ちょっと知りたい!看護実習ミニ辞典:不整脈

成人

不整脈は心臓の電気的な興奮や伝わり方に異常が生じ、脈が速くなる、遅くなる、不規則になる状態です。

異常波形を見たら患者さんを確認する

モニターに不整脈が表示されたときは、波形だけを見続けず、患者さんの状態を確認します。

・呼びかけに反応するか
・普段どおりに呼吸しているか
・脈拍が触れるか
・胸痛、動悸、息切れ、めまい、失神、意識レベルの変化、冷汗がないか
・血圧が低下していないか
・電極が外れていないか
・体動や震えによるノイズではないか

反応がなく、普段どおりの呼吸がない、または脈拍が触れない場合は緊急対応につなげます。

期外収縮

期外収縮は、次に起こるはずの洞調律より早く興奮が生じる不整脈です。
脈が飛ぶ、胸がドキッとするなどの自覚症状がみられることがあります。

・心房期外収縮(PAC)
心房期外収縮は、洞結節以外の心房から予定より早く興奮が起こります。
心電図では、通常より早くP波が現れ、その形が洞調律のP波と異なることがあります。
多くは幅の狭いQRS波を伴います。
健常者にもみられ、単発で自覚症状がない場合は経過観察となることがあります。
頻発する、連発する、動悸やめまいを伴う場合は報告します。

・心室期外収縮(PVC)
心室期外収縮は、心室から予定より早く興奮が起こります。
心電図では、先行するP波を認めず、幅が広く形の異なるQRS波が早期に現れることがあります。
脈を触れると脈が抜けたように感じる場合があります。
単発で症状がない心室期外収縮は、必ずしも治療を必要としません。
ただし、頻発、連発、形が複数ある、胸痛、失神、血圧低下などを伴う場合は速やかに報告します。

心房細動

心房細動は、心房がまとまって興奮せず、不規則に細かく興奮する不整脈です。
心電図では、次の特徴がみられます。
・一定したP波を認めない
・基線に細かな揺れがみられることがある
・RR間隔が不規則である

動悸、息切れ、易疲労感、めまいなどがみられますが、無症状のこともあります。
左心房内の血流がよどむと血栓ができ、脳梗塞などの塞栓症につながることがあります。
また、心拍数が速い状態が続くと心不全を起こすことがあります。

心室頻拍

心室頻拍は、心室から速い興奮が連続して起こる不整脈です。
心電図では、幅の広いQRS波が速く連続して現れます。
動悸、胸痛、息切れ、めまい、失神、血圧低下などを伴うことがあります。
心室頻拍を認めた場合は、意識、呼吸、脈拍、血圧を確認して速やかに報告します。
脈拍が触れない心室頻拍は心停止として対応し、直ちに胸骨圧迫を開始して電気ショックにつなげます。

心室細動

心室細動では、心室が無秩序に興奮し、有効な収縮ができない不整脈です。
心電図では、一定したP波、QRS波、T波を判別できない不規則な波形がみられます。
心室細動では有効な血液循環がなくなるため、患者さんは意識を失い、正常な呼吸がみられず、脈拍が触れなくなります。
心室細動は心停止の波形です。
直ちに応援とAEDまたは除細動器を要請し、病院や施設の手順に従って胸骨圧迫を開始して電気ショックにつなげます。

房室ブロック

房室ブロックは、心房から心室へ電気的な興奮が伝わりにくくなる、または伝わらなくなる不整脈です。

・1度房室ブロック
すべてのP波の後にQRS波が続きますが、PR間隔が0.20秒を超えて延長し、一定しています。
無症状のことが多く、経過観察となる場合があります。
薬剤、電解質異常、心疾患などが関係することもあるため、初めて確認した場合や変化した場合は報告します。

・2度房室ブロック:モビッツⅠ型
モビッツⅠ型は、ウェンケバッハ型とも呼ばれます。
PR間隔が拍ごとに徐々に延長し、その後にQRS波が一つ脱落します。
無症状のこともありますが、心拍数低下、めまい、失神などがある場合は速やかに報告します。

・2度房室ブロック:モビッツⅡ型
モビッツⅡ型では、PR間隔が一定のまま、突然QRS波が脱落します。
完全房室ブロックへ進行する可能性があるため、無症状でも速やかに報告します。
原因や状態に応じて、ペースメーカー治療が検討されます。

・3度房室ブロック(完全房室ブロック)
3度房室ブロックでは、心房から心室へ興奮が伝わらず、P波とQRS波がそれぞれ別のリズムで現れます。
著しい徐脈、めまい、失神、血圧低下などを伴うことがあるため、確認した場合は速やかに報告します。
房室ブロックを認め、脈拍が触れない場合は心停止として緊急対応につなげます。

主な不整脈の波形の特徴

・心房期外収縮:予定より早く異なる形のP波が現れ、通常は幅の狭いQRS波を伴います。

・心室期外収縮:先行するP波がなく、幅の広いQRS波が予定より早く現れます。

・心房細動:一定したP波を認めず、RR間隔が不規則になります。

・心室頻拍:幅の広いQRS波が速く連続して現れます。

・心室細動:P波、QRS波、T波を判別できない不規則な波形が現れます。

・1度房室ブロック:PR間隔が延長していますが、すべてのP波の後にQRS波が続きます。

・モビッツⅠ型:PR間隔が徐々に延長した後にQRS波が一つ脱落します。

・モビッツⅡ型:PR間隔が一定のままQRS波が突然脱落します。

・3度房室ブロック:P波とQRS波がそれぞれ別のリズムで現れます。

波形の特徴だけで確定診断せず、12誘導心電図、症状、過去の心電図、検査結果と合わせて評価します。

記録と報告の際に確認すること

不整脈を認めたときは、次の内容を確認し、必要な内容を記録・報告します。

・発生時刻と持続時間
・心拍数と規則性
・単発か、頻発か、連続しているか
・胸痛、動悸、息切れ、めまい、失神の有無
・意識状態
・脈拍の有無と強さ
・血圧、SpO₂
・必要に応じて体温、水分出納、電解質の検査値
・内服薬や点滴薬
・体動や処置との関係

直ちに緊急対応する変化

・反応がなく、普段どおりの呼吸がない、または脈拍が触れない
・心室細動または無脈性心室頻拍が疑われる

速やかに報告する変化

・不整脈とともに胸痛、呼吸困難、失神、意識の変化がある
・血圧低下、冷汗、顔面蒼白を伴う
・心室期外収縮が連発する、形が複数ある、急に増加した
・モビッツⅡ型または完全房室ブロックが疑われる
・新たに心房細動が出現し、心拍数が著しく速い、または症状がある

まとめ

・不整脈を認めたときは、波形より先に患者さんの反応、呼吸、脈拍を確認します。
・波形、症状、バイタルサインを合わせて緊急性を確認し、必要な対応や報告につなげます。

参考文献

不整脈|国立循環器病研究センター
心房細動|日本循環器協会
臨床心電図解析の実際―不整脈編|日本不整脈心電学会
不整脈の診断とリスク評価に関するガイドライン|日本循環器学会
一次救命処置|日本蘇生協議会

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