尿路ストーマ(ウロストミー)とは
尿路ストーマは、膀胱や尿道から尿を排出することが困難な場合に尿を体外へ排出するためにつくられた排泄口である。
主な術式には、尿管を腹壁に直接開口する尿管皮膚瘻と尿管を回腸の一部に吻合して回腸を腹壁に開口する回腸導管がある。
尿はストーマから持続的に排出され、自分の意思で調節できないため、尿路用ストーマ装具を装着する。尿の処理、ストーマと周囲皮膚の観察、装具交換、尿路感染や尿流出障害の早期発見を継続して行う必要がある。
※尿路ストーマは、術式や造設目的、術後経過によって必要な管理が異なります。
本記事では、回腸導管と尿管皮膚瘻を中心に必要な項目を幅広く掲載しています。
担当する患者さんの尿路ストーマの種類や状態に合わせて、該当する項目を選択して使用してください。
定義
非効果的健康管理とは、疾患によって医療処置・症状の管理・身体機能の維持などを必要とする患者やその家族が必要な処置やケアを行うことが困難あるいは不十分であり、望む生活ができない状態をいう。
「非効果的健康維持」と「非効果的健康管理」の使い方の違い
「非効果的健康維持」は喫煙、運動不足や過食・偏食などの不健康な生活習慣を変えたいと願っている個人に用いられ、発病を予防するための1次予防の場合に使用する。
「非効果的健康管理」は、すでに疾患があり、治療や生活調整を継続するための知識・技術・支援が必要な患者に使用する。
看護計画
疾患:
既往歴:
治療内容:
目標
尿路ストーマに関する自己管理の必要性を理解できる
尿路ストーマと周囲皮膚を観察し、尿の処理や装具の交換を行える
尿路感染や尿流出障害などのトラブルに気づき、必要な対処や相談ができる
必要な支援を受けながら尿路ストーマのある生活に適応できる
O-P
1.疾患、治療内容、手術内容
2.既往歴、合併症
3.検査データ
-血液検査:WBC、RBC、Hb、Ht、CRP、BUN、Cr、eGFR、Na、K、Clなど
-必要時:尿検査、尿培養、腹部超音波検査、腹部CTなど
4.ADL・IADL
5.認知力、理解力、視力、手指の動かしやすさ
6.尿路ストーマの種類
-回腸導管
-尿管皮膚瘻
-尿管皮膚瘻の場合:片側、両側
7.ストーマ造設日、術後経過日数
8.ストーマの状態
-色、湿潤、形状、高さ、大きさ
-浮腫、出血の有無
9.ストーマ周囲の皮膚の状態
-発赤、びらん、浸軟、掻痒感、疼痛、出血
-尿の付着、漏れの有無
-結晶の付着の有無
10.腹部の形状
-座位、立位、前屈時のしわ、くぼみ、膨らみ
-体重変化による腹壁の変化
11.尿路用ストーマ装具の状況
-面板、パウチの種類
-面板の開口部とストーマの適合
-尿排出口、逆流防止機能の状態
-装具の装着状況、使用期間
-面板の浮き、溶解、剥離
-尿や臭いの漏れ
12.蓄尿袋の使用状況
-レッグバッグ、夜間蓄尿袋の使用
-接続部、チューブの屈曲・ねじれ
-蓄尿袋の位置
-尿の逆流、尿漏れの有無
13.尿管ステント・カテーテルの状態
-留置の有無、種類、抜去予定
-固定、屈曲、閉塞、抜去の有無
-尿流出の状態
14.尿の状態
-尿量、色、透明度、臭気
-血尿、混濁、沈殿物の有無
-尿流出の持続状況
-回腸導管の場合:粘液の量
15.水分出納バランス
-水分摂取量
-尿量、尿量の変化
-体重、体重の変化
-口渇、皮膚・口腔粘膜の乾燥
16.尿路感染を疑う所見
-発熱、悪寒、倦怠感
-腰背部痛、側腹部痛
-尿の混濁、悪臭
-炎症反応の上昇
17.尿流出障害を疑う所見
-尿量の急激な減少、尿の流出停止
-腰背部痛、側腹部痛
-ストーマやチューブからの尿漏れ
-腎機能の悪化、水腎症を疑う所見
18.尿路ストーマに関連する合併症の有無
-早期合併症:出血、壊死、陥没、粘膜皮膚接合部離開、感染、尿漏れなど
