定義
非効果的健康管理とは、疾患によって医療処置・症状の管理・身体機能の維持などを必要とする患者やその家族が必要な処置やケアを行うことが困難あるいは不十分であり、望む生活ができない状態をいう。
「非効果的健康維持」と「非効果的健康管理」の使い方の違い
「非効果的健康維持」は喫煙、運動不足や過食・偏食などの不健康な生活習慣を変えたいと願っている個人に用いられ、発病を予防するための1次予防の場合に使用する。
「非効果的健康管理」は、すでに疾患があり、治療や生活調整を継続するための知識・技術・支援が必要な患児や家族に使用する。
看護計画
※本記事の看護計画は、急性期治療を終え、外来、回復期または退院後に先天性心疾患の治療と生活の管理を継続する患児と家族を対象としています。術直後や急性循環不全など、循環動態の安定化を主目的とする場合は、別の看護問題を設定してください。
疾患:
既往歴:
治療内容:
目標
患児の年齢や発達段階に応じて、疾患、治療、生活上の注意点を理解し、家族とともに必要な健康管理を継続できる
症状の変化に気づき、主治医から指示された方法で相談・受診につなげられる
家族、学校、地域の支援を活用しながら、治療と生活を両立できる
O-P
1.疾患、病態、治療経過
-診断名、心臓・血管の構造、現在の循環動態、チアノーゼの有無、目標とされるSpO2
-手術、カテーテル治療、ペースメーカーなどの医療機器の使用歴、遺残病変、合併症、今後予定されている治療
-定期受診、検査、活動量、運動、入浴、食事、服薬などについて主治医から示されている注意点
2.年齢、発達段階、認知力、理解力
-疾患や治療について本人が理解している内容
-年齢に応じた自己管理への参加状況
3.症状の有無と変化
-患児の病態に応じた多呼吸、陥没呼吸、息切れ、チアノーゼ、多汗、哺乳不良、食欲低下、易疲労感、動悸、胸痛、失神、浮腫などの有無
-症状の出現場面、持続時間、休息による変化、家族や本人が気づけているか
-低酸素発作、失神、動悸など、個別に注意が必要な症状の既往と主治医から示されている対応方法の理解
4.バイタルサイン、SpO2、体重、成長・発達の経過
5.食事・栄養・水分状態
-哺乳量、哺乳時間、摂食量、水分摂取量、食事内容、食事中の疲労や発汗の有無
-体重増加、身長、栄養状態、必要時の栄養補助や経管栄養の実施状況
-主治医から示された水分量や水分制限の有無、脱水を避けるための注意点の理解
6.ADL、活動量、運動、遊び、通園・通学状況
-日常生活、運動、遊びで症状や疲労が出現する場面
-活動制限、学校生活管理指導表の作成・活用状況、体育、行事、部活動などについての理解と調整状況
7.服薬状況、服薬管理状況
-処方薬の内容、内服時刻、飲み忘れ、本人・家族による管理方法
-抗凝固薬や抗血小板薬を使用している場合の出血兆候、飲み合わせ、受診前の医療者への相談の理解
8.医療機器・医療処置の管理状況
-ペースメーカー、在宅酸素、経管栄養などを使用している場合の管理方法、異常時の連絡先、学校や地域との情報共有状況
9.感染予防、口腔衛生、予防接種の状況
-手洗い、口腔ケア、歯科受診、感染性心内膜炎のリスクと予防策、歯科処置前の相談方法の理解、主治医から指示された予防接種の実施状況
10.睡眠、休息、排便、排尿の状況
11.疾患や治療に対する患児・家族の受け止め方、不安、ストレスと対処方法
12.セルフマネジメントの内容
-症状、体重、SpO2など主治医から指示された項目の記録状況
-症状出現時、服薬忘れ時、受診・検査前の対応方法の理解
13.生活状況
-1日の過ごし方
-自宅・地域の環境
-通園、通学、学習、友人関係
-家族の就労、きょうだいへの影響、経済状況
14.家族のサポートの有無、養育者の理解・判断力・対応力
15.学校、保育園、幼稚園、放課後等デイサービスなどとの連携状況
16.ソーシャルサポート(社会的支援)の活用状況
-情緒的サポート:共感や愛情の提供
-道具的サポート:形のある物やサービスの提供
-情報的サポート:問題の解決に必要なアドバイスや情報の提供
-評価的サポート:肯定的な評価の提供
