なぜ息苦しさとむくみが起こる?心不全の病態生理を看護学生向けに解説

看護実習

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心不全の病態生理を理解すると息苦しさや浮腫、体重増加がなぜ起こるのかを病態から説明できるようになります。

心不全では、心臓が血液を十分に送り出せないことによる低心拍出と血液が心臓へ戻る過程で滞るうっ血が同時にみられることがあります。

この記事では、心不全の病態生理から呼吸苦、浮腫、体重増加につながる流れと看護で確認する理由を整理します。

心不全は心臓の機能低下によって生じる症候群

心不全は、心臓の構造や機能の異常によって、全身が必要とする血液を十分に送り出せない、または心臓へ戻る血液が滞りやすくなった状態です。

心不全は単独の病名ではなく、さまざまな心疾患の結果として症状や所見が現れる臨床症候群です。

高血圧、虚血性心疾患、心臓弁膜症、不整脈、心筋症などが背景となり、心臓のポンプ機能や拡張して血液を受け入れる機能が障害されます。

心機能が低下すると疲労感や末梢冷感などの低心拍出を示す症状と息切れや浮腫などのうっ血を示す症状がみられます。

心拍出量が低下すると身体は血圧を保とうとする

心臓から送り出される血液量が減少すると身体は血圧や重要臓器への血流を保つために代償反応を働かせます。

交感神経が活性化すると心拍数が増加し、末梢血管が収縮します。

この反応は一時的に血圧の維持に役立ちますが、心臓がより強く、より速く働く必要があるため、心筋への負担を増やして心不全を悪化させる要因になります。

腎血流の低下や交感神経の活性化は、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)の活性化につながります。

RAASが活性化するとナトリウムと水分が体内に保持され、循環血液量が増加します。

体液量の増加は血圧を保つ反応でもありますが、心臓へ戻る血液量を増やし、肺うっ血や全身の浮腫を悪化させることがあります。

息苦しさは肺うっ血によって生じる

左心系の機能低下が強くなると肺から左心房へ戻る血液が滞り、肺静脈や肺毛細血管の圧が上昇します。

肺毛細血管の圧が上昇すると血管内の水分が肺の間質や肺胞へ移動し、肺うっ血や肺水腫につながります。

肺胞周囲に水分が貯留すると酸素と二酸化炭素の交換が妨げられ、息切れ、呼吸困難、SpO2の低下などが生じます。

臥位では下肢などに貯留していた血液が心臓へ戻りやすくなり、肺うっ血が増悪するため、横になると息苦しさが強くなることがあります。

呼吸苦を軽減するために上体を起こして呼吸する起坐呼吸や、夜間に呼吸苦で目覚める夜間発作性呼吸困難は、肺うっ血の増悪を考える所見です。

浮腫と体重増加は全身のうっ血と体液貯留から生じる

右心系のうっ血が優位になると全身から心臓へ戻る静脈血が滞り、体静脈の圧が上昇します。

体静脈圧が上昇すると血管内の水分が組織間へ移動し、下腿や足背などに浮腫が生じます。

座位や立位では重力の影響を受けるため、下肢の浮腫が目立ちやすくなります。

RAASの活性化によるナトリウムと水分の貯留も加わると体液量が増加し、浮腫や体重増加が進みます。

体重増加は、目に見える浮腫が明らかになる前に体液貯留の変化として現れることがあるため、経時的な変化を確認することが重要です。

体重測定は心不全の増悪を早く捉えるために行う

心不全では、うっ血や体液貯留が進むと呼吸苦や浮腫が強くなる前から体重が増加することがあります。

毎日の体重を同じ時間帯、同じ条件で測定すると体液量の変化を経時的に把握しやすくなります。

体重だけで判断せず、浮腫、尿量、呼吸状態、食事や水分の摂取量、血圧などと合わせて評価します。

短期間の体重増加や浮腫の増悪、呼吸苦の出現がみられる場合は、心不全の増悪を疑い、速やかに報告・相談につなげます。

観察項目を病態生理と結び付けて考える

呼吸状態

・呼吸数、SpO2、呼吸困難の有無を確認する

・起坐呼吸、夜間の呼吸苦、咳、痰の有無を確認する

・肺うっ血による酸素化低下や呼吸状態の悪化を早期に捉える

循環状態

・血圧、脈拍数、脈のリズムを確認する

・末梢冷感、皮膚湿潤、倦怠感など、低心拍出を疑う所見を確認する

・循環不全や交感神経の活性化による変化を把握する

水分バランス

・体重、尿量、浮腫の部位と程度を確認する

・飲水量、食事摂取量、点滴量、排出量を確認する

・うっ血や体液貯留の進行と治療による変化を評価する

まとめ

心不全では、心機能の低下によって心拍出量が減少し、身体は血圧や臓器への血流を保つために代償反応を働かせます。

代償反応による体液貯留やうっ血が進むと肺うっ血による呼吸苦、全身のうっ血による浮腫や体重増加が生じます。

心機能の低下から代償反応、うっ血、症状、生活への影響までをつなげて考えることで、観察項目と看護の根拠を説明しやすくなります。

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