-晩期合併症:狭窄、脱出、傍ストーマヘルニア、尿路感染、結石、腎機能障害など
19.セルフマネジメントの状況
-尿路ストーマについての知識、理解
-尿を処理する手技
-装具を剥離し、皮膚を洗浄・乾燥する手技
-ストーマの採寸、面板の切断、装具を貼付する手技
-蓄尿袋の接続・取り外し・管理方法
-皮膚トラブル、尿漏れ、尿流出障害への対処方法
-患者が行っている行動が適切か
20.食事摂取量、食事内容
21.ストーマに対する思い、受け止め方
22.身体像、外出、入浴、運動、仕事、性生活に対する不安
23.生活状況
-1日の過ごし方
-食生活
-喫煙、飲酒の有無
-自宅・地域の環境
-就学、就労状況
-経済状況
24.家族のサポートの有無、状況
25.家族の知識、理解、不安
26.ソーシャルサポート(社会的支援)の活用状況
-情緒的サポート:共感や愛情の提供
-道具的サポート:形のある物やサービスの提供
-情報的サポート:問題の解決に必要なアドバイスや情報の提供
-評価的サポート:肯定的な評価の提供
T-P
1.セルフケアが確立するまで尿路ストーマと周囲皮膚の管理を行う
2.患者の理解力、視力、手指の動かしやすさに合わせて、セルフケアへ段階的に参加できるように支援する
-ストーマと周囲皮膚の観察
-尿の処理
-装具の剥離、皮膚の洗浄・乾燥
-ストーマの採寸、面板の切断、装具の貼付
-蓄尿袋の接続、取り外し
3.尿路ストーマの種類、ストーマと腹部の形状、尿量に合った装具を選択できるように支援する
-面板の開口部をストーマの大きさに合わせる
-しわやくぼみがある場合は、必要に応じて補助用品を使用する
4.ストーマ、周囲皮膚、尿の状態を経時的に確認する
-色、湿潤、浮腫、大きさ、出血を確認する
-発赤、びらん、浸軟、疼痛、掻痒感、尿の付着、漏れを確認する
-尿量、色、透明度、臭気、血尿、混濁を確認する
-回腸導管では粘液の量を確認する
5.尿路用パウチから蓄尿袋へ尿が円滑に流れるように管理する
-蓄尿袋を使用しない場合は尿排出口を確実に閉じ、使用する場合は接続部を確実に接続する
-チューブの屈曲やねじれを防ぐ
-蓄尿袋をストーマより低い位置に保ち、尿の逆流を防ぐ
6.尿量の急激な減少・流出停止、腰背部痛、発熱・悪寒などがある場合は速やかに報告する
7.ストーマの色調変化、壊死、大量出血、急な陥没・脱出などがある場合は直ちに報告する
8.尿漏れやストーマ周囲皮膚障害がある場合は、装具の適合、交換間隔、手技を確認して調整する
9.尿管ステントやカテーテルが留置されている場合は、固定、屈曲、閉塞、抜去を予防し、尿流出の状態を確認する
10.患者の病状、心機能、腎機能に応じて、医師・管理栄養士と連携して水分摂取量や方法を調整する
-脱水を予防し、尿量と尿の性状を確認する
-心不全や腎機能障害などで水分制限が必要な場合は指示量を守れるように支援する
11.患者の理解内容や価値観、意思決定の経過を確認する
12.患者の思いに寄り添い、尿路ストーマや身体像、生活の変化に対する思いを傾聴する
13.患者が外出、入浴、運動、就学・就労などを再開できるように、生活に合わせた方法を検討する
14.患者の生活に合ったチェックリストやパンフレットを作成する
15.家族がケアへ参加する場合は、同じ方法でケアできるように説明・練習する場を設ける
16.退院前に必要時は外出・外泊を行い、装具交換、尿の処理、蓄尿袋の管理、外出時の物品などの問題点と解決策を検討する
17.多職種と連携して退院前カンファレンスを開催する
-患者や家族がニーズや不安を表出できるように支援し、必要時は代弁する
-退院指導の内容を地域の支援者と情報共有する
18.退院後も泌尿器科、ストーマ外来、かかりつけ医へ相談できるように調整する
