標であるが、腫瘍量や組織障害、肝障害などを含めた全身状態を確認する。
高値:腫瘍に伴う組織障害、肝障害などを考える。
アルカリホスファターゼ〈ALP〉
基準値:38~113U/L(IFCC法)
目的:肝転移や骨転移を含む肝・骨病変の把握を補助する。
高値:肝転移や骨転移などに伴う上昇を考える。
※ALPは測定法によって基準範囲が異なるため、実際の臨床では施設の基準範囲を確認する。
C反応性蛋白〈CRP〉
基準値:0.15mg/dL以下
目的:腫瘍に伴う炎症や閉塞性肺炎などの感染合併を確認する。
高値:腫瘍に伴う炎症や閉塞性肺炎などの感染を考える。
好中球数・絶対好中球数〈ANC〉
目的:薬物療法に伴う好中球減少や感染リスクを確認する。
低値:好中球減少による感染リスクの上昇や薬物療法による骨髄抑制を考える。
※治療継続・延期・減量などの基準は治療内容によって異なる。
完成版はnoteで確認できます
ここでは、肺がんで確認したい検査のうち、代表的な内容を抜粋して掲載しています。
noteの完成版では、血液・生化学検査から画像検査、病理・病期診断、治療選択に関係する検査まで、肺がんで確認したい主な検査をまとめています。
検査値を時系列で記録できる、自動色分け・グラフ付きExcel特典も利用できます。
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