17.思春期以降の移行医療に向けた準備状況
-病名、治療歴、定期受診の必要性を本人が説明できるか
-将来の進学、就労、成人診療科への移行に対する本人・家族の考え
T-P
1.患児と家族の思いに寄り添い、不安や生活上の困りごとを表出できるように傾聴する
2.患児の年齢や発達段階に合わせて、疾患名、治療内容、日常生活での注意点を理解できるように支援する
3.患児と家族が、病名、手術・カテーテル治療歴、定期受診の必要性を整理できるように支援する
4.確実に服薬できるように、家庭、通園・通学先での生活に合わせた内服管理方法を検討する
5.患児の病態に応じた症状の変化と主治医から示された相談・受診・救急要請の基準を家族と共有する
6.食事、哺乳、栄養補助、経管栄養が必要な場合は、医師・管理栄養士と連携し、成長と生活に合わせて継続できるように支援する
7.医師の指示を踏まえ、学校生活管理指導表が作成されている場合はその内容に基づき、活動量、運動、遊び、入浴、校外活動を安全に調整できるように支援する
8.感染性心内膜炎の予防に関する説明を含め、感染予防、口腔衛生、定期的な歯科受診を生活に取り入れられるように支援する
9.抗凝固薬・抗血小板薬、医療機器、在宅酸素、経管栄養などを使用している場合は、管理方法と異常時の対応を家族、学校、地域支援者で共有できるように支援する
10.学校、保育園、幼稚園などと連携し、症状出現時の連絡方法、活動制限、服薬、受診予定を共有する
11.家族の負担、きょうだいへの影響、経済面を含めて生活上の課題を整理し、多職種と連携して支援する
12.医療費助成、障害福祉、訪問看護、家族会など、必要な社会資源につなぐ
13.思春期以降は、本人が自分の疾患と治療を理解し、医療者へ質問や相談ができるように支援する
E-P
1.先天性心疾患について、患児の年齢に応じた言葉、パンフレット、図、映像などを用いて以下を説明する
-現在の病状、これまでの治療内容、今後も定期受診や検査が必要な理由
-処方薬の目的、内服時刻、飲み忘れた場合の対応、自己判断で中止・減量しないこと
-息切れ、多呼吸、チアノーゼ、顔色不良、多汗、哺乳や食事の低下、強い疲労、動悸、失神、浮腫など、患児ごとに注意する症状
-症状が出現した場合は、主治医から示された緊急時の連絡方法に従い、必要時は救急要請または医療機関へ連絡すること
-活動、運動、入浴、学校行事は、主治医の指示を踏まえ、学校生活管理指導表が作成されている場合はその内容に従って調整すること
-主治医から水分量や水分制限の指示がある場合は、その目的と具体的な量・タイミングを確認して守ること
-チアノーゼ性心疾患などで脱水を避ける必要がある場合も個別に示された水分管理方法に従うこと
-感染性心内膜炎の予防のため、日常の口腔衛生と定期的な歯科受診を継続し、歯科治療や侵襲的処置の前は、予防的抗菌薬の必要性を含めて循環器主治医・歯科医師に相談すること
-抗凝固薬や抗血小板薬を使用している場合は出血兆候に注意し、検査や治療を受ける前は医療者へ相談すること
-医療機器や在宅療養の医療処置がある場合は、個別に示された管理方法と異常時の対応を守ること
-災害時に備えて、内服薬の予備、薬剤情報、お薬手帳、緊急連絡先、疾患・治療歴をまとめた情報を準備すること
2.家族に、患児の症状変化、服薬、活動、学校生活、受診時の協力方法を説明する
3.学校、保育園、幼稚園などに、主治医から示された生活上の注意点と緊急時の連絡方法を共有する必要性を説明する
4.思春期以降は、本人が病名、治療歴、服薬、受診の必要性を少しずつ理解し、成人診療への移行に備えることを説明する
5.かかりつけ医、地域支援者、家族会、医療費助成などの活用方法を説明する
参考サイト
心音の聴取 佐野内科ハートクリニック
循環器ガイドラインシリーズ 一般社団法人 日本循環器学会
先天性心疾患並びに小児期心疾患の診断検査と薬物療法ガイドライン(2018年改訂版) 一般社団法人 日本循環器学会
公益財団法人 日本学校保健会 発行物にて 「心」と検索
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