19.ストーマ用品の購入・受け取り方法を確認し、身体障害者手帳や日常生活用具給付制度などの対象となる場合は利用可能な支援へつなげる
20.災害時に備えて、装具とケア用品を準備できるように支援する
21.ソーシャルサポート(社会的支援)を紹介する
E-P
1.尿路ストーマについて説明する
-回腸導管と尿管皮膚瘻の違い
-尿はストーマから持続的に排出されること
-回腸導管では腸管由来の粘液が尿に混じる場合があること
2.ストーマの観察方法について説明する
-色、湿潤、形状、高さ、大きさ、浮腫、出血を確認する
-暗赤色・黒色などの色調変化、大量出血、急な陥没・脱出がある場合は医療機関へ連絡する
3.尿と尿流出の観察方法について説明する
-尿量、色、透明度、臭気、血尿、混濁を確認する
-尿量の急激な減少・流出停止、腰背部痛、発熱・悪寒がある場合は速やかに医療機関へ連絡する
4.ストーマ周囲皮膚の観察とケアについて説明する
-発赤、びらん、浸軟、掻痒感、疼痛、出血、尿漏れを確認する
-皮膚をこすらずに洗浄し、十分に乾燥させてから装具を貼る
-皮膚障害や尿漏れが続く場合は自己判断で対処を続けず、ストーマ外来へ相談する
5.尿の処理と装具交換について説明する
-パウチ内の尿を適切な時期に排出する
-装具の剥離、皮膚の洗浄・乾燥、ストーマの採寸、面板の切断・貼付方法
-尿排出口を確実に閉じる
-装具の交換間隔は、使用する装具と皮膚状態に応じた指示を守る
6.レッグバッグ・夜間蓄尿袋の管理について説明する
-接続部を確実に接続し、チューブの屈曲やねじれを防ぐ
-蓄尿袋をストーマより低い位置に保ち、尿の逆流を防ぐ
-指導された方法で排液・交換・保管する
7.水分管理について説明する
-病状や医師の指示に応じた水分を摂取する
-尿量減少、濃い尿、口渇、めまいなどがある場合は医療者へ相談する
-水分制限を指示されている場合は自己判断で摂取量を増減しない
8.尿管ステントやカテーテルが留置されている場合の注意点を説明する
-引っ張ったり、折り曲げたりしない
-抜けた場合や尿が流れない場合は自己判断で戻さず、医療機関へ連絡する
9.日常生活について説明する
-装具の状態を確認しながら、入浴、運動、仕事、旅行などを行える
-衣類やベルトでストーマを強く圧迫しない
-外出時は予備の装具、廃棄用袋、清拭用品、着替えなどを携帯する
-性生活に不安がある場合は医療者へ相談できる
10.ストーマ用品の購入・受け取り方法について説明する
-使用している装具の商品名、品番、購入先を記録する
-利用できる公的支援については、市区町村や医療ソーシャルワーカーへ相談する
11.定期的な泌尿器科受診と必要な検査を継続し、必要に応じてストーマ外来を利用することについて説明する
12.ソーシャルサポート(社会的支援)の活用方法について説明する
13.災害時の対応について説明する
-装具とケア用品を余裕をもって備蓄する
-使用している装具の商品名、品番、購入先、医療機関の連絡先を携帯する
-非常用持ち出し袋に装具、蓄尿袋、廃棄用袋、清拭用品、着替えなどを準備する
-尿が流れない、発熱・悪寒、強い腰背部痛などがある場合の受診先を確認する
参考サイト
ストーマについて|公益社団法人 日本オストミー協会
ストーマケアについて|一般社団法人 日本創傷・オストミー・失禁管理学会
ストーマ(人工肛門・人工膀胱)を設けた人のセルフケア|国立がん研究センター中央病院
ストーマ(人工膀胱)について|がん研有明病院 WOC支援室
膀胱がん 治療|国立がん研究センター がん情報サービス
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