サッと選んですぐに使える!肺がんのらくらくアセスメント

アセスメント

アセスメントの基本的な考え方

アセスメントを作成する際は、集めた情報を以下の4つのステップで考え、患者の状態を論理的に整理します。

  1. 患者の状態の把握:これまでの経過や現在の状態を普段の状態と照らし合わせ、変化や異常の有無を判断する。

  2. 根拠(機序)の明確化:患者の状態に変化や異常があるとき、なぜその状態が生じているのか根拠(機序)を明確にする。

  3. 問題点の抽出:患者の状態によって生じている「現在の問題(実在型問題)」を考える。

  4. リスクの抽出:患者の状態によって今後生じる可能性がある「先々の問題(リスク型問題)」を考える。

この記事のアセスメントの使い方

この記事では、4ステップのうち「2. 根拠(機序)の明確化」を中心に掲載しています。
患者の症状・経過・検査結果と病態を結びつけて、なぜその状態が生じているのかを整理するために活用してください。

アセスメントを作成する際は、受け持ち患者に実際にみられている症状・状態に合うものを選んでください。
【 】がある部分は、患者の症状・経過・検査結果などに合わせて置き換えて使用してください。

肺がんのアセスメント

■感染リスク状態

抗がん剤により骨髄の造血細胞が障害されると白血球(とくに好中球)が減少し、生体防御能が低下する。さらに、口腔内や消化管の粘膜上皮細胞も障害されると粘膜の防御機能が低下し、病原体が侵入しやすくなる。これらの変化により感染リスクが高い状態になる。

※白血球(とくに好中球)の減少は、抗がん剤投与後1〜2週間頃に最も低下しやすい。

放射線治療により、照射野に含まれる皮膚や粘膜(口腔内や消化管など)が障害されると局所の防御機能が低下し、病原体が侵入しやすくなる。また、照射野に骨髄を多く含む部位が含まれる場合は、骨髄の造血細胞が障害されて白血球(とくに好中球)が減少し、生体防御能が低下することがある。これらの変化により感染リスクが高い状態になる。

※感染リスクは治療の進行に伴って高まりやすく、急性の皮膚・粘膜障害は一般に照射開始後2〜3週頃から目立ちやすい。

■出血傾向(易出血状態)

抗がん剤により骨髄の造血細胞が障害されると血小板が減少し、一次止血が障害される。この【皮下出血、点状出血、紫斑、鼻出血、歯肉出血など】はこれらの機序により生じている。

※抗がん剤投与後1週間頃から血小板が減少し、2〜3週間頃に最も低下しやすくなる。

■貧血

【抗がん剤、放射線治療】により骨髄の造血幹細胞が障害されると汎血球減少を来す。赤血球の産生低下により徐々に赤血球が減少し、貧血が生じる。この貧血症状はこれらの機序により生じている。

※赤血球は寿命が長いため、造血障害が生じても貧血症状はすぐには目立たず、徐々に顕在化しやすい。

■痩せ・るい痩

肺がんにより換気が障害されて、呼吸に対する負荷が増大するためエネルギー消費量が増大する。また、慢性的な炎症反応がたんぱく質の分解の促進や基礎代謝の亢進を引き起こす。さらに、呼吸困難や疲労などの症状により食事摂取量が減少する。これらにより、エネルギー消費量がエネルギーおよびたんぱく質の摂取量を大きく上回ると、体内の脂肪や筋肉などの組織が分解され、体重が著しく減少する。この痩せ・るい痩はこれらの機序により生じている。

肺がんにより慢性的な炎症反応が生じると、脂肪や筋肉などの体組織の分解や基礎代謝の亢進が引き起こされる。また、腫瘍や治療による疼痛や悪心・嘔吐、食欲不振などの症状により食事摂取量が減少することもある。これらにより、体内に取り込まれるエネルギーおよびたんぱく質がエネルギー消費量を大きく下回ると、体内の脂肪や筋肉などの組織が分解され、体重が著しく減少する。この痩せ・るい痩はこれらの機序により生じている。

■食欲不振

肺がんによる持続する呼吸困難により食事摂取が困難となり食欲が減退する。また、慢性的な低酸素状態により消化管への血流が低下し、消化管機能が低下する。さらに、慢性炎症に伴い産生された炎症性サイトカインが消化管機能を抑制するとともに視床下部の摂食中枢に対して抑制的に作用する。この食欲不振はこれらの機序により生じている。

■嚥下障害

抗がん剤により口腔・咽頭・食道の粘膜や唾液腺が障害されると口腔内の乾燥や強い疼痛が生じる。これらにより食塊の形成や移送が困難になる。また、痛みによって嚥下運動が低下し、嚥下反射も遅延する。この【食事中、食後】に見られる【嚥下時痛、嚥下困難、むせ、誤嚥、湿った声(湿性嗄声)、咽頭の違和感、食べ物の残留感、喀痰の増加、食事摂取量の低下、食事時間の延長、食後の疲労】はこれらの機序により生じている。

※口腔粘膜障害は治療内容により差はあるが、高用量化学療法や化学放射線療法では一般に治療開始後7〜10日頃から出現しやすい。

頭頸部などへの放射線治療により、照射野の口腔・咽頭・喉頭・食道の粘膜や唾液腺が障害されると口腔内の乾燥や強い疼痛が生じ、食塊の形成や移送が困難になる。また、咽頭・喉頭の感覚低下により嚥下反射が遅延する。さらに、喉頭挙上不全や咽頭収縮力の低下により誤嚥や咽頭残留が生じやすくなる。この【食事中、食後】に見られる【嚥下時痛、嚥下困難、むせ、誤嚥、湿った声(湿性嗄声)、咽頭の違和感、食べ物の残留感、喀痰の増加、食事摂取量の低下、食事時間の延長、食後の疲労】はこれらの機序により生じている。

※急性の粘膜障害は一般に照射開始後2〜3週頃から目立ちやすく、嚥下関連筋や感覚の障害は治療後も遷延しやすい。

■尿失禁

肺がんによる慢性的な咳嗽や努力呼吸により慢性的に高い腹腔内圧が加わると骨盤底筋群の筋力が低下して尿道を支える機能が弱くなる。また、尿道括約筋や支持組織に負荷がかかり尿道の閉鎖機能が低下する。これらにより尿道の閉鎖機能が不十分となるため、咳、くしゃみ、立ち上がる、運動などで一時的に腹圧が上昇すると失禁する。この腹圧性尿失禁はこれらの機序により生じている。

完成版はnoteで確認できます

ここでは、肺がん患者で考えたいアセスメントのうち、代表的な内容を抜粋して掲載しています。
noteの完成版では、呼吸器症状や治療による影響、疼痛、心理面など、肺がん患者で考えたい主なアセスメントをまとめています。
アセスメント作成に活用できるWord・Excel特典も利用できます。

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