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視覚障害を評価する領域
ゴードンの機能的健康パターン:認知-知覚パターン
ヘンダーソンの14の基本的欲求:他者とのコミュニケーションを持ち、情動、ニード、恐怖、意見などを表出する
視覚障害とは
視覚障害とは、目や視神経、視覚中枢の異常などにより、視力・視野・色の識別などの機能が低下し、日常生活や社会生活に支障をきたす状態をいう。
視覚障害は大きく視力障害、視野障害、その他の視覚障害(色覚異常や光覚異常など)に分類される。
視力障害
視力障害とは、物の形や輪郭をはっきり識別する能力が低下または失われた状態をいう。眼鏡やコンタクトレンズで矯正しても十分に視力が回復しない場合を低視力(ロービジョン)といい重度になると失明に至る。
視野障害
視野障害とは、一点を見ているときに見える範囲(視野)の一部が欠けたり、全体が狭くなったりする状態をいう。代表的なものに視野が狭くなる「視野狭窄」や一部が見えなくなる「暗点」がある。
その他の視覚障害
・色覚障害: 色の識別が困難になる状態をいう。特に赤や緑などの特定の色が区別しづらくなる場合が多い。
・光覚障害: 光の明るさを調節する機能が障害された状態をいう。具体的には、まぶしさを強く感じる「羞明(しゅうめい)」や、暗い場所で見えにくくなる「夜盲(やもう)」がある。
・複視: 1つの物が二重に見える状態をいう。
視覚障害に必須の情報収集項目
視覚障害の原因
眼痛、頭痛の有無、程度
視力、矯正視力(右目・左目・両目)
視野障害の有無、範囲、程度
その他の視覚障害の有無
視覚障害の随伴症状の有無と程度(身体損傷リスク、ボディイメージの混乱、不安、悲嘆感情、社会とのつながりの狭小化など)
視覚の評価に関する検査データ(視力検査、視野検査、眼底検査、眼圧検査など)
眼鏡、コンタクトレンズの使用状況
情報取得に関する補助具、代替感覚を活用したコミュニケーション方法(点字ディスプレイ、音声読み上げソフト、拡大鏡、触手話、手書き文字や手のひら書きなど)
ADL、IADL
歩行に関する補助具の使用の有無(白杖、盲導犬など)
生活環境
ストレスの有無、程度
視覚障害に対する治療の有無(視覚障害に対するリハビリテーション(歩行訓練、補助具の使用訓練)、薬物療法(点眼、眼軟膏、ステロイドパルス療法、血漿浄化療法、免疫グロブリン療法)、生活リハビリなど)
視覚障害に対する治療の効果
サポートに対する家族の知識
視覚障害に対する患者や家族の反応
視覚障害のアセスメント定型文
アセスメントの基本的な流れと書き方
アセスメントの基本的な流れと書き方は次のようになります。
1.患者の状態の判断
【患者の情報】から患者の状態は適切ではない・異常である(正常ではない)。
2.根拠の記載
判断した患者の状態は【判断した根拠や理由】によって生じている。
3.実在型問題の記載
現在、患者の【適切ではない・異常である(正常ではない)状態】により【実在型】の看護問題が起きており、【実在型】の看護問題を挙げる。
現在、【適切ではない・異常である(正常ではない)状態】の随伴症状により【実在型】の看護問題が起きており、【実在型】の看護問題を挙げる。
4.今後の見通し、リスク型問題の記載
今後、患者の【適切ではない・異常である(正常ではない)状態】により 【リスク型】の看護問題が起きる可能性があり、【リスク型】の看護問題を挙げる。
今後、患者の【適切ではない・異常である(正常ではない)状態】の随伴症状により【リスク型】の看護問題が起きる可能性があり、【リスク型】の看護問題を挙げる。
作成の方法
・1~4をつなぎ合わせてアセスメントを作成してください。
・【 】の中には具体的な内容を記入するか、項目の中から選択してください。
