転倒は立位や歩行などの途中で倒れること、転落はベッドや車椅子などから落ちることです。
転倒・転落が起こる要因
転倒・転落が起こる要因は、大まかに患者さん側の要因と環境による要因の2つに分かれます。
患者さん側のリスク要因は次のとおりです。
・転倒歴
・筋力、バランス、歩行能力の低下
・麻痺、疼痛、めまい、起立性低血圧
・視覚や聴覚の低下
・認知機能低下、せん妄、不穏
・意識レベルの変化
・排泄の切迫感や夜間の移動
・睡眠薬、向精神薬、降圧薬などによる眠気やふらつき
・点滴、ドレーン、酸素チューブなどによる移動の妨げ
特に転倒歴は、今後の転倒を予測する重要な情報です。
また入院直後、手術後、発熱や脱水、薬剤変更、病状悪化などで転倒・転落リスクは変化しやすいので注意が必要です。
環境側のリスク要因は次のとおりです。
・濡れた床、段差、通路の障害物
・不十分な照明
・患者さんに合わないベッドの高さ
・手の届かない位置にあるナースコール
・患者さんに合わない杖や歩行器、ブレーキがかかっていない車椅子
・滑りやすい履物や裾の長い衣類
患者さんの状態が同じでも、病室や移動経路が変わると転倒・転落リスクも変化するため、注意が必要です。

転倒・転落リスクの評価
転倒・転落リスクは、入院時にその病院や施設で使用している転倒・転落リスク評価ツールを用いて評価することが多いです。
ただし、評価ツールの点数だけで判断せず、実際の動作や生活場面を確認し、どのような支援が必要かを具体的にします。
実際の動作や生活場面で確認する内容は以下のとおりです。
・転倒・転落歴の有無と、時期、場所、状況
・普段の移動方法、起き上がり、立ち上がり、移乗、方向転換、歩行の安定性
・筋力、麻痺、ふらつき、めまい、疼痛
・説明の理解、危険の認識、ナースコールの使用状況
・薬剤開始・変更後の眠気、ふらつき、血圧変化
・排泄パターン、トイレへ急ぐ行動、夜間の離床
・履物、補助具、病室内や移動経路の環境
・実施中の予防策と患者さんの反応
ベッド上で安定していても、立位や移動時に不安定になることがあります。
なお、転倒・転落リスク評価ツールについては、別の記事で紹介します。
転倒・転落は予防が基本
転倒・転落は、予防することが基本です。
転倒・転落を予防するための主な内容は次のとおりです。
・床や動線を整え、ベッドの高さ、ナースコール、照明などを患者さんに合わせる
・立ち上がりや移動時のふらつきを確認し、必要な見守りや介助を行う
・杖、歩行器、車椅子、履物が患者さんに合っているか確認する
・点滴や酸素チューブなどが移動を妨げないよう整える
・眠気やふらつきなど、薬剤による転倒リスクを確認する
・排泄パターンに合わせて、必要なトイレ誘導や介助を行う
・理解度や行動パターンに合わせ、短く分かりやすく説明する
・安全を確保しながら活動を保ち、過度な安静による機能低下を防ぐ
ベッド柵や離床センサーは、設置するだけで転倒・転落を防げるとは限りません。
ベッド柵の乗り越えや過度な行動制限につながる可能性も考え、患者さんごとに必要性を評価します。
転倒・転落が起きた時に確認すること
転倒・転落が起きた場合は、外傷や状態変化がないかを確認します。
転倒・転落が起きたときに確認する内容は以下のとおりです。
・意識状態
・バイタルサイン
・疼痛の部位と程度
・出血、腫脹、変形の有無
・頭部打撲の有無
・転倒・転落した場所や状況
頭部を打った可能性がある場合は、意識状態や瞳孔、麻痺などの変化を継続して確認します。

まとめ
・転倒・転落は、身体機能、認知機能、薬剤、排泄、医療機器・チューブ類、環境など複数のリスク要因が関係して起こります。
・転倒・転落リスクの評価と合わせて、転倒歴や実際の動作・生活場面を確認します。
・転倒・転落の予防では、環境調整、見守りや介助、補助具の使用などを患者さんのリスク要因に合わせて行います。
・転倒・転落が起きた場合は、意識状態や外傷の有無、頭部打撲の可能性などを確認します。
参考文献
転倒・転落|厚生労働省
場面ごとの医療安全情報:移乗・移送/転倒・転落|公益財団法人 日本医療機能評価機構
第9号 入院中に発生した転倒・転落による頭部外傷に係る死亡事例の分析|一般社団法人 日本医療安全調査機構
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