実習で差がつく!肺がんの事前学習

事前学習

肺がんとは

肺がんは、気管支や肺胞の細胞ががん化し、周囲へ広がったり別の臓器へ転移したりする悪性腫瘍である。
発生にはさまざまな要因が関係し、喫煙と受動喫煙は主要な危険因子である。
組織型は、腺がんや扁平上皮がんなどを含む非小細胞肺がんと増殖が速く転移しやすい小細胞肺がんに大きく分けられる。
この区分に加え、病期、がん遺伝子の異常、患者の全身状態などによって治療方針が異なる。

主な病態と症状

気道への影響
空気は気管支を通って肺胞へ届き、肺胞と毛細血管の間で酸素と二酸化炭素が交換される。
気管支に生じた腫瘍が粘膜を刺激すると咳がみられ、気道の分泌物が増えると痰がみられる。また、腫瘍表面から出血した場合は血痰が生じる。

腫瘍が気道を狭めたり塞いだりすると、その先の肺へ空気が届きにくくなり、息苦しさが生じることがある。

咳や痰、息苦しさが続く患者では、会話や食事が中断される、歩行や入浴に時間がかかる、夜間に眠れないなどの負担が生じる。

胸膜・胸壁への広がり
肺の表面は胸膜で覆われている。
肺の末梢にできたがんは早期には症状が乏しいが、胸膜や胸壁へ広がると周囲の神経などが刺激され、深呼吸や咳、体動に伴う胸痛が生じる。

全身への影響
がんに伴う炎症、食欲低下、呼吸困難、疼痛が重なると、食事摂取量の低下、体重減少、筋力低下や倦怠感につながる。
筋力低下や倦怠感が進むと歩行や入浴などの日常生活動作に負担が生じる。

転移
肺がんはリンパ液や血液の流れを介して、リンパ節、脳、骨、肝臓、副腎などへ転移することがある。
脳転移では頭痛、ふらつき、麻痺などがみられ、骨転移では持続する痛みが生活動作を妨げる。

合併症・重症化

腫瘍によって気道が閉塞すると、その先の肺に無気肺や閉塞性肺炎を生じることがある。
無気肺では息苦しさが生じ、閉塞性肺炎では発熱や咳、痰、息苦しさなどがみられる。

がんが胸膜へ広がって胸水がたまり、肺が圧迫されると呼吸困難が増強する。

転移による重症化として、脳転移によるけいれんや意識障害、脊椎転移による脊髄圧迫に伴う麻痺や排泄障害が生じることがあり、速やかな対応を要する。

主な治療と治療の影響

肺がんの治療には、手術、放射線治療、薬物療法があり、組織型、病期、がんの性質、全身状態に応じて単独または組み合わせて行う。

非小細胞肺がんでは、手術が可能な早期例では手術が中心となる一方、病状によって放射線治療や薬物療法を組み合わせる。
小細胞肺がんでは薬物療法が中心となり、限局型では放射線治療を併用することがある。

手術を行う場合は肺の切除によって呼吸機能が低下するほか、創部痛や排痰困難がみられ、肺炎や空気漏れなどの合併症を生じることがある。これらは離床や活動の回復に影響する。

胸部への放射線治療では、治療中に食道の炎症による食事のしにくさが生じる場合がある。
治療直後から数カ月後には、放射線肺臓炎によって咳、発熱、息苦しさが現れることがある。

薬物療法には細胞障害性抗がん薬、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬などがあり、副作用は薬剤によって異なる。
骨髄抑制によって白血球が減少すると、感染しやすくなる。
また、口内炎では食事摂取が妨げられ、下痢では脱水や活動への負担につながることがある。
副作用の程度によっては治療の継続に影響するため、現在の治療内容と症状を結び付けて捉える。

緩和ケア・支持療法は診断時から治療と並行して行う。これらは呼吸困難や疼痛などの身体的苦痛に加えて、心理的・社会的なつらさを和らげる役割をもつ。

実習で押さえるポイント

・呼吸状態:安静時だけでなく動作時の変化を捉え、呼吸症状が生活動作へ及ぼす影響に注目する。
・全身状態:食事摂取量、体重、倦怠感、活動範囲などから、体力低下と生活への影響を捉える。
・重症化:呼吸状態や神経症状などの急な変化から、病状の進行や重症化を捉える。
・治療の影響:受けている治療と治療開始からの経過を確認し、治療の効果や副作用を捉える。また、疾患による症状と治療に伴う副作用を分けて考える。
・心理・社会面:病気と治療の受け止め、不安、家族の支援、仕事や退院後の生活への影響に目を向ける。

参考サイト

肺がんについて|国立がん研究センター がん情報サービス
肺がん 検査|国立がん研究センター がん情報サービス
肺がん 非小細胞肺がん 治療|国立がん研究センター がん情報サービス
肺がん 小細胞肺がん 治療|国立がん研究センター がん情報サービス

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