ちょっと知りたい!看護実習ミニ辞典:改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)

成人

改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)は、認知機能低下の可能性を確認する30点満点のスクリーニング検査です。

評価項目と得点

HDS-Rは、9項目を30点満点で評価します。
口頭で質問や課題を行い、患者さんに回答してもらいます。
筆記や図形模写の課題はありません。

HDS-Rの9項目と点数は以下のとおりです。
1.年齢:患者さんに年齢を答えてもらいます。正答で1点。2年までの誤差は正答として扱います。

2.日時の見当識:今日の年、月、日、曜日を答えてもらいます。それぞれ正答で1点、合計4点です。

3.場所の見当識:現在いる場所を答えてもらいます。自発的に答えられれば2点です。答えられない場合は5秒ほど待ってから「家・病院・施設」の選択肢を示し、正しく選べれば1点です。

4.3単語の即時記銘:3つの言葉を覚えて繰り返してもらいます。「桜・猫・電車」または「梅・犬・自動車」のいずれかを使用し、正答した言葉ごとに1点、合計3点です。

5.計算:100から7を順番に引いてもらいます。「100-7=93」と「93-7=86」をそれぞれ正答で1点、合計2点です。最初の計算が不正解の場合は打ち切ります。

6.数字の逆唱:提示した数字を逆から答えてもらいます。「6-8-2」を「2-8-6」、「3-5-2-9」を「9-2-5-3」と答えられれば、それぞれ1点、合計2点です。3桁の逆唱に失敗した場合は打ち切ります。

7.3単語の遅延再生:4で覚えた3つの言葉を思い出してもらいます。自発的に答えられれば各2点、ヒントを出して正答できれば各1点、合計6点です。

8.5つの物品記銘:時計、鍵、ペン、硬貨など相互に関係のない5つの物品を見せて覚えてもらい、隠したあとに何があったか答えてもらいます。正答した物品ごとに1点、合計5点です。

9.言語流暢性:知っている野菜の名前をできるだけ多く答えてもらいます。5個までは0点、6個で1点、7個で2点、8個で3点、9個で4点、10個で5点です。途中で言葉に詰まり、約10秒待っても答えが出ない場合は打ち切ります。

得点の見方

一般的に20点以下では認知症が疑われますが、得点だけで診断はできません。
総得点だけでなく、どの項目で得点できなかったかも確認します。

・日時・場所の見当識:現在の時間や場所を把握できているかを確認します。
・3単語の即時記銘:新しい情報をその場で覚えられるかを確認します。
・計算・数字の逆唱:注意を保ちながら、頭の中で情報を処理できるかを確認します。
・3単語の遅延再生:少し前に覚えた情報を思い出せるかを確認します。
・5つの物品記銘:見た物を覚え、思い出せるかを確認します。
・言語流暢性:言葉を思い出して、続けて挙げられるかを確認します。

HDS-Rは、視力・聴力、言語、疲労、緊張、意識状態などの影響を受けるため、普段の認知機能や生活機能と合わせて評価します。

実施時の注意

HDS-Rを実施するときは、静かで落ち着ける環境で行います。
得点に影響するため、標準的な質問方法と採点基準に従い、誘導や規定外のヒントは行わないように注意しましょう。

本人へ検査の目的を説明する際は、「いくつか簡単な質問をさせてください。」など、患者さんが構えすぎないように説明します。

検査中は、できなかったことをその場で指摘したり責めたりせず、患者さんの様子に配慮しながら進めます。

まとめ

・HDS-Rは、年齢、見当識、記憶、計算、言語流暢性など9項目から認知機能を30点満点で評価するスクリーニング検査です。
・一般的に20点以下では認知症が疑われますが、得点だけで診断はできません。
・総得点だけでなく、どの項目で得点できなかったかを確認し、普段の認知機能や生活機能と合わせて評価します。
・実施時は、得点に影響しないよう質問方法を守り、患者さんが構えすぎないよう説明しながら配慮して進めます。

参考文献

日本老年医学会「認知機能の評価法と認知症の診断」
日本老年医学会「改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)」

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