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低血糖を評価する領域
ゴードンの機能的健康パターン:栄養-代謝パターン
ヘンダーソンの14の基本的欲求:適切に飲食する
血糖・低血糖とは
血糖とは、血液中に含まれるブドウ糖(グルコース)のことを言う。
※血液中に含まれる糖のほとんどをブドウ糖(グルコース)が占めます。
血糖値とは、血液中のブドウ糖(グルコース)の濃度のことを言う。
低血糖とは、血糖値が正常範囲以下(一般的には70 mg/dL以下)に低下した状態を言う。
低血糖症状とは、脳の主要なエネルギー源であるブドウ糖が不足することで出現する一連の症状を言う。血糖値が低下し始めると、血糖値を上げようとしてアドレナリンが分泌され、交感神経刺激症状(冷や汗、動悸、手指の震え、空腹感、怒りっぽさなど)が出現する。さらに血糖値が低下して脳へのブドウ糖の供給が不足すると、中枢神経症状(頭痛、めまい、言語障害、意識障害など)が現れる。
低血糖に必須の情報収集項目
低血糖が生じる原因、誘因
血糖値の変動(空腹時・食後・就寝前・夜間など)
低血糖症状の有無と程度(冷や汗、動悸、頻脈、手指の震え、空腹感、不安、落ち着きのなさ、頭痛、めまい、集中力の低下、言語障害、意識レベルの低下など)
低血糖に関する検査データ(血糖値、尿中Cぺプチド、肝機能、腎機能など)
低血糖に対するセルフマネジメント状況
食事量、内容、時間
欠食の有無
間食の有無
活動・運動の有無、時間、強度
生活リズム
睡眠状況
飲酒、喫煙の有無
ストレスの有無
感染の有無
血糖に関する薬やインスリンの有無、種類、時間、投与方法
低血糖に対する治療の有無(食事の調整、薬剤の調整、血糖の補正、生活指導など)
低血糖に対する治療の効果
低血糖に対する患者や家族の反応
低血糖のアセスメント定型文
アセスメントの基本的な流れと書き方
アセスメントの基本的な流れと書き方は次のようになります。
1.患者の状態の判断
【患者の情報】から患者の状態は適切ではない・異常である(正常ではない)。
2.根拠の記載
判断した患者の状態は【判断した根拠や理由】によって生じている。
3.実在型問題の記載
現在、患者の【適切ではない・異常である(正常ではない)状態】により【実在型】の看護問題が起きており、【実在型】の看護問題を挙げる。
現在、【適切ではない・異常である(正常ではない)状態】の随伴症状により【実在型】の看護問題が起きており、【実在型】の看護問題を挙げる。
4.今後の見通し、リスク型問題の記載
今後、患者の【適切ではない・異常である(正常ではない)状態】により
【リスク型】の看護問題が起きる可能性があり、【リスク型】の看護問題を挙げる。
今後、患者の【適切ではない・異常である(正常ではない)状態】の随伴症状により【リスク型】の看護問題が起きる可能性があり、【リスク型】の看護問題を挙げる。
作成の方法
・1~4をつなぎ合わせてアセスメントを作成してください。
・【 】の中には具体的な内容を記入するか、項目の中から選択してください。
・( )は表現の言い換えになります。両方または使いやすい方を選択してください。
1.患者の状態の判断
■患者の状態
Aさんは【いつ】、【低血糖が生じた時の状況を記入】となり、【低血糖が生じてから現在までの経過を記入】。現在は【血糖値、低血糖症状の詳しい状況を記入】である。
検査データは【異常な検査データ、画像などの結果を記入】である。
■介入の有無
低血糖に対しては【治療、ケアなどの対策】が行われている。
低血糖に対しては【治療、ケアなどの対策】が行われているが効果は十分ではない。
低血糖に対しては【治療、ケアなどの対策】が行われており【効果を具体的に記入】。
■患者・家族の思い、認識
Aさん(Aさんの家族)は低血糖について【患者の反応(家族の反応)】と【話している、認識している】。
■適切・不適切の判断
(ゴードンの場合)
以上の情報から、低血糖の出現とそれに伴う弊害が認められる現在の状況は適切な状態とは言えない。
(ヘンダーソンの場合)
以上の情報から、低血糖の出現とそれに伴う弊害が認められる現在の状況は異常な状態である。(正常な状態とは言えない。)
2.根拠の記載
■膵疾患による低血糖
【膵炎、膵がん、ヘモクロマトーシスなど】により、膵臓に炎症や線維化が生じると膵臓ランゲルハンス島α細胞からグルカゴンの分泌が低下する。これによりグルカゴンの作用が低下し、肝臓における糖新生やグリコーゲンの分解が抑制される。その結果、【経口糖尿病治療薬の投与後、インスリン注射後、食欲不振など】による低血糖からの回復が遅れる。この低血糖はこれらの機序により生じている。
※血糖の乱高下が見られる場合は「同時にβ細胞が破壊された場合、インスリンの分泌が低下し、細胞への血糖の取り込みが低下する。また、肝臓における糖新生やグリコーゲンの分解が抑制されなくなる。これらにより食後高血糖となる。このように低血糖と高血糖のリスクが混在するため血糖値の乱高下が生じる。」を追加してください。
■インスリノーマによる低血糖
インスリノーマにより膵臓ランゲルハンス島β細胞由来の腫瘍から自律的にインスリンが過剰分泌される。これにより血糖値に関係なくインスリンが過剰に作用し、血糖値の著しい低下を繰り返す。この低血糖はこれらの機序により生じている。
■肝疾患による低血糖
【肝炎、肝硬変、肝がんなど】により肝臓に炎症や線維化が生じると肝機能の低下によりグリコーゲンの貯蔵量が少なくなるため、空腹時に血液中に放出する糖が枯渇しやすくなる。また、肝細胞の減少により糖新生機能も低下していることで低血糖が生じやすくなる。この低血糖はこれらの機序により生じている。
※血糖の乱高下が見られる場合は「一方で、肝臓に炎症や線維化が生じることにより肝臓のインスリン抵抗性が増大し、インスリンが効きにくくなる。その結果、インスリンによる糖新生の抑制が効かなくなり糖新生が亢進する。また、ブドウ糖をグリコーゲンとして貯蔵する機能の低下により、食後の血液中のブドウ糖が多くなる。このように低血糖と高血糖のリスクが混在するため血糖値の乱高下が生じる。」を追加してください。
その他の根拠一覧
■腎疾患による低血糖
■副腎皮質ホルモン(コルチゾール)の不足による低血糖
■インスリン自己免疫症候群による低血糖
■経口糖尿病治療薬による低血糖
■超速効型・速効型のインスリン注射による低血糖
■中間型のインスリン注射による低血糖
■持効型のインスリン注射による低血糖
■食事性低血糖(食事摂取の不足や遅れ)
■運動性低血糖
■体調不良(シックデイ)による低血糖
■インスリン作用の改善による低血糖
■反応性低血糖(後期ダンピング症候群)による低血糖
■アルコール性低血糖