・( )は表現の言い換えになります。両方または使いやすい方を選択してください。
1.患者の状態の判断
■患者の状態
Aさんは【いつから】、【視覚障害が生じた時の状況を記入】となり、【視覚障害が生じてから現在までの経過を記入】。現在は【視覚障害の詳しい状況を記入】である。
検査データは【異常な検査データ、画像などの結果を記入】である。
■介入の有無
視覚障害に対しては【治療、ケアなどの対策】が行われている。
視覚障害に対しては【治療、ケアなどの対策】が行われているが効果は十分ではない。
視覚障害に対しては【治療、ケアなどの対策】が行われており【効果を具体的に記入】。
■患者・家族の思い、認識
Aさん(Aさんの家族)は視覚障害について【患者の反応(家族の反応)】と【話している、認識している】。
■適切・不適切の判断
(ゴードンの場合)
以上の情報から、視覚障害とそれに伴う弊害が認められる現在の状況は適切な状態とは言えない。
(ヘンダーソンの場合)
以上の情報から視覚障害とそれに伴う弊害が認められる現在の状況は異常な状態である。(正常な状態とは言えない。)
2.根拠の記載
■視覚野の障害による視覚障害
【脳出血、脳梗塞、脳腫瘍、脳炎、頭部外傷など】により後頭葉の視覚野(一次視覚野)が障害されると、障害された脳とは反対側の視野からの視覚情報の処理が障害される。この【同名半盲、視野欠損】はこれらの機序により生じている。
■視覚伝導路の障害による視覚障害
【脳出血、脳梗塞、脳腫瘍、脳炎、頭部外傷、視神経炎、下垂体腫瘍など】により視覚伝導路(視神経、視交叉、視索、視放線)が障害されると、障害された部位に応じた視覚情報の伝達が障害される。この【片眼の視野欠損、両耳側半盲、同名半盲】はこれらの機序により生じている。
※障害部位に応じた特徴的な視覚障害は以下の通りです。
・視神経の障害:片眼の視野障害、視力低下
・視交叉中央部の障害:両耳側半盲
・視交叉より後方(視索・視放線)の障害:同名半盲
■眼筋麻痺(神経障害)による視覚障害
【脳出血、脳梗塞、脳腫瘍、脳炎、頭部外傷など】により眼球運動を支配する脳神経(動眼神経、滑車神経、外転神経)が麻痺し、眼球運動が制限される。これにより両眼の視線が一致せず、脳が映像を一つに統合できなくなる。この【複視(物が二重に見える)】はこれらの機序により生じている。
■眼筋麻痺(筋障害)による視覚障害
【甲状腺眼症、眼筋炎、外傷性眼筋断裂、筋ジストロフィー、ミトコンドリアミオパチー、重症筋無力症など】により眼球を動かす筋肉(外眼筋)が障害され眼球運動が制限される。これにより両眼の視線が一致せず、脳が映像を一つに統合できなくなる。この【複視(物が二重に見える)】はこれらの機序により生じている。
■老人性白内障(加齢性白内障)による視覚障害
加齢に伴う長年の紫外線曝露や酸化ストレスにより、水晶体を構成するタンパク質が変性・凝集して水晶体が混濁する。これにより光の透過性が低下し、眼内で光が乱反射する。この【霧視(かすむ状態)、羞明(まぶしい)、視界が暗い、視力低下】はこれらの機序により生じている。
その他の根拠一覧
■続発性白内障による視覚障害
■外傷性白内障による視覚障害
■急性緑内障発作による視覚障害
■原発開放隅角緑内障による視覚障害
■原発閉塞隅角緑内障による視覚障害
■続発性緑内障(炎症)による視覚障害
■続発性緑内障(血管新生緑内障)による視覚障害
■加齢黄斑変性(萎縮型)による視覚障害
■加齢黄斑変性(滲出型)による視覚障害
■裂孔原性網膜剥離による視覚障害
■牽引性網膜剥離(虚血性)による視覚障害
■牽引性網膜剥離(慢性炎症)による視覚障害
■滲出性網膜剥離による視覚障害
■小児期の斜視による視覚障害
■単純糖尿病網膜症(初期)による視覚障害
■前増殖糖尿病網膜症(中期)による視覚障害
■増殖糖尿病網膜症(進行期)による視覚障害

